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《米国》NRCがユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査再開の実施事項を決定

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2013年11月18日に、連邦控訴裁判所が2013年8月13日付けの判決で命令した、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査の再開について、安全性評価報告(SER)の完成などを優先して行うことを決定し、NRCの決定文書として「覚書及び命令」を公表した。

今回のNRCの決定文書では、審査の再開への対応として以下が示されている。

  • 安全性評価報告(SER)の完成及び発行
  • 許認可支援ネットワーク(LSN)(詳細はこちら)に登録されていた文書をNRCデータベース(ADAMS)に登録
  • 国家環境政策法(NEPA)で必要とされる許認可申請の審査に必要な補足環境影響評価書(SEIS)の策定をエネルギー省(DOE)に要求
  • 原子力安全・許認可委員会パネル(ASLBP)が設置した建設認可委員会(CAB) での裁決手続及びLSNの再構築は上記3項目の完了まで引き続き停止

NRCは決定の理由として、裁決手続再開など他事項との対応順序の違いはあるものの、関係者全員がSERの完成を要求したことを指摘した上で、SER及びSEISの完成はNRCの連邦規則(CFR)での次のステップとして位置付けられること、限られた残予算の中でSERとSEISの完成は可能であるが、裁決手続などは意味ある進展が望めないことなどを挙げている。

SERは、DOEによるユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書に対する審査結果を取りまとめたものであり、2010年8月に第1分冊「一般情報」が公表され、第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」も2010年9月の発行見込みとされていたが、NRCの許認可手続の停止により、結論部分が示されない技術評価報告書(TER)の公表にとどまっていた 。SERは、以下の5分冊から構成され、今回のNRCの決定により第2分冊から第5分冊が完成・発行される予定である。

  • 第1分冊「一般情報」
  • 第2分冊「閉鎖前の処分場の安全性」
  • 第3分冊「閉鎖後の処分場の安全性」
  • 第4分冊「管理上及びプログラム上の要求事項」
  • 第5分冊「許認可仕様」

NRCの決定文書では、SERの第2分冊から第5分冊の作業は同時並行で行われ、完成した分冊から順次公開されること、作業開始から約1年の期間と約830万ドル(約8億円)の費用を要することが示されている。また、別途NRCスタッフに宛てられた指示文書では、SERの作業停止時に行われていたアプローチで効率的に作業を進めること、月次状況報告書を提出すること、SERの完成は優先課題と位置付けるが廃棄物保証に係る作業の障害とならないことなどが指示されている。

なお、LSNに登録されていた文書のADAMSデータベースへの登録については、すべての文書を早急に非公開領域のADAMSに登録すること、SER及びSEISの参照資料となるものは公開することが命令されている。

【出典】

 

【2014年3月3日追記】

ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査の再開については、原子力規制委員会(NRC)が決定文書で4項目の対応を示していた。これに対してエネルギー省(DOE)は、2014年2月28日に、4項目のうち、DOEに策定を要求していた補足環境影響評価書(SEIS)について、SEISの十分性を最終的に判断するNRCに委ねるとして、自らは策定を行わない旨を回答した。

ただし、DOEは、2009年7月30日付けの技術報告書「ネバダ州ユッカマウンテンでの使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物処分のための地層処分場での閉鎖後の地下水影響の解析」の改定版をNRCに提出するとしており、補足環境影響評価書(SEIS)の策定に必要な技術的情報は、基本的にすべて提供されることになるとしている。

【出典】

 

【2014年4月11日追記】

原子力規制委員会(NRC)によるユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査再開への対応として、NRCがエネルギー省(DOE)に要求していた補足環境影響評価書(SEIS)の策定に関して、NRCとDOEとの会議が2014年4月7日に開催された。本会議は、SEISの策定は行わないとするDOEからの2014年2月28日の回答を受け、2014年3月19日にNRCが開催を要求したものである。

本会議にDOEが提出した資料では、以下のような内容が示されている。

  • DOEは、2009年7月の技術報告書「ネバダ州ユッカマウンテンでの使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物処分のための地層処分場での閉鎖後の地下水影響の解析」の改定版を2014年6月までに策定する。
  • 新たな情報を踏まえてレビューした結論として、DOEは以下のように結論した。
    • 2009年以降にサイトでの物質の物理的変化はない。
    • 2009年に使用した数値モデルが無効という事実はない。
    • 2009年に使用した数値モデルへの入力データは安全側であり、現在も変わらない。
    • 前回の報告書からの大きな相違は存在しない。
  • 2009年の技術報告書でのすべての結論は、2014年の技術報告書でも不変である。
  • 技術報告書の改定は、DOEの原子力局(NE)使用済燃料処分研究開発室が担当し、前回も分析を実施した契約者を起用する。

DOEの資料では、改定が行われる技術報告書での主要な解析項目、今回の改定作業で新たに反映される情報の内容なども示されている。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )