フィンランドの使用済燃料処分の実施主体であるポシヴァ社は2003年12月、「オルキルオト及びロヴィーサ原子力発電所の放射性廃棄物管理:2004-2006年の研究、開発、技術設計プログラム」(TKSレポート2003)を発表した。
このプログラムは2003年9月に同社が発表した「ONKALO-地下特性調査計画書」 において言及されていたものであり、今後3年毎に発行される予定で、今回がその第一回目となっている。また、プログラムでは、ポシヴァ社が使用済燃料の最終処分場の建設許可申請を行う時期が2012年とされている。これは2003年10月23日に貿易産業省(KTM)がポシヴァ社の 申請時期を2010年から2012年に変更すると決定したことを反映している。
このKTMの決定は、ポシヴァ社の株主であり、放射性廃棄物管理責任のあるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPHO)が2003年6月11日付のKTMへの共同書簡において行った、ポシヴァ社による使用済燃料の最終処分場の建設許可申請に関するスケジュール変更要求に対して下されたものである。
両社は、変更の理由を、以下のように述べている。
- 近年の設計作業の結果により、2010年の終わり頃に関連するスケジュール目標に柔軟さが必要とされることが示されている。
- 2010年までに建設されるONKALO地下特性調査施設は、最終処分場所の一部として使用される予定である。このため、1980年代および1990年代に必要であるとみなされていたものに比べ、2010年代の処分場所の建設作業は著しく減少する。
- 現行決定にある2010年の目標の定義は、ある意味において不明瞭である。
- 放射線・原子力安全センター(STUK)は、両社が2001年~2010年に対して提示した研究、開発および設計作業のプログラム(TKSプログラム)に関する見解(Y811/35、2001年9月26日)において、2010年の目標は少し延期せざるを得ないという評価を示している。(既報 -ポシヴァ社が地下特性調査計画書を公表-参照)
KTMはこの決定の中でポシヴァ社の申請時期を2012年にするとともに、遅くとも2009年までに暫定申請書を提出し、必要書類の準備状況について説明することを求めている。また、KTMは今回の変更が処分場の操業開始時期(2020年頃)には影響しないとの考えを示している。
なお、今回発表されたプログラムには、ポシヴァ社による使用済燃料の処分だけでなく、電力会社2社(TVOとFPHO)によって実施される低中レベル放射性廃棄物の処分も含めた放射性廃棄物管理に関する研究、開発、技術設計の進捗及び今後3年間において焦点をあてる作業プログラム提案が記されている。
【出典】
- ポシヴァ社、オルキルオト及びロヴィーサ原子力発電所の放射性廃棄物管理:2004-2006年の研究、開発、技術設計プログラム(TKSレポート2003)、2003年12月
- TVOとFPHOのKTMへの2003年6月11日付共同書簡
- KTMの2003年10月26日付けの決定(9/815/2003)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )