2008年4月1日付の英国労働・年金省(DWP)のプレスリリースによると、 英国における原子力利用を含む労働安全・衛生に係わる規制機関である保健安全委員会(HSC)と保健安全執行部(HSE)が、同日付で統合された。統合後の組織の名称は、保健安全執行部(Health and Safety Executive; HSE)が継承される。今回の統合は、公衆協議を経て、2006年の法務・規制改革法で定められた手続きに基づいて決定されたものである。
従来の保健安全委員会(HSC)と保健安全執行部(HSE)は、1974年の労働安全衛生法により設置された2つの政府外公共機関(NDPB1 )であり、HSEの業務からHSCを分離するために、実務や権限は区分されていた。今回の統合は、従来の両組織の業務を大きく変化させるものではないが、統合により、組織全体でより緊密な業務遂行のための方向性が定められるとされている。また、統合された組織は説明責任を維持しつつ、より透明性を高めていくとされている。
プレスリリースによれば、新しい保健安全執行部(HSE)の理事会は、全体的な戦略的方向性の設定や財務・業績管理、及び資源配分を含め、組織の運営責任を負うこととなる。今回の統合による変化や意義は、次のように示されている。
- 労働安全・衛生の向上に責任を有する、単一の規制機関の設置。
- HSCの現委員長は新HSEの理事会の長に就任。
- 従来のHSCの委員は、新たな役割での責任を負いつつ、新HSEの非常勤理事として残りの任期の間留任。
- 新HSEの理事は、理事会の長を除いて多くても11名を超えないこととし、全委員は引き続き労働・年金省(DWP)大臣が任命。
- 労働安全衛生法の基本的な内容に変更なし。
- 旧HSC・HSEの組織的な機能は削減しない。
- 労働安全・衛生の保護に変更なし(労働安全・衛生に関わる規制要件、執行方法及び規制当局に対するステークホルダーの関与形態は変更しない。)
【出典】
- 労働・年金省(DWP)、2008年4月1日付のプレスリリース
http://www.dwp.gov.uk/mediacentre/pressreleases/2008/apr/emp070-010408.asp - 1974年労働安全衛生法
- non-departmental public bodies [↩]
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )