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《米国》NRCがユッカマウンテン処分場の安全性評価報告(SER)第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」を公表

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2014年10月16日に、エネルギー省(DOE)が2008年6月に提出したユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書について、「閉鎖後の処分場の安全性」に関する審査結果をまとめた安全性評価報告(SER)の第3分冊を公表した。NRCのプレスリリースでは、第3分冊で評価対象としているDOEの処分場設計は、高レベル放射性廃棄物を環境から隔離する多重バリアの構成などのNRC連邦規則(10 CFR Part 63サブパートE)に規定された閉鎖後の性能目標、並びに10 CFR Part 63サブパートLの個人防護・人間侵入・地下水保護の基準を満たしているとしている。

ユッカマウンテン処分場に係る安全性評価報告(SER)は5分冊で構成されるが、NRCは、2010年8月にSERの第1分冊「一般情報」を発行した後、予算問題を理由として、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る審査手続を2010年10月から停止していた。その後、2013年8月13日の連邦控訴裁判所判決によって審査手続の再開を命じられ、2013年11月18日には安全性評価報告(SER)を完成することなどの審査再開による実施事項を決定し、SERの第2分冊から第5分冊の作業が行われていた。SER第3分冊は2014年11月6日の公表予定とされていたものであり、残りの分冊も2014年12月中に完成する予定が示されている

なお、NRCのプレスリリースにおいて、安全性評価報告(SER)第3分冊の公表は、NRCが処分場建設を承認するか否かを示唆するものではなく、許認可手続のために現在利用可能な額を超える予算が与えられた上で、SER全分冊の完成、DOEの環境影響評価書の補足(SEIS)、原子力安全・許認可委員会(ASLB)による裁決手続における争点のヒアリング、及びNRCの委員による審査が行われて初めて、許認可発給に係る最終的な決定が可能となることを指摘している。

今回の安全性評価報告(SER)第3分冊の公表に対する反応として、ユッカマウンテンの許認可手続にも参加している原子力エネルギー協会(NEI)は、SER第3分冊の公表は許認可手続の重要なマイルストーンであるとして歓迎した上で、許認可手続の次の段階に進むためにはDOEの積極的な参加が必要として、連邦議会による許認可手続予算の確保と現政権による処分場プログラムの再構築を求めるとしている。また、連邦議会の下院エネルギー・商務委員会の委員長や上院エネルギー天然資源委員会の少数党最上席議員からも同様に歓迎のプレスリリースが出されている。一方、ユッカマウンテンの地元のネバダ州原子力プロジェクト室からは、許認可手続の流れの外で一部のSERのみを公表することは間違った印象を与えること、今回公表されたSERでは、NRCが既に認めている200以上の争点が適切に対応されているかが不明などとの懸念を表明するニュースリリースが出されている。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )