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《米国》放射性廃棄物諮問委員会(ACNW)が処分場の段階的開発に関する全米研究評議会(NRC)の報告書についてコメントを発表

原子力規制委員会(NRC)の諮問機関の一つである放射性廃棄物諮問委員会(ACNW)は、2003年6月9日付けの原子力規制委員会(NRC)委員長に宛てた書簡報告において、全米研究評議会(NRC)1 が発表した報告書「One Step at a Time:高レベル放射性廃棄物の地層処分場の段階的開発」に関するコメントを発表した。この全米研究評議会(NRC)の報告書は、エネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)が全米研究評議会(NRC)に、高レベル放射性廃棄物処分場の段階的開発に向けた戦略について助言を求めて委託していたもので、2003年2月に発表されている。

同報告書では、処分場開発計画のために、継続的な知識の取得と柔軟性の維持に基づく慎重な進め方に重点を置いた「適応性のある段階化」(Adaptive Staging)についての体系的な枠組みを提示するとともに、このアプローチを実際に適用可能にするための提案がなされている。同報告書は、ユッカマウンテンにおけるDOEの処分場計画について、部分的には「適応性のある段階化」の原則に沿うものであるが、全体的なアプローチとしてはより「直線的」であり、「適応性がある」とは言えないと指摘している。

これに対してACNWは、この「適応性のある段階化」は、柔軟性のある、事業開発のマイルストーンが事業の全期間を通じて反復的に再評価される意思決定手続であり、認可申請の前および後における 原子力規制委員会(NRC)の現在の手続と非常に似た考え方であると述べている。特に、ユッカマウンテン認可申請の評価のために開発した現在の計画および手続は、DOEと原子力規制委員会(NRC)間における対話型の戦略を組み込んでおり、すでに十分に反復的で、適応性があるとの考えを表明している。具体的な例として、主要な技術的課題(KTI: Key Technical Issue、詳しくは こちら)の開発、評価、解決のプロセスが認可前段階の時期における情報の進展と精緻化を促し、より改善された認可申請を可能にしている点を挙げている。

また、ACNWは、同報告書における「適応性のある段階化」を取る上で、「小規模でのパイロット段階」および処分場定置前に廃棄物を保管および混合するために用いる「バッファ貯蔵施設」概念の導入を推奨していることについて、ユッカマウンテン計画に不必要な混乱と遅延をもたらしかねないと指摘している。

ACNWは、同報告書は利害関係者の参加、公衆の信頼の醸成、効果的な情報伝達戦略に関する手引きを提供するもので、これらの示唆は有用であるが、同報告書はあくまで処分場一般を対象とする性格のものであると述べている。また、同報告書に記述されている手引き、実施面等については、原子力施設の許認可の観点からは特には新しいものではないと結論づけている。

【出典】

  • ACNWの原子力規制委員会(NRC)委員長宛ての2003年6月9日付け書簡報告 http://www.nrc.gov/reading-rm/doc-collections/acnw/letters/2003/1420195.pdf
  • the National Academiesの2003年2月6日付けプレスリリース http://www4.nationalacademies.org/news.nsf/isbn/0309087082?OpenDocument
  • 全米研究評議会(NRC)の「One Step at a Time:高レベル放射性廃棄物の地層処分場の段階的開発」報告書 http://www.nap.edu/catalog/10611.html?onpi_topnews_020603
  1. 全米研究評議会(NRC)は、全米科学アカデミー(NAS)、全米工学アカデミー(NAE)、医学院(IOM) と共に”the National Academies”を形成している非政府の非営利団体である。全米研究評議会(NRC)は、 NAS、NAE、IOMの実働組織として、科学技術的調査、勧告などを政府各機関および議会に提供する役割を担っている。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )