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《米国》エネルギー省(DOE)が同意に基づくサイト選定プロセスに対する意見を集約

米国のエネルギー省(DOE)は、高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分施設の立地に向け、同意に基づくサイト選定プロセスの設計についての意見募集等が終了したのを受け、現在、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等の集約を行っている。2016年9月15日には、収集した意見等を集約するためのミーティングが計画されているが、これに先だって、2016年9月15日付けのドラフト報告書「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」(以下「ドラフト報告書」という)を2016年9月14日に公表した。

DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスの設計に関する意見募集を2015年12月23日から2016年7月31日まで実施した他、サイト選定プロセスの構築について議論するため、2016年1月20日にはワシントンD.C.でキックオフミーティングを、2016年3月29日から7月21日にかけて全米の8カ所でパブリックミーティングを開催した

DOEが公表したドラフト報告書では、意見募集においてDOEが提示した5つの質問に対する意見に加え、同意に基づくサイト選定に関連する主要なテーマに対する意見、その他の論点に対する意見が要約されている。このうち、その他の論点としては、以下の10点が挙げられている。

  • 原子力の役割に対する考え方
  • 使用済燃料の集中中間貯蔵及び現在の原子力発電所サイト内での貯蔵
  • 原子力発電所の立地自治体からの視点
  • 地層処分に対する考え方
  • 貯蔵から処分への移行に対する考え方
  • ユッカマウンテンプロジェクトに対する考え方
  • 軍事関連の廃棄物のみを対象とした処分場の必要性に対する考え方
  • 現在の民間企業によって進められている集中中間貯蔵施設の建設に向けた取り組みに対する考え方
  • 連邦政府の放射性廃棄物基金による資金確保に対する考え方
  • その他の論点

DOEは2016年12月末までに、同意に基づくサイト選定プロセスの第一案(initial draft)を公表する計画である。また、同意に基づくサイト選定プロセスの設計の一部として、サイト選定基準が必要と認識しており、中間貯蔵施設及び地層処分場のサイト選定における検討事項に関するドラフト報告書を作成し、2016年12月には意見募集を開始する計画である。さらに、これまでの意見募集・パブリックミーティング等において、自治体やステークホルダーから、情報提供、資金的な支援が必要との意見が提示されたため、DOEは2017会計年度の予算要求において、資金提供公募を通じて、同意に基づくサイト選定のための相互学習、関与の取組を自治体レベルに移行するための支援に係る予算を要求した。

【出典】

 

【2016年9月16日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年9月15日付けの連邦官報において、「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」に対する意見募集を2016年9月15日から2016年10月30日までの期間で実施することを公告した。意見は、電子メール、書簡、FAX及びオンラインでの提出が可能とされている。

【出典】

 

【2016年10月4日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年9月15日に、同意に基づくサイト選定プロセスについて、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等を集約するとともに、サイト選定プロセスを構築するための次ステップについて話し合うためのミーティング(以下「意見集約ミーティング」という)を開催した。DOEウェブサイトの意見集約ミーティングのページでは、議事の概要が示されるとともに、議事次第や「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」等の配付資料のほか、質疑応答を含めた議事録とビデオも掲載されている。

今回の意見集約ミーティングでは、DOEが収集した意見の集約及び今後のステップ等についてDOEから報告が行われた後、約1時間の質疑応答が行われた。今後のステップについては、2016年10月30日まで「公衆からの意見の集約に係るドラフト報告書」についての意見募集を行った上で、2016年12月までに最終報告書を発行すること、2016年12月末までに同意に基づくサイト選定プロセスの第一案を公表して意見募集を行うこと、及び輸送・貯蔵・処分など統合廃棄物管理システム(integrated waste management system)の他の要素に係る活動の状況などが示された。中間貯蔵については、民間での取組についても関心があるとして、近々、情報要求(RFI)により関係者の見解を求める意向であるとしている。

【出典】

 

【2017年1月5日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2016年12月29日付で、同意に基づくサイト選定プロセスについて、意見募集・パブリックミーティング等を通じて得られた意見等を集約した報告書「同意に基づくサイト選定プロセス:公衆からの意見の集約に係る最終報告書」(以下「最終報告書」という)を公表した。本最終報告書は、2016年9月14日に公表されたドラフト報告書について、2016年10月30日までの期間で意見募集を行い、収集した意見を反映して最終版としたものである。ドラフト報告書に対する意見は、DOEの回答とともに公表されている。

DOEは、最終報告書に反映され、また、公衆やステークホルダーとの種々の取組を通して得られた意見等は、今後の同意に基づくサイト選定プロセスの案を構築する上で重要なものとしている。なお、最終報告書においては、ドラフト報告書の第5章で将来の展望としていた「同意に基づくサイト選定プロセスの第一案」やサイト基準などの「施設立地に際しての検討事項策定」に係る記述は削除されている。

一方、DOE原子力局(NE)の同意に基づくサイト選定イニシアティブのウェブサイトでは、今後のステップとして、軍事起源の高レベル放射性廃棄物の独立した処分場の計画案に対する意見募集を行っていることが示されている。本計画案では、同意に基づくサイト選定プロセスを構築した後に処分場の開発を進める、段階的なアプローチが採られており、今後の民間を含めた全体的な放射性廃棄物戦略に重要な経験となるとしていた。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-10 )