フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体であるポシヴァ社は、2008年5月13日付のプレスリリースにおいて、同日、使用済燃料の最終処分場の拡大に関する環境影響評価(EIA)計画書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。ポシヴァ社は、今回のEIA手続は2009年初頭までに完了すると見込んでいる。
プレスリリースによれば、ポシヴァ社は、今回の環境影響評価(EIA)計画書において、最終処分場を拡大し、2008年4月25日に同社が原則決定(詳細は こちら)申請を行っている処分容量に相当する9,000トン(ウラン換算)から12,000トン(ウラン換算)に引き上げるとしている。今回の増加分は、現在、フォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPHO)が導入を検討しているロヴィーサ原子力発電所3号機1 から発生すると見積もられている使用済燃料3,000トン(ウラン換算)に相当する量とされている。
ポシヴァ社は、1990年代末に最終処分場に関する原則決定申請に向けた環境影響評価(EIA)手続を実施した際、当時操業中であった4基の原子炉に加え、将来2基を導入することを見込んで、合計6基の原子炉から発生する使用済燃料の処分量を最大9,000トン(ウラン換算)と見積もっていた。しかしながら、2000年12月に行われた政府の原則決定では、既存の発電所(4基)からの使用済燃料に限定して、4,000トン(ウラン換算)を処分する計画が認められた。その後、テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO)のオルキルオト原子力発電所3号機の新規導入に係る政府の原則決定に合わせ、2002年5月の処分場規模に関する政府の原則決定により、オルキルオトにおける最終処分場では6,500トン(ウラン換算)まで処分する計画が認められている 。
現在のところ、ポシヴァ社は、テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO)のオルキルオト原子力発電所4号機から発生する使用済燃料の最終処分に関する原則決定申請を2008年4月25日に行っており、この申請において、最終処分場の処分容量を9,000トン(ウラン換算)に引き上げるとしていた 。
なお、2008年5月13日付の雇用経済省(TEM)のプレスリリースによれば、雇用経済省は、ポシヴァ社の環境影響評価(EIA)計画書に関する意見を2008年7月25日まで受け付け、それらの意見に基づいてポシヴァ社のEIA計画書に対する見解を発表するとしている。
ポシヴァ社は、2004年6月からオルキルオトにおいて、地下特性調査施設の建設を進めており、使用済燃料の処分場の建設許可申請を2012年に行い、2020年の操業開始を予定している 。
【出典】
- ポシヴァ社、2008年5月13日付プレスリリース
- 雇用経済省(TEM)、2008年5月13日付プレスリリース、http://www.tem.fi/?89521_m=91534&l=en&s=2471
- 雇用経済省(TEM)、2008年4月25日付プレスリリース、http://www.tem.fi/?89521_m=91497&l=en&s=2471
- 2008年4月25日付の雇用経済省(TEM)のプレスリリースによれば、ロヴィーサ原子力発電所3号機建設に向けたフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPHO)の環境影響評価(EIA)手続は2008年晩夏に完了するとみられており、同社は近い将来に原則決定申請を行う見通しとされている。 [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )