スウェーデン政府は、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)が2001年9月に作成・公表した「研究開発実証プログラム2001」(RD&D2001)を適正な計画として認める決定を2002年12月12日に行った。この中でSKB社は、今後のより詳細な計画を記した文章の提出、2004年に予定されているSKB社の安全評価に対する国際的な専門家によるレビュー、今後も地層処分の代替技術にも注意を払い続けることが求められた。この政府決定に添って、今後SKB社は処分事業を進めていくことになる。
スウェーデンでは、原子力活動法の定めるところにより、SKB社は3年ごとに処分事業等の全般に渡る計画書を作成し、規制機関の原子力発電検査機関(SKI)に提出しなければならない。提出された計画書は、放射線防護機関(SSI)、大学、研究機関、関連自治体、環境団体等によるコメントを受け、SKIがSKIの独自の評価結果とともにとりまとめた後、最終的に政府がその評価を行うことになっている。また、この計画書は、評価機関である放射性廃棄物国家評議会(KASAM)によっても評価される。RD&D2001に関するSKIやKASAMによる評価は既に発表されており、RD&D2001を適正な計画書であると認める一方で、その内容については個々に必要と考えられる事項を指摘している。政府も同じくRD&D2001が適正であると認めたが、国民を含む関係者のニーズを満足させるためには、SKB社がより詳細な計画を示すことが必要であると言及している。その他に、安全評価および代替案の各項目それぞれについて、政府は、以下のようなコメントを行っている。
1. 安全評価
安全評価に関するSKI、SSI、およびKASAMの見解について、SKB社が十分に考慮しなければならないと言及している。加えて、SKB社が2004年に公表を予定している安全評価に対しては、国際的な専門家によるレビューを実施することを求めている。この結果に基づいて安全評価を改善しなければならないとしている。
2. 代替案
政府は、SKB社が地層処分に替わる放射性廃棄物管理の代替的な技術開発にも注意を払い続けるべきであると指摘している。健全な環境を保証する持続的な開発を目指すスウェーデンでは、環境法典により、環境に影響を与える可能性のある活動を行う者は、採用した方法が最善のものであることを、代替案との比較により記述することが必要であると規定されており、かつ、県域執行機関(CAB)や自治体その他の関連機関との協議において、説明を行わなければならない。政府は、代替案との比較に関する記述について、この協議において徹底的に検討が行われると考えている。
スウェーデンにおいては、現在オスカーシャムとエストハンマルにおいてサイト調査(地上からのボーリングによる調査)が実施されている。RD&D2001によると、2006年頃までにサイト調査および環境評価が実施され、2007年頃には立地、詳細特性調査および建設についての許可申請(詳細は こちら)を行う予定である。
【出典】
- Rigeringsbeslut: Programe for forsning, utveckling och demonstration av metoder for hantering och slutforvaring av karnavfall, FUD-program 2001 (RD&D 2001に対する政府決定)
- RD&D-Programme 2001, Programme for research, development and demonstration of methods for the management and disposal of nuclear waste, SKB, 2001
- SKI:s yttrande over SKB:s redovisning av FUD-program 2001(SKB社のRD&D2001に対するSKIの評価),2002
- Nulcear Activities Act (SFS 1984:3)(原子力活動法)
- Environmental Code (SFS 1998:808)(環境法典)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )