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《米国》連邦議会で放射性廃棄物管理方策を検討する国家委員会の設置条項を含む法案提出

2009年7月16日、米国で放射性廃棄物管理・処分の代替案を検討する国家委員会(以下「国家委員会」という)を設置する規定を含んだ米国クリーンエネルギーリーダーシップ法案(American Clean Energy Leadership Act)が上院本会議に提出された。同規定は、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)を修正することにより国家委員会を設置するものとなっている。

今回提出された法案は、上院エネルギー天然資源委員会で包括的なエネルギー法案として検討されていたものであり、クリーンエネルギーの開発と利用、エネルギー効率の改善などにより米国のエネルギー安全保障を促進することを目的としたものである。同法案は、クリーンエネルギー技術の利用、エネルギー効率の増進、エネルギー安全保障の改善、エネルギー革新及び労働力の開発、エネルギー市場、政策研究及び報告の6つの編から構成されている。

同法案の第311条では、1982年放射性廃棄物政策法(NWPA)に第VI編を追加し、以下の条項を新たに規定する内容となっている。

  • 国家委員会の設置(第601条)
  • 国家委員会の目的(第602条)
  • 国家委員会の構成(第603条)
  • 国家委員会の職務(第604条)
  • 国家委員会の運営(第605条)
  • 大統領及び連邦議会への報告(第606条)
  • 国家委員会の予算(第607条)
  • 国家委員会の終了(第608条)

これらの条項では、国家委員会は連邦諮問委員会であり、大統領によって指名される著名な米国民11名の委員によって構成されることとなっている。ただし、連邦、州及び地方政府の職員は委員になることはできず、また、6名以上の委員は同一政党から選ぶことができないと規定されている。さらに、国家委員会の独立性に関して、国家委員会の助言及び勧告は独自の判断に基づくことなどが規定されている。

国家委員会の職務としては、地層処分、原子力発電所サイトでの長期貯蔵、1カ所もしくは複数の中間貯蔵施設での長期貯蔵、使用済燃料の再処理などを含む使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替案を評価し、設置後2年以内に大統領及び連邦議会へ国家委員会の調査結果、結論、勧告を含む報告書を提出することとなっている。また、これまでにエネルギー省(DOE)が行ってきた放射性廃棄物管理プログラムの評価、再処理及び先進燃料サイクル計画の評価、資金確保方策の代替案の研究などについても国家委員会の役割として規定されている。ユッカマウンテン計画については、国家委員会の検討対象から除外する規定は存在しない。

なお、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替案については、エネルギー長官がブルーリボン委員会を設置し検討する方針を示していたが、今回の法案に関する上院エネルギー天然資源委員会報告書などでも、国家委員会がブルーリボン委員会と同一のものとなるかは示されていない。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )