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《フィンランド》原子力法及び放射線法が改正

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年5月22日付のプレスリリースにおいて、同日付けで原子力法及び放射線法の改正が大統領により承認されたことを公表した。今回の法改正は、一部を除き2015年7月1日に発効し、これにより、STUKの規制権限と独立性が一層強化されることとなる1

今回の法改正により、STUKに対して、原子力安全に関して法的拘束力を有する技術的な安全要件を定める権限が付与された。フィンランドの原子力安全に関する規制体系は一般安全規則と詳細安全規則で構成されるが、従来は一般安全規則を政府(雇用経済省)が政令として定め、一般安全規則の規定を満たすための指針としてSTUKが詳細安全規則を策定していた。法改正後は、一般安全規則と詳細安全規則の両方をSTUKが策定することになる。今回改正された原子力法では、STUKが安全要件として定めるべき27の技術的項目が規定された。

また、今回の原子力法の改正では、原子力施設の許可発給プロセスにおけるSTUKの意見が重視されるようになる。従来どおり原子力発電所、放射性廃棄物処分場などの重大な原子力施設の建設・操業等に係る許可発給は政府が行うが、法改正により、STUKが意見書で提示する許可条件を政府が考慮しなければならないことが明確化された。改正前の原子力法では、重大な原子力施設の許可手続きにおいて、STUKの意見書が必要と規定されているのみであった。

なお、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関しては、政府による許可発給に向けて、現在、雇用経済省が建設許可の発給に関する検討を行っている。STUKは、2015年2月11日に、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関する審査意見書を雇用経済省に提出している。この審査意見書においてSTUKは、原子力法第19条で許可発給の基準とする10の項目について審査結果を示している。今回の法改正により、政府による許可発給におけるSTUKの意見の考慮について法的な担保がされたことになる。

【出典】

  1. フィンランドでは、原子力及び放射線防護の分野における規制の枠組みのレビューを目的として、2012年に国際原子力機関(IAEA)によるピアレビュー(総合的規制評価サービス、IRRS(Integrated Regulatory Review Service))が実施され、IRRSはSTUKの独立性を強化すべきことを勧告していた。IRRSの勧告を受け、原子力法及び放射線法の改正に向けた取り組みが進められ、2015年3月には改正法案が国会を通過していた。 []

(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-11 )