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《スイス》UVEKが21の調査候補地点に対するボーリング許可発給を完了

スイスの環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は2020年6月8日付で、放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)がサイト選定第3段階において、3つの地質学的候補エリア「ジュラ東部」、「チューリッヒ北東部」、「北部レゲレン」でのボーリング調査の許可申請について、合計21の調査候補地点に対する許可発給を完了した。NAGRAは2016年9月、2017年8月の2回に分けてボーリング調査に必要な許可申請書を提出しており、必要な地点数に余裕をとって23地点でボーリング調査を行う予定としていたが、北部レゲレンの2地点の申請を取り下げていた。UVEKは、NAGRAによるボーリング調査の許可申請書の審査を順次進め、2018年8月に発給した3地点を皮切りに  、16回に分けて許可を発給した。

■ボーリング調査の実施状況

NAGRAは、許可を受けた複数の地点でボーリング調査を実施しており、最大2,000mの深度までボーリング孔を掘削する計画である。2020年6月現在のボーリング調査の実施状況は以下のとおりである。

  ボーリング地点 地質学的候補エリア 期間
1 ビューラッハ 北部レゲレン 2019年4月~2019年11月
2 トリュリコン-1 チューリッヒ北東部 2019年8月~2020年4月
3 マルターレン チューリッヒ北東部 2020年2月~ (実施中)
4 ベツベルク-1 ジュラ東部 2020年4月~ (実施中)

※複数箇所ボーリングする場合は、ハイフン(-)以降の数字で識別

NAGRAはボーリング調査の作業場所に情報公開コーナーを設置し、現地見学を受け入れている   。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年3月から見学者の受け入れを停止していたが、2020年6月12日にベツベルク-1で「オープン・パビリオン」と題する見学ツアーを開催するとともに、マルターレンでも現地見学の受け入れを再開する。

■今後の予定

NAGRAは、3つの地質学的候補エリアの計21地点でボーリング調査の許可発給を受けているが、これら全てでボーリング調査を実施するものではなく、先行したボーリング調査で得られた結果に基づいて、他の地点でのボーリング調査の実施必要性を個別に判断していくとしている。NAGRAはボーリング調査の結果を踏まえて、2022年頃に高レベル放射性廃棄物と低中レベル放射性廃棄物の処分場を異なる地質学的候補エリアに設置するか、両処分場を1つの地質学的候補エリアに設置するかを決定する予定である。

 

<参考:ボーリング調査の許可手続き>

サイト選定プロセスを定めた特別計画「地層処分場」(詳細はこちら)によると、サイト選定第3段階では、概要承認(詳細はこちら)の申請書提出に向けた準備を行う上で、安全性の観点からの詳細な比較を可能とするために、必要に応じて弾性波探査、ボーリング調査などの地球科学的調査を行って、サイト特有の地質学的知見を収集することになっている。ボーリング調査のような地下に影響を及ぼす地球科学的調査の実施にあたっては、スイスの原子力法に基づき、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)の許可が必要とされている。

 

【出典】

(post by yamamoto.keita , last modified: 2024-02-13 )