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《韓国》使用済燃料公論化委員会が公論化実行計画を策定

韓国産業通商資源部長官が設置した使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という。)は、2014年1月29日に「公論化実行計画」を策定し、韓国産業通商資源部に提出した。公論化委員会は、放射性廃棄物管理法に基づいて設置された政府から独立した民間諮問機関であり、人文社会・技術工学分野の専門家、原子力発電所立地地域の代表、市民社会団体の代表により構成されている。公論化委員会では、2013年10月に設置された以降、公論化プログラムの第1段階となる実行計画の策定を進めていた。

公論化委員会は、公論化実行計画において「公論化の目的」、「議論の基本原則」、「議論のテーマ」、「議論の方法」及び「スケジュール」を定めたことを受け、第2段階として本格的な議論に着手するとしている。第2段階の初期では、懸案の導出を目的とした議論を行い、その後、多くの時間を国民の意見収集に当てる考えである。2014年10月からは第3段階となる勧告(報告書)の取りまとめ作業を開始し、2014年末に目標が設定されている政府への勧告書の提出を行う予定である。

<使用済燃料公論化のスケジュール>

公論化_スケジュール_小

 

2014年2月3日付の公論化委員会のプレスリリースでは、今回策定された「公論化実行計画」の前提となる、公論化の目的、議論の基本原則、テーマ、方法論について、以下のように説明している。

1.公論化の目的

「国民を保護し、国民が共感できる使用済燃料の管理計画を立案する」ことを公論化の最終的な目的とする。これまで使用済燃料管理の問題については、政府や韓国水力原子力発電株式会社(KHNP)、韓国原子力環境公団(KORAD)などが「どのような管理方策が最善か」という推進側中心の視点から提起していたが、公論化委員会は、国民の視点から「国民の安全」を最優先の課題として、使用済燃料の管理方策を議論するという立場から提起するとしている。公論化委員会は「国民の安全と国民の共感」に基づいた使用済燃料の管理方策を最終目標として提示し、活動の主要課題を「安全」と「共感」に置く。

 2.議論の基本原則

公論化プロセスへの参加者に対して、「責任」、「透明性」、「熟議」、「全体論指向」、「回帰」を公論化委員会の5大原則として提示する。これら公論化の基本原則は、使用済燃料公論化タスクフォース(2008年)が提示した8大原則を基に公論化委員会において再構築したものである。

<使用済燃料公論化のための議論の基本原則>

責任 世代間の公平性を考慮し、根拠のある意見を述べ、発言に伴う道徳的な責任を負う
透明性 公論化進行事項と関連資料を公開し、誰もが容易にアクセスできるようにする
熟議 参加者は同意的な公論を導出する意思を持ち、学習と討論に積極的に参加して熟考して十分に議論する
全体論指向 議論過程においては、技術的・工学的な側面と社会的・法制度的な側面を分離せず、それらを全体的に考慮する
回帰 議論の過程の途上、または意思決定後に重大な問題点が確認された場合には、原点に立ち戻って議論する

3.議論のテーマ

国民を使用済燃料から安全に保護する法案のテーマ全てが議論の対象となる。議論のテーマに対する先入観を排除し、議論の必要がある懸案を公論化プロセスで導出するという視点によるものである。議論の進行においては、使用済燃料管理政策の上位政策である国家エネルギー政策の関連事項を尊重するとともに、次の点に留意する。

  • サイト選定及び地域振興などの使用済燃料管理方策の決定後に議論すべき事項については、基本的な原則程度の議論にとどめる。
  • 使用済燃料公論化タスクフォース(2008年)、使用済燃料政策フォーラム(2011年)などで議論された内容について、可能な限り対応することを議論の原則として提示する。

 4.議論の方法

公論化における議論は、段階的な方法で進める。

議論の最初の段階では、これまでの学習と現場視察を通じて把握された使用済燃料管理の現状を基に、公論化委員会や専門家が参加した議論を通じて懸案(公論化委員会において重視すべき事項を定めたもの)を導出する。

次の段階では、公論化委員会と専門家が導出した懸案に対して、国民、専門家、利害関係者、原子力発電立地地域の住民、市民グループなどからの幅広く意見を収集する。意見の収集方法としては、各種シンポジウム、説明会、フォーラム、公論調査、現場視察、インターネットによる意見収集(懸案別、意見収集対象別)などを活用する予定である。

最終の段階では、収集した意見に関する定量的評価と定性的評価を統合して、使用済燃料管理方策を最終的に評価し、この評価結果に基づく勧告を策定する。

 <議論方法>

公論化_議論の方法_小

 

【出典】

(post by yokoyama.satoshi , last modified: 2023-10-11 )