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《米国》廃棄物輸送のための鉄道敷設及び操業に関する公聴会を開催-DOEの申請に対する許認可手続きで輸送監督当局が決定

米国で、ユッカマウンテン処分場予定地への高レベル放射性廃棄物輸送のため必要とされる、ネバダ州内での鉄道の敷設及び操業に関するエネルギー省(DOE)の申請に関して、陸上運輸委員会(STB)は、公聴会を開催することを2008年11月5日付の官報で告示した。2008年3月17日にSTBに提出されたDOEの申請は、ネバダ州内で建設する鉄道を一般用途と共用するために必要なものであり、実際の鉄道建設や高レベル放射性廃棄物の輸送、及び一般用途の輸送に当たっては、DOEは必要に応じて別途許認可を受ける必要がある。

ユッカマウンテンへの高レベル放射性廃棄物輸送については、DOEは、主に鉄道方式によることを2004年4月に決定し、ネバダ州内における鉄道建設について、カリエンテ・ルートまたはミナ・ルートにおける鉄道敷設及び操業に係る環境影響評価を実施してきた。輸送経路及び鉄道敷設等に関する最終環境影響評価書(FEIS)は2008年6月に公表され、2008年10月には、ネバダ州内の鉄道は、カリエンテ・ルートで建設を行い、一般用途と共用することが決定されている。この決定を告示した連邦官報において、DOEは、一般用途との共用を決定した理由として、環境への影響は若干あるものの、沿線地域への経済的利益などによりパブリックコメントでは総じて共用オプションが支持されていたことを挙げている。

鉄道敷設等に関する最終環境影響評価書(FEIS)では、ネバダ州内の鉄道を一般用途にも使用する場合には陸上運輸委員会(STB)から「公共の利益と必要性の証明」を得ることが必要であり、DOEは鉄道敷設・操業方法の正式決定前の2008年3月17日にSTBに申請書を提出したことが示されている。STBは、鉄道運賃や路線の改廃の他、州をまたがる鉄道網に接続する鉄道線路の建設について管轄権を持つ独立の規制機関であり、組織上は連邦運輸省(DOT)に属している。

陸上運輸委員会(STB)に対するDOEの申請に対して、ネバダ州は、2008年4月にDOEの申請の却下の申立てをSTBに行った他、その申立てが棄却された後はDOEの申請に反対する意見書をSTBに提出している。また、2008年9月にはネバダ州選出の連邦議会議員団は、DOEが鉄道を一般供用する決定を行っていない状態ではネバダ州内の鉄道の管轄権は州政府にあることなどを指摘してSTBに回答を求める書簡を送っていた。

陸上運輸委員会(STB)による連邦官報告示によると、公聴会は2008年12月4日に開催の予定で、参加申込みは2008年11月14日までとされている。

なお、処分場開発に関する最終補足環境影響評価書(FSEIS)では、ユッカマウンテンへの放射性廃棄物の全米からの代表的な輸送経路として以下の図が示されている。輸送方法は、主に鉄道によるものとされ、海軍の使用済燃料を除いては専用列車を使用する方針が決定されている。

usa_081110_rail_routes

最終補足環境影響評価書(FSEIS)で示された
代表的鉄道輸送ルート

usa_081110_truck_routes

最終補足環境影響評価書(FSEIS)で示された
代表的トラック輸送ルート

【出典】

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )