韓国産業通商資源部(MOTIE)1 は、2013年10月30日のプレスリリースにおいて、政府から独立した民間諮問機関である「使用済燃料公論化委員会」(以下「公論化委員会」という。)が発足し、使用済燃料管理方策に関する本格的な公論化プログラム(ステークホルダー、一般市民、専門家などから広範囲な意見の取りまとめ)が開始したことを公表した。今後、公論化委員会が公共討論や公論調査などを含む公論化プログラムを進め、その結果に基づいて、2014年末までに勧告を韓国政府に提出する計画である。
公論化委員会は、放射性廃棄物管理法の規定に基づいて韓国産業通商資源部長官が設置するものであり、2012年11月に当時の韓国知識経済部(現在は韓国産業通商資源部)が策定した「使用済燃料管理対策推進計画」において、公論化委員会の機能や委員構成の考え方などが定められた 。プレスリリースによれば、公論化委員会の委員構成は、人文社会・技術工学分野の専門家7名、原子力発電所立地地域の代表5名、市民社会団体の代表3名の計15名である。韓国政府は、2013年1月から約9ヵ月間にわたって原子力発電所立地地域、民間団体、政治家、専門家などとの50回以上の説明会、懇談会・討論会などを開催し、寄せられた意見を踏まえて委員会を構成したとしている。
- 人文社会・技術工学分野の専門家7名:委員選定過程での公正と透明性を確保するため、民間委員で構成する「公論化委員推薦委員会」を設置し、委員候補を選定。
- 原子力発電所立地地域の代表5名:原子力発電所立地地域に対して、巡回説明会、地方自治体懇談会などを通して公論化推進について共感を醸成し、当該地方自治体から5名の公論化委員を直接推薦。
- 市民社会団体の代表3名:環境団体・市民社会団体との持続的な議論を通して民間団体を代表する3名の委員候補を推薦。
プレスリリースによれば、公論化プログラムは、専門家、市民・環境団体、原子力発電所立地地域住民、一般国民などの様々なステークホルダーから使用済燃料の管理方策に対する具体的な意見を聴取することを意図したプロセスである。今回の公論化プログラムは、過去に経験した社会的葛藤を繰り返さずに社会で共感できる使用済燃料の管理方策を探るための国民的議論過程であり、使用済燃料管理のための特定の施設のサイト選定を目的とした手続きではないとしている。公論化プログラムに係る全ての過程は公論化委員会が独自に定め、多くの国民が参加できるように公開で進められる予定である。韓国政府は、2014年末までに公論化委員会が取りまとめる勧告を基にして、使用済燃料管理対策基本計画を策定する計画である 。
図 予定されている公論化の段階
韓国政府は、公論化委員会が使用済燃料の管理に対する公論化プログラムを円滑に遂行するため、公論化委員会に対して財政的・行政的に支援する役割を担う計画である。また、公論化プログラムで委員会と関係部署間の疎通及び協力を強化するため、国務調整室を主管とする汎部署協議体2 を設置する計画である。
なお、韓国では毎年約700トン以上の使用済燃料が発生しており、現在、各原子力発電所のサイト内で中間貯蔵されている。サイト内の中間貯蔵容量は2016年には貯蔵容量の限度に達する見込みである。貯蔵施設の拡充等を行ったとしても、2024年には貯蔵容量が不足する時期を迎えるとされている。
【出典】
- 産業通商資源部 2013年10月30日付プレスリリース
http://www.motie.go.kr/motie/ne/rt/press/bbs/bbsView.do?bbs_seq_n=78438&bbs_cd_n=16
(post by yokoyama.satoshi , last modified: 2023-10-11 )