フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2013年11月28日付のプレスリリースにおいて、原子力に関する安全指針(YVL指針)を全面改訂したことを公表した。新安全指針は2013年12月1日に発効した。
YVL指針は、原子力発電、核燃料の取扱い、原子力に関連する放射線防護、放射性廃棄物の処分等の原子力の全ての分野について、STUKが策定する詳細安全規則である。今回の全面改訂は2008年の原子力法改正により、一般的な安全及び防護原則が法律に追加されたことに基づいて改訂作業が行われた。約70あった旧YVL指針は44の新たなYVL指針に置き換えられた。同プレスリリースによると、今回の全面改訂では、オルキルオト原子力発電所3号機の建設に係る経験、西欧原子力規制者会議(WENRA)等を通じた原子炉新設に係る知見、福島第一原子力発電所事故の教訓などを取り入れたとしている。
新しいYVL指針体系は、AからEまでの指針グループに分類されており、放射性廃棄物の処理・処分に関する以下の指針はYVL Dシリーズ「核物質と廃棄物」に含まれている。(図参照)
- YVL D.4 低中レベル放射性廃棄物管理と原子力施設の廃止措置
- YVL D.5 原子力廃棄物の処分
また、YVL D.5「原子力廃棄物の処分」は、従来の3つの指針―原子力発電所の操業からの低中レベル放射性廃棄物の処分(YVL 8.1)、使用済燃料処分の長期安全性の指針(YVL8.4)、使用済燃料処分施設の操業安全性の指針(YVL8.5)―を置き換えるものであり、使用済燃料の処分と原子力発電所の運転廃棄物の処分の安全要件を一つの指針で定めている。
なお、新YVL安全指針が発効する以前の2012年12月に、使用済燃料の処分実施主体であるポシヴァ社は、使用済燃料の地層処分場の建設許可申請を行っている 。ポシヴァ社は建設許可申請においては、STUKの事前の了解のもとで、新たなYVL指針(YVL D.3とD.5)のドラフト版に基づいて提出書類を作成しており、新指針で示されている規制要件は織り込み済みとなっている。
【出典】
- 放射線・原子力安全センター(STUK)、2013年11月28日プレスリリース[フィンランド語]
http://www.stuk.fi/ajankohtaista/tiedotteet/fi_FI/news_872/ - YVL D.4、低中レベル放射性廃棄物管理と原子力施設の廃止措置[フィンランド語]
http://www.finlex.fi/fi/viranomaiset/normi/555001/41416 - YVL D.5、原子力廃棄物の処分[フィンランド語]
http://www.finlex.fi/fi/viranomaiset/normi/555001/41417 - ポシヴァ社、「オルキルオトでの使用済燃料処分に係るセーフティケース – 総括報告書(Posiva 2012-12)」、2012年12月
http://www.posiva.fi/files/2992/Posiva_2012-12web2.pdf - 放射線・原子力安全センター(STUK)、「フィンランドにおける原子力安全の規制監督:2012年年次報告書(STUK B-162)」、2013年7月
http://www.stuk.fi/julkaisut_maaraykset/tiivistelmat/b_sarja/en_GB/stuk-b162/_files/90010569511345549/default/stuk-b162.pdf
(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-11 )