2003年11月27日、原子力廃止措置機関(NDA)の設立条項を含むエネルギー法案が上院に上程され、議会での審議が2003年12月11日から開始された。同法案は、民間原子力産業、再生可能エネルギー源、エネルギー規制の3部構成となっており、コマンドペーパー「我々のエネルギーの将来」(Cm5761、2003年2月)とコマンドペーパー「原子力遺産の管理」(Cm5552、2002年7月)で示された政府方針を実施するためのものである。
NDAは原子力遺産と称される英国の原子力債務を管理するために設立が予定されている政府外公共機関(NDPB)である。2003年6月24日にはNDA設立に向けた「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案が発表され、下院の貿易産業委員会において、その内容についての審議が行われていた。同委員会の報告書は2003年10月29日に公表されている。今回のエネルギー法案には、同草案の内容の多くが組み入れられている。
エネルギー法案の中では、NDAの管理対象となる英国核燃料公社(BNFL)の資産・負債がNDAに移管されることが謳われている。貿易産業省(DTI)大臣は同法案の上院への上程時に、NDAへの移管後にBNFLに残った資産・負債を所有する親会社を2005年4月に設立すること、この親会社は英国の原子力サイトのクリーンアップに主に注力していくことなどを柱とするBNFLの構造改革についての結論を公表した。BNFLは同結論に合意すると発表している。
またエネルギー法案の上院への上程時の発表においては、DIT大臣によってウェスト・カンブリア1 に対する戦略的特別対策本部を設置することも提案された。この本部は北西部開発機関(NWDA)2 によって運営され、中央政府、地方政府、民間部門、社会部門(social sector)によって構成される。同本部にはウェスト・カンブリアの長期的な経済・社会の再生のため、持続可能な展望と計画を策定することが課せられることになる。DTI大臣は、NDAの本部をウェスト・カンブリアに置く意向も示している。
今後の予定では、NDAの設立は2004年の秋となり、2005年4月には本格的な活動が開始される見通し(既報)である。
- NDA:Nuclear Decommissioning Authority
- NDPB:Non Departmental Public Body
- BNFL:British Nuclear Fuels plc
- DTI:Department of Trade and Industry
- NWDA:North West Development Agency
【出典】
- 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2003年11月28日付けのニュースリリース、 http://213.38.88.221/gnn/national.nsf/TI/411FA1FE6586D43780256DEC004220E9?opendocument
- エネルギー法案 説明書、2003年11月
- 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/wn.htm、2003年12月
- 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm、2003年12月
- 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/ach/reviewpn.doc、2003年12月
- 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/rda/info/index.htm、2003年12月
- 下院貿易産業委員会ウェブサイト、2003年10月29日付プレスリリース、http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/trade_and_industry/t_i_press_notice_98_28_october_2003.cfm
- 英国核燃料公社(BNFL)ウェブサイト、2003年12月11日付けのプレスリリース、http://www.bnfl.com/website.nsf
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )