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米国テキサス州議会は、テキサス州内において使用済燃料を含む高レベル放射性廃棄物の処分または貯蔵を禁止する法案を2021年9月2日に可決し、2021年9月9日に州知事の署名を得てテキサス州法(H.B.7、以下「処分・貯蔵禁止法」という。)として成立した。テキサス州では、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業を計画しており、原子力規制委員会(NRC)で許認可審査が行われている。NRCは、ISP社の集中中間貯蔵施設の許認可審査について、2021年7月29日に最終環境影響評価書(FEIS)を公表しており、2021年9月末までに許認可に係る決定を行う予定としている 。NRCによる許認可については、NRCの環境影響評価に係る連邦規則(10 CFR Part 51)において、NRCが環境保護庁(EPA)にFEISを提出し、EPAが連邦官報においてFEISの受領を告示してから30日間は許認可の発給に係る決定を行うことはできないものと規定されており、このため、EPAがFEIS受領を連邦官報で告示した2021年8月13日から30日経過後にNRCは許認可の発給が可能となる。ただし、今回の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)の成立により、NRCが中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可を発給した場合においても、州による環境関連の許可が得られなくなることから、実際の集中中間貯蔵施設の建設・操業は行えないこととなる。

今回成立した処分・貯蔵禁止法(H.B.7)は、テキサス州健康・安全法典(Health and Safety Code)第401章「放射性物質及び他の放射線源」に条文を追加して修正するものであり、以下のような内容の規定が置かれている1

第1条
1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)(NWPA)第2条で定義される「高レベル放射性廃棄物」と「使用済燃料」を含むものとして、健康・安全法典で「高レベル放射性廃棄物」を定義。

第2条
テキサス州環境品質委員会(TCEQ)は、運転中または過去に運転していた発電用原子炉及び研究炉に対するものを除き、NRCから高レベル放射性廃棄物の貯蔵に係る許認可発給を受けた施設の建設または操業について、連邦水質浄化法(CWA:Clean Water Act)の下での一般建設許可の発給または汚水関連の計画承認や許可発給を行ってはならない。

第3条
運転中または過去に運転していた発電用原子炉及び研究炉における貯蔵を除き、州間協定(コンパクト)に基づく放射性廃棄物処分施設の許認可保有者を含め、何人もテキサス州内において高レベル放射性廃棄物を処分または貯蔵してはならない。

第4条
第2条の規定は、本法施行後に提出される許可または許可変更の申請書に対してのみ適用される。

第6条
本法は、両院議員の3分の2以上の投票を得た場合には即時に発効する。それ以外の場合には、2021年12月5日に発効する。

処分・貯蔵禁止法(H.B.7)は、テキサス州議会上院では2021年9月1日に31対0(ゼロ)、下院では2021年9月2日に119対3の賛成多数で可決されたことから、2021年9月9日のテキサス州知事の署名により即時に有効となっている。

処分・貯蔵禁止法案は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社が集中中間貯蔵施設の建設を計画しているアンドリュース郡を選挙区に持つランドグラフ・テキサス州下院議員によって提出された。ランドグラフ議員は、2021年9月3日付けのプレスリリースにおいて、特別会期で処分・貯蔵禁止法案を審議対象に指定した州知事に謝意を示した上で、低レベル放射性廃棄物施設は支持するものの、放射能がより強い高レベル放射性廃棄物の貯蔵への拡張には反対するというアンドリュース郡住民の意思を代表することが同議員の責務であることなどを表明している。テキサス州知事は、ISP社の集中中間貯蔵施設に係る環境影響評価のコメント募集において、施設の建設・操業に反対することを表明していた

アンドリュース郡理事会(commissioners court)では、NRCがアンドリュース郡及びテキサス州住民の意思を尊重し、同郡における集中中間貯蔵施設の許認可手続きを直ちに中止すること、アンドリュース郡判事及び理事会は使用済燃料等の集中中間貯蔵の立地を拒否することなどを、2021年7月30日に決議していた。アンドリュース郡の決議に対してNRCは、2021年8月27日付けの書簡において、決議書の送付に謝意を示した上で、ISP社の集中中間貯蔵施設がNRC規制要件に適合するかを判断する安全性評価報告(SER)を発行する予定であり、2021年9月に許認可発給に係る決定を行うことを伝えている。なお、アンドリュース郡理事会は、現在の州知事が就任した同日の2015年1月20日に、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が低レベル放射性廃棄物のWCS処分場に隣接して使用済燃料の集中中間貯蔵施設を建設する計画について、支持する決議を行っていた。また、WCS社は、地元の支持が得られることを前提として、NRCに建設・操業の許認可申請を行うことを表明していた。

米国における民間事業者による使用済燃料の集中中間貯蔵施設の建設に向けた事例としては、過去に民間燃料貯蔵(PFS)社によるユタ州スカルバレーにおける中間貯蔵施設の例がある。このPFS社によるスカルバレー中間貯蔵施設プロジェクトは、2006年2月にNRCの建設・操業に係る許認可を取得したが、ユタ州等による反対のなか、土地貸借契約や国有地での輸送について連邦内務省(DOI)の承認が得られなかったことなどから、NRCに建設許可の終了を要求するなど、計画は進まなかった。なお、PFS社によるスカルバレー中間貯蔵施設は、民間の原子力発電事業者が共同で中間貯蔵を行うものであったが、ISP社の集中中間貯蔵施設では、エネルギー省(DOE)が所有権を取得した使用済燃料を貯蔵することが想定されている。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社の集中中間貯蔵施設は、テキサス州アンドリュース郡のウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社の自社所有サイトにおいて、WCSテキサス低レベル放射性廃棄物処分場に隣接する区画で建設を計画しているものである。WCS社は、2016年4月28日に、使用済燃料等の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請書をNRCに提出していたが、WCS社の売却の動きなどもあり、WCS社とOrano USA社との合弁会社として設立されたISP社が、2018年6月8日に、集中中間貯蔵施設の許認可審査の再開をNRCに申請していた。WCS社サイトについては、エネルギー省(DOE)が環境影響評価を実施するなど、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)の処分に関する検討も行われており、NRCによるGTCC廃棄物処分の規制に係る検討が続けられている。なお、GTCC廃棄物は、今回成立した処分・貯蔵禁止法(H.B.7)の対象には含まれていない。

【出典】

 

【2021年9月16日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社がテキサス州アンドリュース郡で計画している使用済燃料等の集中中間貯蔵施設について、建設・操業に係る許認可を2021年9月13日に発給した。NRCは、ISP社の許認可申請書の審査に基づいて、許認可で承認される活動は公衆の健康と安全を脅かすことなく実施できること、これらの活動はNRC規則(10 CFR Part 72)を遵守して実施されることについて、2021年9月13日付けのISP社宛の許認可書送付書簡において、合理的な保証があるなどと判断したことが示されている。ただし、テキサス州法の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)が成立していることなどにより、州による環境関連の許可が得られず、集中中間貯蔵施設の建設・操業については、実際には行えないことが見込まれる。

今回NRCが発給した許認可は、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社に対し、最大5,000トンの使用済燃料と231.3トンのクラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物(以下「GTCC廃棄物」という。)を、40年間にわたって受領、保有、移転及び貯蔵することを許可するものである。ISP社は、その後の7段階で施設を拡張し、最大で40,000トンの使用済燃料を貯蔵する計画を示しているが、施設を拡張するごとにNRCによる安全審査と環境審査を受けて許認可変更を行うことが必要となる。

2021年9月13日付けのNRCのニュースリリースでは、許認可審査においては安全性とセキュリティの技術的審査、環境影響審査、及びNRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)による裁決手続が実施されており、環境審査では多数の一般公衆からの意見も評価したこと、裁決手続では地域や全国組織の申立人から提起された争点の解決が行われたことが示されている。NRCのウェブサイトでは、今回の許認可発給に係る以下の文書が公表されている。

  • 許認可書(物質許認可、SNM-2515)
  • 許認可書の前文(Preamble)
  • 許認可送付書簡
  • 公開版の最終安全性評価報告書(FSER)
  • 技術仕様書(Technical Specifications)
  • 意思決定記録(ROD)2

許認可書(SNM-2515)本体では、初期貯蔵容量の集中中間貯蔵施設を建設するのに十分な資金が確保されるまで建設を開始してはならないこと、顧客が使用済燃料等の所有権を保持することなどを顧客との契約で規定すること、操業に必要な資金をエネルギー省(DOE)または他の使用済燃料所有者が責任を持つことを規定した契約を操業前に締結することなど、許認可条件が規定されている。また、NRCの連邦規則への適合に必要とされる技術仕様書も許認可の一部とされている。

NRCのニュースリリースでは、今回の許認可は、使用済燃料の集中中間貯蔵施設に対する2件目のものであり、最初の許認可は民間燃料貯蔵(Private Fuel Storage)社に2006年に発給されたものの、建設されなかったことも記載されている。また、NRCはニューメキシコ州リー郡における同様の施設に係るホルテック・インターナショナル社の許認可申請書の審査を行っており、2022年1月に許認可に係る決定を行う見込みも記載している。

中間貯蔵パートナーズ(ISP)社の集中中間貯蔵施設の建設・操業に係る許認可申請については、原子力安全・許認可委員会(ASLB)が主宰する裁判形式の裁決手続によるヒアリングの開催を要求して、シエラクラブ等の環境団体や地域の石油・ガス生産者/鉱業権者が争点を提出していた。ASLBが当初に1件のみ有効と認めた争点も、その後にISP社が指摘された欠陥を修正したことから無効とされ、すべての争点が否認された。ASLBに争点を否認された参加申立人らは、NRCの委員会に対する不服申立ても否認されたことから、訴訟を提起している。

なお、テキサス州のアボット知事は、個人のSNSアカウントにおける2021年9月14日の投稿において、西部テキサスの油田地帯における高レベル放射性廃棄物の廃棄(dump)について、それを阻止するための法律に署名したこと、テキサス州は米国の高レベル放射性廃棄物の廃棄場所(dumping ground)にはならないことを表明している。

【出典】


  1. 実際の処分・貯蔵禁止法(H.B.7)では、対象となる条項は健康・安全法典の条文番号で参照されるなどしているが、細部の省略も含めて概要の記述としている。
    なお、第5条では可分条項(規定の一部が無効とされても他の条項の有効性には影響がないとする規定)が置かれている。 []
  2. 意思決定記録(ROD:Record of Decision):米国では連邦政府機関が環境に影響を及ぼす可能性がある措置を実施する際には環境影響評価の実施が1969年国家環境政策法(NEPA)により規定されている。この場合、その最終的な決定内容については、検討した代替案や影響緩和策を含めて「意思決定記録」として連邦官報で告示することが必要とされている。 []
使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

スウェーデン政府は2021年8月26日付けプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が操業している使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB、1985年操業開始)の貯蔵容量に関して、現行の8,000トンから11,000トンへの引き上げを許可する決定を行ったことを明らかにした。今回の貯蔵容量引き上げは、SKB社がKBS-3概念1 と呼ばれる処分概念を採用した使用済燃料の最終処分システムの実現に向けて、同社が2011年3月に環境法典及び原子力活動法に基づく許可申請書を提出した以降、安全審査等が実施されている事業案件を構成する原子力活動の一部を構成するものである。スウェーデン政府は、審査中の事業案件について部分的な決定を行った理由について、CLABの貯蔵容量が逼迫する可能性のある2023年以前に許可プロセスが完了しない場合、スウェーデンにおける安定的な電力供給が脅かされるリスクがあり、これを回避するためであると説明している。

スウェーデン政府は、CLABの貯蔵容量引き上げ以外の使用済燃料のキャニスタへの封入及び最終処分に関する審査は継続する。スウェーデン政府は、使用済燃料の最終処分場に関する審査を進めているが、その決定に至るにはまだ数ヶ月を要するとの見通しを明らかにした。

■使用済燃料の最終処分システムに関する今後の審査プロセスへの影響

現在、スウェーデンでは、使用済燃料の最終処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請として、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの許可申請書の審査が並行して進められている(以下の囲みを参照)。このうち、キャニスタ封入施設に関しては、オスカーシャムに立地している使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB)を拡張する形で建設し、一体の施設として運用する計画である。

SKB社は、2011年3月に最終処分場とキャニスタ封入施設に関する申請書を提出した時点では、CLABの貯蔵容量引き上げは将来的に必要であるものの、実際に必要となる貯蔵容量幅が不透明であったことから申請内容に含めていなかった。しかし、2011年3月の東京電力(株)福島第一原子力発電所事故後に実施されたストレステスト(原子力施設の安全性に関する総合評価)で特定された脆弱性対策に対応すべく、SKB社は2015年3月にCLAB及びキャニスタ封入施設の設計変更に伴う申請書の補足を行っており、使用済燃料を稠密に配置するなどの方法により、CLABの地下プールを増設せずに対応可能な貯蔵容量である11,000トンへの引き上げを申請内容に盛り込んだ。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新、2015年3月31日補足)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請

環境法典に基づく審理を実施していた土地・環境裁判所及び原子力活動法に基づく審査を行っていた放射線安全機関(SSM)は、2018年1月に、それぞれの審査意見書を政府に提出している。これまでの審査プロセスでは、それらの意見書を踏まえた政府決定を待ち、その内容を受けて土地・環境裁判所及びSSMにおいて許可条件を定める手続きが行われることが想定されていた。

SKB社は2021年8月27日に、CLABが立地するオスカーシャム自治体が最終処分システム全体に関する最終的な決定が行われずにCLABの貯蔵容量だけを引き上げることに反対していることに触れ、今回の政府決定はオスカーシャム自治体の考えに沿ったものではないとのコメントを公表した。さらに、SKB社は、環境法典に基づき土地・環境裁判所で審理された事業案件の一部に限って政府が判断を行ったケースは前例がないことから、使用済燃料の最終処分システムに関する今後の審査プロセスの停滞を懸念するとしたコメントを公表した。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというものである。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様の処分概念を採用している。 []

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が設置した公衆参加の枠組みである「サイト区域専門会議」は、処分実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)が2020年9月に取りまとめた『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』(以下「中間報告書」という)について、2021年2月から6ヶ月間にわたってレビューを実施している。2021年8月6日から8月7日に開催されたサイト区域専門会議の第3回会合において、これまでのレビュー結果及び提言事項が取りまとめられた。サイト区域専門会議は、BGEがドイツ全土から最終処分にとって好ましい地質学的前提条件が存在すると判断される90区域を抽出したものの、それらが国土の54%を占めている点に関して、より絞り込まれたものを期待していた一般の感覚とは異なっているとの指摘をした上で、サイト選定手続き第1段階の目標である「地上探査候補サイト地域」の確定に向け、BGEが行うさらなる絞り込みにおいて、公衆参加の機会となる「サイト区域専門フォーラム」の設置を提言に盛り込んだ。一方、サイト区域専門会議の活動は、第3回の会合をもって終了する。サイト区域専門会議の報告書は、1ヶ月以内にBGEに提出される予定である。

■サイト選定手続き第1段階における公衆参加の形態

ドイツ全土の母岩別のサイト区域の分布

サイト区域専門会議は、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて、連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が事務局として招集する会議体であり、サイト選定における公衆参加を推進する役割を有している。サイト区域専門会議の参加者は、一般市民のほか、BGEが取りまとめる中間報告書で判明するサイト区域候補の地域団体、社会組織、科学者であり、サイト選定法に規定された各種組織には、事前にBASEから参加招請が行われた。

サイト区域専門会議の会合は主にオンラインイベントの形式で開催され、全体会議やサイト選定法に規定されている除外基準や地球科学的な評価基準の内容や適用を個別に扱うワークショップのほか、地層処分場の母岩(粘土岩、結晶質岩、岩塩)、地域計画、公衆参加と透明性などのテーマ別ワーキンググループで議論が行われた。参加者は、全体会議後などに並行的に行われていたこれらのワークショップやワーキンググループに自由に参加して質疑を交わしたり、ワーキンググループで取りまとめる提言文書に対する賛否投票を行うことができた。全3回のサイト区域専門会議を通じ、合計で約4,900人が参加した。

サイト区域専門会議において、BGEは、中間報告書の内容を会議の参加者に説明するとともに、今後「地上探査候補サイト地域」の提案をBGEが作成するにあたり、サイト区域専門会議の結果を考慮することになっている。

■サイト区域専門会議の主な提言と今後の対応

サイト選定法では、サイト選定手続き第1段階の後半において、BGEが、サイト区域における予備的安全評価を実施するとともに、地球科学的な評価基準や地域計画面での基準1 を適用し、さらなる絞り込みを行うことになっている。サイト区域専門会議は、BGEに対し、予備的安全評価及び地域計画面での基準の適用手法の開発を進めるよう求めている。また、それらの基準の適用に対する公衆参加を計画するため、BGEの作業マイルストーンを早急に明らかにするよう求めている。さらに、公衆参加を実現する役割を担うBASEに対し、サイト区域専門会議の後継となる「サイト区域専門フォーラム」を設置し、サイト選定手続き第1段階後半においても、一般市民及びサイト区域の各種組織への情報提供を継続し、サイト選定プロセスへ参加する意欲と能力の向上を図るよう求めている。

サイト区域専門会議の提言を受け、BGEは、さらなる絞り込み方法の検討案を2022年3月に公表する意向を表明した。また、BASEは、公衆参加のデザインに向けたロードマップを2021年秋に取りまとめる考えを表明した。

【出典】


  1. サイト選定法に規定されている住宅地域からの距離、飲料用地下水源や自然保護地域の有無など11項目で構成される評価基準 []

米国の連邦議会下院の歳出委員会は、2021年7月16日に開催した法案策定会合において、放射性廃棄物処分関連の2022会計年度1 の「エネルギー・水資源開発歳出法案」(H.R.4549、以下「歳出法案」という。)を承認し、2021年7月20日に下院本会議に提出した。提出された歳出法案は、7分野の歳出法案が束ねられて包括歳出法案(H.R.4502)とされ、2021年7月29日に下院本会議で可決された。今後は、連邦議会上院での歳出法案の審議に移ることとなる。ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可審査手続きの再開等のための予算については、エネルギー省(DOE)や原子力規制委員会(NRC)の2022会計年度の予算要求資料でも要求されていなかったが、今回提出された歳出法案においても計上されていない。なお、下院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会のメンバーであるネバダ州選出のリー下院議員(民主党)からは、ユッカマウンテン計画のための予算の計上を阻止し、同意に基づく解決策をエネルギー長官に指示する規定を盛り込むために取り組んだことなどを伝えるプレスリリースが発出されている。

■放射性廃棄物処分関連の予算項目

今回提出された歳出法案では、「放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)プログラム」として27,500千ドル(約28億8,750万円、1ドル=105円で換算)が計上されている。放射性廃棄物処分プログラムの予算は、中間貯蔵に係る活動を含め、1982年放射性廃棄物政策法の目的を遂行するための放射性廃棄物処分に係る活動に必要とされる予算とされており、このうち7,500千ドル(7億8,750万円)は放射性廃棄物基金(NWF)から支出されるものとされている。DOEの研究開発プログラムについては、歳出法案では「原子力(Nuclear Energy)」全体の予算として1,675,000千ドル(約1,758億円)が示されているのみとなっており、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理・処分に係るプログラムの内訳は示されていない。

歳出法案に付随する下院歳出委員会報告書(H.Rept.117-98、以下「委員会報告書」という。)においては、「放射性廃棄物処分プログラム」の27,500千ドル(28億8,750万円)のうちの20,000千ドル(21億円)は使用済燃料の中間貯蔵のための予算とされ、放射性廃棄物基金から支出する7,500千ドル(7億8,750万ドル)については放射性廃棄物基金の監督活動に係る予算とされている。なお、DOEの予算要求では、「放射性廃棄物処分プログラム」の予算は放射性廃棄物基金の監督活動に係るものとして7,500千ドルのみが計上され、中間貯蔵については、燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムの「統合廃棄物管理システム(IWMS、Integrated Waste Management System)」の一部として20,000千ドルが要求されていた。

また、DOEの予算要求では、中間貯蔵プログラムの開発・実施をサポートするための予算が研究開発プログラムの一部として計上とされていたのに対し、委員会報告書では、研究開発プログラムではなく、エネルギー長官の現行の権限内で連邦中間貯蔵施設のサイト選定に向けた活動を実施すること、その実施に際しては同意に基づくアプローチを用いることが指示されている。さらに、委員会報告書では、1982年放射性廃棄物政策法においては、同法の制限2 の前段階で様々な活動が可能であることなどを指摘している。

DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の研究開発に係る予算について、委員会報告書では、燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムの下で、「使用済燃料処分等研究開発」の一般的な研究開発活動を継続するための予算として62,500千ドル(65億6,250万円)が計上されているほか、「統合廃棄物管理システム(IWMS、Integrated Waste Management System)」の予算として18,000千ドル(18億9,000万円)が計上されている。使用済燃料処分等研究開発について、委員会報告書では、予算額のうち5,000千ドル(5億2,500万円)は先進燃料の短期的な課題に対応することを指示するとともに、統合廃棄物管理システム(IWMS)については、地域輸送の再開に係る評価や調整の取組み、廃止措置済みの原子力発電所等での準備活動の継続が指示されている。

米国で超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、委員会報告書では、DOEの予算要求額と同額の430,424千ドル(451億9,452万円)が計上されている3 。また、委員会報告書では、2021会計年度の歳出法で指示したインフラ改善計画の説明4 が未了のため、歳出法案成立後15日以内に連邦議会に報告するようDOEに指示している。

その他の機関について、歳出法案及び委員会報告書では、原子力規制委員会(NRC)の予算については、「核物質・廃棄物安全」の予算項目についてNRC要求と同額の予算が計上されているが、集中中間貯蔵施設に関するものなどの内訳は示されていない。なお、NRC予算では、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動等のための予算は計上されていない。また、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)については、要求額と同額の3,800千ドル(3億9,900万円)の予算が計上されている。

2022会計年度の歳出法案及び委員会報告書の情報をまとめると、放射性廃棄物処分関連の予算は、下表のような構成となっている。

 

予算項目

プログラム

サブプログラム
(サブプログラムがない場合は括弧内に概要説明)

2022会計年度歳出予算(単位:千ドル)

財源

DOE

原子力(Nuclear Energy)

[歳出法案には、全体の予算額として1,675,000千ドルが記載されているのみ]

燃料サイクル研究開発
(Fuel Cycle Research and Development)

[委員会報告書に、本プログラムの下でのサブプログラムの予算額が記載されている]

使用済燃料処分等研究開発(Used Nuclear Fuel Disposition R&D)

62,500

一般

統合廃棄物管理システム(IWMS)
(Integrated Waste Management System)

18,000

放射性廃棄物処分
(Nuclear Waste Disposal)

放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)

(中間貯蔵を含め、1982年放射性廃棄物政策法の目的遂行。なお、DOEの予算要求では、中間貯蔵に係る20,000千ドルの予算は統合廃棄物管理システム(IWMS)に含まれていた)

27,500
※うち20,000は中間貯蔵、7,500はNWF監督等

20,000は一般、7,500はNWF

国防環境クリーンアップ
(Defense Environmental Cleanup)

廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)

WIPP操業ほか
(換気システム等の設備更新を含む)

430,424

一般

独立機関

原子力規制委員会(NRC)

高レベル放射性廃棄物処分

(高レベル放射性廃棄物処分場の許認可審査)

0

NWF

放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)

活動費

(DOE研究開発活動の評価等)

3,800

NWF

NWF:放射性廃棄物基金

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2022会計年度の予算は2021年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)では、原子力規制委員会(NRC)が処分場の建設認可を発給するまでは監視付き回収可能貯蔵(MRS)施設(集中中間貯蔵施設)の建設を禁じるなど、中間貯蔵施設の開発について処分場開発の進展と関連付けた制限規定が置かれている。 []
  3. 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOE予算要求書では保障措置・セキュリティ予算の一部として別途6,806千ドル(約7億1,460万円)が要求されており、総額は437,230千ドル(約459億920万円)とされているが、歳出法案及び委員会報告書では保障措置・セキュリティ予算の内訳が明示されていないため、保障措置・セキュリティ予算を除くWIPP関連の歳出予算額を示している。 []
  4. 2020年12月27日に成立した2021会計年度包括歳出法(H.R.133、Public Law No.116-260として成立)では、付随する説明文書において、WIPP関連の道路使用やインフラ改善に係る将来の資金需要について、法の成立後90日以内に上下両院の歳出委員会に報告書を提出することを指示していた。 []

フランスの国家評価委員会(CNE)は、第15回評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、2021年7月にCNEウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法 の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出している。なお、前回の第14回報告書は、2020年7月16日に公表されている 。

フランス政府は2020年4月に、2019年から2028年を対象として、温室効果ガス排出量の削減やエネルギー効率向上、再生可能エネルギーの開発促進等を目標とした基本政策となる「多年度エネルギー計画」(PPE)を発行している。原子力発電に関しては、総発電電力量に占める比率を2018年時点の71.7%から2035年までに50%とすること等を示しており、これを実現するため、現在MOX燃料が装荷されている90万kW級原子炉の閉鎖等を計画する等、核燃料サイクルや放射性廃棄物等の管理のあり方にも影響を与えるものとなっている。CNEは、第15回評価報告書において、PPEが核燃料サイクルに及ぼす課題を中心として評価を行っており、以下のような章構成にて報告書を作成している。

第Ⅰ章:多年度エネルギー計画(PPE)の課題
第Ⅱ章:地層処分の代替策
第Ⅲ章:核種分離に関する研究と開発
第Ⅳ章:地層処分場(CIGÉO)
第Ⅴ章:国際展望:ガバナンスプロセスに向けて

各章における課題に関し、CNEは主に以下のような点を指摘している。

<多年度エネルギー計画(PPE)の課題>

  • 加圧水型軽水炉(PWR)におけるプルトニウムのマルチリサイクルは、現時点で未解決の重要課題である。除染・廃止措置、極低レベル放射性廃棄物の処分容量の拡張、設計が進んでいない長寿命低レベル放射性廃棄物処分場の設置に関する計画立案は、研究を要する課題である。
  • 脱炭素化したエネルギーミックスに統合された、安定的かつ競争力のある原子力産業を確立するための取組が実施されなければ、新たな人材を研究開発に引きつけるのは難しい。

<地層処分の代替策>

  • 地層処分の代替策は、①放射性廃棄物の最終的な管理を可能にする、②少なくとも地層処分場と同等の長期にわたる安全性を達成する、③近い将来あるいは遠い将来の世代に負担をかけないという3つの条件を満たさなければならない。将来世代に負担をかけないためには、施設の長期安全性を維持するために人的な介入を必要とせず、そのための資金が現世代の整えた手段によって確保されていることが前提条件となる。
  • 長期貯蔵は地層処分の代替策になりえない。核種変換1 をベースとした様々な概念のみが代替策として考えられる。
  • 核種変換について、現在検討されている技術は、これから進歩が必要になるとしても、相応のリソースを傾注した場合、21世紀末までには商業規模の施設の実現が可能と考えられる。その実現のためにも、使用済燃料の再処理を継続しなければならない。
  • 一方で、すでにガラス固化された長寿命高レベル放射性廃棄物、核種変換が現実的ではない長寿命中レベル放射性廃棄物、核種分離・変換に由来する最終廃棄物を管理するために、地層処分を行う施設は必要である。

<核種分離に関する研究と開発>

  • 多年度エネルギー計画(PPE)に示されたPWRでのプルトニウムのマルチリサイクルの実現には、MOX使用済燃料の再処理が必要であるが、2030年までの商業化の実現可能性を判断できるようにするために、研究開発計画を速やかに明確化すべきである。
  • 使用済燃料に含まれるアメリシウムは地層処分に最も不向きな元素である2 。したがって、PWRでのプルトニウムのマルチリサイクルにおいては、MOX使用済燃料の再処理プロセスにおいてアメリシウムを抽出・分離し、核種変換することが望ましい。フランスでは特殊なプロセスが実験室規模で開発されたが、今後は商業化が課題となる。
  • PPEにより決定された戦略の信頼性は、核種分離に関する研究にかかっているため、この研究に高い優先度を与えるべきである。

<地層処分場(CIGÉO)>

  • 予定されている地層処分場の設置許可申請において、処分対象の放射性廃棄物のリファレンス・インベントリに変更がない限り、CIGÉOプロジェクトに係わる研究開発や設置許可デクレ(政令)の準備に対して、多年度エネルギー計画(PPE)が影響を及ぼすことはない。
  • 国家評価委員会(CNE)は最近、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は地層処分場の設置許可を申請するのに十分な科学的知識と技術的要素を有していると結論した。ただし、次の2つのテーマについては、設置許可申請の前に、あるいはその審査が終わるまでに、さらに知識を補強する必要がある。
    • 放射線分解と腐食により水素が発生し、その結果、処分場内で長期間のうちに一時的な圧力上昇が生じると見込まれている。ANDRAは、この現象を想定した処分場の設計基準を遵守しているが、問題となる物理的プロセス及び実施される技術的方策に関わる裕度を明確にすべきである。
    • ビチューメン(アスファルト)固化された長寿命中レベル放射性廃棄物の処分は、火災リスクの点で留保が付いている。このテーマに関する国際レビュー の結論は、廃棄物発生者による適切な作業プログラムの明示を促すものであったが、まだ結果が出ていない。

<国際展望:ガバナンスプロセスに向けて>

  • 多くの国における放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関するガバナンスのプロセスを評価することにより、優れた取組の要素を抽出することができる。
  • 明瞭かつ透明な戦略的ガバナンスプロセスは必要条件であり、このプロセスの第一の目的は、現時点で直接関わりのある地元住民の正当な利益に配慮しつつ、将来世代を尊重できるような方策に関する積極的な研究への国民コミュニティの関与を確立することである。

【出典】


  1. 核種変換とは、長寿命放射性元素を分裂させることにより短寿命元素に変える技術である。 []
  2. 2020年発行のCNEの第14回評価報告書では、次のように説明している。「高レベル放射性廃棄物に関しては、EPR2におけるマルチリサイクルによってPuインベントリが安定して推移するようになる一方で、その同位体の劣化に伴ってマイナーアクチノイド(MA)の発生量が大幅に増加することになると考えられる。したがって、UOX燃料を使用して、また、50GWd/t程度の燃焼度で運転されるEPR2の場合、1.5kg/tのMAが生成され、その中には0.7kgのアメリシウム(Am)が含まれることになる。これに対して、MOX燃料が装荷されたEPR2の場合、同様の燃焼度において7.7kg/tのMAが生成され、その中には6.4kgのAmが含まれる。主な核分裂生成物が崩壊した後のガラスの発熱の主要因はAmであるため、この増加は地層処分場においてパッケージの処分に必要な面積の拡大につながることになる。」 []
北山に建設される地下研究所のイメージ図(出典:BRIUG)

北山に建設される地下研究所のイメージ図(出典:BRIUG)

中国核工業集団公司(CNNC)の下部組織である北京地質研究院(BRIUG)は、2021年6月17日に、高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域の一つである西北地域にある甘粛省北山(ペイシャン)において、花崗岩を対象とした地下研究所の建設プロジェクトを開始したことを公表した。この地下研究所は「中国北山地下研究所」1 と呼ばれており、スパイラル状のアクセス坑道、3本の立坑、地下560m地点に設置される主研究施設、地下280mに設置される補助研究施設等で構成されている。地上部分の敷地面積は2.47km2、坑道の総延長は約13.4kmである。ゴビ砂漠の西部で実施される建設プロジェクトの工期は7年を予定しており、当初は建設現場へのアクセス道路や水、電気、通信等の敷地整備を進め、3年目からトンネルボーリングマシン(TBM)を利用した地下掘削を開始する計画である。

北京地質研究院(BRIUG)は、地下研究所を建設する意義について、中国における高レベル放射性廃棄物処分の研究開発を推進し、国民の信頼を高めるという社会的価値を備えていると説明している。中国北山地下研究所の建設は、中国の2016~2020年を対象とした国家目標を定めた第13次五カ年計画における重点プロジェクトの一つとして位置づけられている。

■中国の高レベル放射性廃棄物の処分方針

中国では、2017年9月1日に成立した原子力安全法において、高レベル放射性廃棄物は地層処分する方針を定めており、地層処分の実施主体は、原子力発電事業等を実施する国営企業体である中国核工業集団公司(CNNC)である。CNNCの下部組織の一つである北京地質研究院(BRIUG)は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発を実施している。

処分場候補サイト調査対象地域

中国における高レベル放射性廃棄物の処分事業は、2006年2月に策定された「高レベル放射性廃棄物地層処分に関する研究開発計画ガイド」で設定された3段階の活動計画に沿って進められている。第1段階の2006年~2020年の期間では、実験室レベルでの研究開発と処分場のサイト選定、地下研究所の設計及び処分場の概念設計、安全評価を進めることとなっている。中国核工業集団公司(CNNC)は、6カ所の高レベル放射性廃棄物処分場の候補地域(西北地域、内モンゴル地域、華東地域、西南地域、広東北部地域、新疆ウイグル地域)について、予備的な比較検討を実施して西北地域の北山を重点対象とし、サイト選定における地質・水文地質学的条件、地震学的条件及び社会・経済的な条件に関する調査を実施した。

北京地質研究院(BRIUG)は2016年に、地下研究所建設プロジェクトの提案を起草するとともに、甘粛省北山(ペイシャン)において、地下研究所のサイト評価のためのデータ取得を目的としたボーリング孔の掘削を進めていた。中国北山地下研究所の建設プロジェクトは、2019年に中国の最高の国家行政機関である国務院の同意を受け、国防科学技術工業局によって承認された。

■第2段階以降の活動計画

活動計画の第2段階となる2021年~2040年の期間では、地下研究所の建設、地下研究所での各種試験、プロトタイプ処分場のフィージビリティ評価と建設許可申請、安全評価を実施する計画である。北京地質研究院(BRIUG)は今後、中国北山地下研究所の建設プロジェクトを進めるほか、放射性廃棄物管理のための政策等を担当する国家原子能機構(CAEA)の委託を受けて、国内外の研究者や専門家の交流を推し進める国の研究開発プラットフォームとなる「高レベル放射性廃棄物地層処分イノベーションセンター」を設置する計画である。

活動計画の第3段階となる2040年~今世紀半ばにかけては、プロトタイプ処分場において、実廃棄体を用いた試験を行い、処分場の総合的な機能を検証し、実際の地層処分場の建設許可申請と安全評価、環境影響評価を行うこととなっている。

【出典】


  1. 中国語では「中国北山地下实验室」と表記される。 []

フィンランド国有の有限責任会社で研究開発機関であるフィンランド技術研究センター(VTT)は、2021617日付のプレスリリースにおいて、VTTが所有する研究炉FiR1の廃止措置に関して、フィンランド政府が許可を発給したことを公表した。廃止措置に伴い発生する低中レベル放射性廃棄物は、ロヴィーサ原子力発電所を所有・運転するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が今後、ロヴィーサで貯蔵・処分する計画である。なお、FiR1の廃止措置に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物の総放射能量は5テラベクレル(TBq)以下であり、中間貯蔵用容器へ収納した場合は140トン、100m3程度になると推定されている。

研究炉FiR1は、首都ヘルシンキの西隣のエスポー市にある旧ヘルシンキ工科大学(現在のアールト大学)に置かれ1962年に運転を開始し、1971年にVTTへ移管された。これまで原子力に関する教育訓練や放射線治療などで活用されてきたが、VTT2015年にFiR1の運転を停止し、2017年に政府へ廃止措置に係る許可を申請した。なお、FiR1は、フィンランドで廃止措置される初めての原子力施設となる。

研究炉由来の放射性廃棄物管理について

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力利用に伴い発生する放射性廃棄物については発生者がその管理・費用に対して責任を有することが定められている。VTTは、研究炉FiR1の運転及び廃止措置で発生する放射性廃棄物について、その処分を含めた管理の計画・実施に関する責任を有している。これまでのFiR1の運転で発生した放射性廃棄物は、研究炉の施設内において貯蔵されている。また、VTTは原子力法に基づいて、雇用経済省(TEM)が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR)に廃棄物管理費用を積み立てている。

VTTは放射性廃棄物処分場を有していないため、国内の原子力発電事業者と交渉を行い、20203月にFPH社と研究炉の廃止措置に係る協力協定を締結した。FPH社は、協力協定に基づき廃止措置に係る計画策定、原子炉の解体、低中レベル放射性廃棄物の貯蔵・処分を実施することとなる。今後FPH社は、それらの放射性廃棄物をロヴィーサ原子力発電所において貯蔵・処分するために必要な許可を取得する予定である。VTTは、2017年に政府へ提出した廃止措置に係る許可申請書において、自社が責任を有する放射性廃棄物について、それらが処分される処分施設が閉鎖されるまで、引き続き管理責任を全うすることを記している。

なお、研究炉で使用していた燃料は米国から供給されたものであり、米国との協定に基づいて20211月に使用済燃料は米国へ返還されており、研究炉に由来する高レベル放射性廃棄物はフィンランドに存在しない。フィンランドでは原子力法により使用済燃料の輸出入は禁止されているが、研究炉の使用済燃料については例外扱いとなっている。

今後の予定

VTTは、廃止措置に向けた準備を既に開始するとともに、並行してFPH社と協力して廃止措置計画書の最終化を進めている。放射性物質を含む構造物の解体を開始するには放射線・原子力安全センター(STUK)の許可を受ける必要があるため、VTT2022年初頭に廃止措置計画書を提出し、審査を受ける計画である。2022年末にはFPH社が解体作業を開始し、解体には約1年を要する見通しである。廃止措置の完了後、原子炉が設置されていた建屋は所有者であるアールト大学に返還されることとなっている。

【出典】

米国のエネルギー省(DOE)は、2021年6月10日までに、DOEのウェブサイトにおいて、2022会計年度1 の「原子力ほか」(第3巻パート2)及び「環境管理」(第5巻)の予算要求に係る詳細資料(以下「DOE予算要求資料」という。)を公表した。2022会計年度の予算要求については、2021年5月28日に、大統領の予算教書が公表されたが、使用済燃料管理等に係るDOEの予算要求資料については、概要資料のみが公表されていた。DOE予算要求資料では、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理については、予算教書の添付資料で示されていた「統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラム」の38,000千ドル(40億円、1ドル=105円で換算)のほか、「使用済燃料処分等研究開発プログラム」として62,500千ドル(65億6,250万円)が要求されている。

米国における放射性廃棄物管理に関連する予算の構造は、以下のようになっている。なお、表中には、放射性廃棄物処分等に関係が深い独立機関の予算も参考として併せて示している。

 

予算項目

プログラム

サブプログラム
(サブプログラムがない場合は括弧内に概要説明)

2022会計年度要求額(単位:千ドル)

財源

DOE

原子力(Nuclear Energy)

燃料サイクルR&D
(Fuel Cycle Research and Development)

使用済燃料処分等研究開発(Used Nuclear Fuel Disposition R&D)

62,500

一般

統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)
(Integrated Waste Management System)

38,000

放射性廃棄物処分
(Nuclear Waste Disposal)

放射性廃棄物基金(NWF)監督(Nuclear Waste Fund Oversight)

(NWFの監督、ユッカマウンテンサイトの維持・管理)

7,500

NWF

エネルギー先端研究計画局(ARPA-E)
(Advanced Research Projects Agency – Energy)

ARPA-Eプロジェクト

(廃棄物減少技術を含め、新たに15のFOA)

(FOA全体で500,000)

一般

国防環境クリーンアップ
(Defense Environmental Cleanup)

廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)

WIPP操業ほか
(換気システム等の設備更新を含む)

437,230

独立機関

原子力規制委員会(NRC)

高レベル放射性廃棄物処分

(高レベル放射性廃棄物処分場の許認可審査)

0

NWF

放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)

活動費

(DOE研究開発活動の評価等)

3,800

NWF

FOA:資金提供公募(Funding Opportunity Announcement)

■DOEの放射性廃棄物処分関連予算の全体概要

DOEの高レベル放射性廃棄物処分関連の予算については、DOE予算要求資料「原子力ほか」(第3巻パート2)の原子力(Nuclear Energy)の予算項目でのDOE原子力局(NE)の予算として、燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムの下で、「使用済燃料処分等研究開発プログラム」及び「統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラム」の予算が要求されている。また、放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)の予算項目の中で、放射性廃棄物基金(NWF)の監督やユッカマウンテンサイトの維持・管理を行う放射性廃棄物基金監督プログラムの予算がNWFを財源として計上されている。その他、2022会計年度には、新たにエネルギー先端研究計画局(ARPA-E)における資金提供公募(FOA)のテーマの1つとして、「高レベル放射性廃棄物を飛躍的に減少させる技術」が示されている。さらに、TRU廃棄物処分関連の予算については、DOE予算要求資料「環境管理」(第5巻)の国防環境クリーンアップの予算項目として、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の予算が計上されている。

■原子力/燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムの予算

DOE予算要求資料「原子力ほか」(第3巻パート2)でのDOEの燃料サイクル研究開発(R&D)プログラムのうち、使用済燃料処分等研究開発プログラムでは、処分方策に中立な放射性廃棄物管理プログラムの開発や高レベル放射性廃棄物のインベントリを勘案したオプションを開発することに主な焦点を当てるものとして、前年度の歳出予算額と同額の62,500千ドル(65億6,250万円)の予算が示されている。今回のDOE予算要求資料で、処分の研究開発では、引き続き3つの母岩(粘土質岩、岩塩及び結晶質岩)における処分システムの長期的性能の理解を深めることを目的としている。具体的に、使用済燃料処分等研究開発プログラムにおいて2022会計年度に実施する活動のうち、直接的に処分に関連する事項としては以下が示されている。

  • 新しい事故耐性燃料(accident tolerant fuels)の貯蔵・輸送・処分性能特性の試験、評価
  • 様々な地層で実施されている研究開発を活用するための国際的パートナーとの協力を含め、様々な廃棄物及び使用済燃料の廃棄体の処分オプション探求に関連した、高優先度の研究開発活動の継続
  • キャニスタの再パッケージの必要性を解消することができるよう、輸送・貯蔵兼用キャニスタの直接処分での技術的フィージビリティを評価
  • 廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)における原位置試験プロジェクトを含め、岩塩における発熱性廃棄物の処分に係る科学的・工学的技術基盤の継続

また、使用済燃料処分等研究開発プログラムにおいては、原子力規制委員会(NRC)や産業界と協力して、高燃焼度燃料の貯蔵に係るフルスケールでのキャスク実証試験、及び高燃焼度燃料の輸送・貯蔵に係る研究開発活動等を継続することも示されている。

「統合放射性廃棄物管理システム(IWMS)プログラム」については、前政権の2021会計年度の予算でDOEは廃止を提案したが、2020年12月27日に成立した2021会計年度包括歳出法(H.R.133、Public Law No.116-260として成立)ではIWMSプログラムの予算が計上されていた。なお、2021会計年度については、前政権が新設を要求した「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムにおいて、中間貯蔵及び輸送計画に関する活動に係る予算が計上されていたが、2022会計年度の予算要求では、中間貯蔵等の活動予算はIWMSプログラムに移管されている。今回のDOE予算要求資料では、IWMSプログラムの予算として38,000千ドル(39億9,000万円)が要求されており、うち少なくとも20,000千ドル(21億円)は、商業用使用済燃料の短期的な貯蔵への要求に対応するため、同意に基づく中間貯蔵プログラムの開発・実施をサポートする予算とされている。2021会計年度包括歳出法では、IWMSプログラムの予算は18,000千ドル(18億9,000万円)であったが、「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督」プログラムの中で20,000千ドル(21億円)が中間貯蔵プログラムの予算として割り当てられていた。

今回のDOE予算要求資料では、IWMSプログラムは、包括的な使用済燃料管理システムの一部として、同意に基づく中間貯蔵プログラムの開発・実施の取組みをサポートするとともに、貯蔵や輸送等に係る活動を行うものであり、高レベル放射性廃棄物が現在貯蔵されている地域や政府、関係者との協働も含まれるとの考え方が示されている。また、潜在的な立地自治体(potential host communities)との協働による同意に基づくサイト選定アプローチに係る具体的な活動としては、以下が示されている。

  • 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定プロセス実施のために考慮すべき要因に焦点を当てて情報要求(Request for Information)を発出
  • 連邦・州・地方の議員、組織、担当官、コミュニティ及び先住民族を含むステークホルダーからのフィードバックを要請
  • 前回の同意に基づくサイト選定イニシアチブに参画していたステークホルダーと接触し、立場の変化の確認とともに追加的な考慮事項を議論する機会を提供
  • 社会的公正と環境正義(environmental justice、環境に係る利益と負担の不公平な配分の是正)を織り込んだ廃棄物管理システムの構築
  • 連邦と民間の中間貯蔵施設アプローチの費用便益評価
  • 予備的設計概念の開発
  • 様々な設計・立地における規制に関する環境の考慮事項の分析
  • オプション解析と輸送計画への情報として、対象の放射性廃棄物インベントリの量及び詳細情報の収集に係る重要データの更新と分析
  • 大規模輸送のためのシステム能力とインフラのニーズを確立するための取組みを継続

IWMSプログラムにおける2022会計年度の実施事項としては、これらの同意に基づくサイト選定アプローチに係る活動に加えて、先進技術を踏まえた貯蔵アプローチ・解決策の開発継続、施設許認可や操業計画を支援するコンピュータ解析ツールの開発継続のほか、輸送に係るものとして、輸送インフラの評価や鉄道輸送車両の試験・実証の継続、鉄道輸送のセキュリティ・安全監視システム開発の着手などが挙げられている。

■放射性廃棄物処分/放射性廃棄物基金(NWF)監督プログラムの予算

DOE予算要求資料「原子力ほか」(第3巻パート2)では、放射性廃棄物基金からの支出で賄うものとされる「放射性廃棄物基金(NWF)監督」プログラムについては、2022会計年度の実施活動として、以下が示されている。

  • 放射性廃棄物基金(NWF)の投資ポートフォリオに係る適切な投資戦略の実施と慎重な管理
  • 標準契約2 の管理
  • ユッカマウンテンサイトについて、DOE令(DOE Order 473.3A)に基づく物理的セキュリティ要件、メンテナンスや環境要件の維持
  • 連携連邦スタッフ等のサポート

■国防環境クリーンアップ/廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の予算

米国で超ウラン元素を含む放射性廃棄物(TRU廃棄物)の地層処分場として操業中の廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、DOE予算要求資料「環境管理」(第5巻)において、2022会計年度の実施項目として、メンテナンスや鉱山活動を含む処分活動の継続のほか、換気システムや新たな立坑の建設、代替処分パネル建設に向けた規制対応、環境保護庁(EPA)の適合性再認定やニューメキシコ州環境省(NMED)への対応なども挙げられている。WIPPに係る予算要求額が、2021会計年度歳出予算から17,164千ドル(約18億円)増額の430,424千ドル(約451億円)となっている理由としては、各廃棄物発生サイトからの輸送費用の増加のほか、インフラ再整備プロジェクトの継続や鉱山の近代化が挙げられている。DOE予算要求資料では、WIPPにおけるインフラや機器の一部は設計寿命を超えて使用されるなど劣化等が進んでおり、大掛かりな補修・交換による鉱山内施設の近代化が必要なことが示されている。

【出典】

 

【2021年7月2日追記】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2021年7月1日に、2022会計年度の予算要求に係る詳細資料(以下「NRC予算要求資料」という。)を公表した。2022会計年度の予算要求については、2021年5月28日に大統領の予算教書が公表され、さらに、2021年6月10日までにエネルギー省(DOE)の予算要求詳細資料が公表されていたが、NRCの予算要求については予算教書の添付資料で概要が示されるのみとなっていた。今回公表されたNRC予算要求資料では、使用済燃料のためのユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動及び高レベル放射性廃棄物のためのその他の予算は要求されていないことが、予算の概要及び「核物質・廃棄物安全」の予算項目で明示された。

NRC予算要求資料の「核物質・廃棄物安全」の予算項目においては、放射性廃棄物処分及び貯蔵に関連する活動のための予算が示されている。このうち、使用済燃料の貯蔵に関する活動項目では、民間で計画している2カ所の集中中間貯蔵施設に対する安全性・セキュリティ・環境の審査について、裁判形式の裁決手続を含むものとして、約40万ドル(約4,200万円、1ドル=105円で換算)、常勤換算人員数では1.0の予算が要求されている。集中中間貯蔵施設に係る予算については、許認可申請書の審査が完了することにより、2021会計年度よりも減少することが示されている。なお、2021会計年度のNRC予算要求資料では、集中中間貯蔵施設の許認可審査に係る予算要求額は約4百万ドル(約4,000万円)、常勤換算人員数では12となっていた。

2014~2022会計年度のNRC予算
(NRC予算要求資料から引用)

また、NRC予算要求資料によれば、2022会計年度のNRC全体の予算要求額は約887.7百万ドル(約932億円)、常勤換算人員数では2,879となっている。これは、2014会計年度と比較すると、予算額で約16%、常勤換算人員数では約24%の減少となる。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2022会計年度の予算は2021年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. DOEは、1982年放射性廃棄物政策法により、使用済燃料処分のための「標準契約」を原子力発電事業者と締結することが必要とされている。標準契約では、原子力発電事業者による拠出金の支払義務、DOEによる使用済燃料引取り義務等が定められている。 []

米国で2021年5月28日に、2022会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。2022会計年度の予算要求については、2021年4月9日に、裁量的予算(discretionary funding)に関する概算要求が示されていたが、詳細な予算教書の提出は遅れていた。

今回の大統領の予算教書は、2021年1月に誕生した民主党のバイデン政権による初めての予算教書となるが、共和党のトランプ政権や民主党のオバマ政権とは異なり、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物(以下「高レベル放射性廃棄物」という。)の管理・処分については、重要方針の中で言及されていない。

ただし、予算教書の添付資料では、放射性廃棄物基金からの支出で賄われる予算として、高レベル放射性廃棄物処分(Nuclear Waste Disposal)の項目において、「放射性廃棄物基金監督(Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムとして7,500千ドル(約7億9,000万円)が要求されている。同プログラムでは、ユッカマウンテンサイトの維持や環境要件、セキュリティ関連の活動などユッカマウンテンサイトの安全性確保、並びに、1982年放射性廃棄物政策法で規定された管理義務を含め、放射性廃棄物基金の監督を継続することが示されている。なお、トランプ政権の2021会計年度の予算要求では、高レベル放射性廃棄物処分の項目において「中間貯蔵及び放射性廃棄物基金監督(Interim Storage and Nuclear Waste Fund Oversight)」プログラムの予算として27,500千ドル(約28億8,750万円)が要求され、2020年12月27日に成立した2021会計年度包括歳出法(H.R.133、Public Law No.116-260として成立)でも同額が承認されていた。

エネルギー省(DOE)の予算概要資料では、ユッカマウンテン計画の再開に関する予算は要求されておらず、使用済燃料中間貯蔵の同意に基づくサイト選定について、基盤作りに向けた活動を行う方針が示されている。

高レベル放射性廃棄物の管理・処分に係る予算については、DOEの予算要求に係る詳細資料が公表されていないために詳細は不明であるが、DOEの予算概要資料では、「燃料サイクル研究開発プログラム」の一部として、38百万ドル(約40億円)を「統合廃棄物管理システム(IWMS)」サブプログラムに計上することが示されている。燃料サイクル研究開発プログラムの下では、民間使用済燃料の中間貯蔵オプションを確立するための取組を含め、高レベル放射性廃棄物の管理・処分の進展を促進し得る先進燃料サイクル技術の研究開発の実施、並びに、使用済燃料の中間貯蔵に係る同意に基づくサイト選定を効果的に、環境公正的に実施するための基盤作りに必要な活動の計画や策定のための予算も含まれていることが、DOEの予算概要資料で示されている。2

なお、高レベル放射性廃棄物管理に関する研究開発については、DOEのエネルギー先端研究計画局(ARPA-E)における2022会計年度の資金提供公募(FOA)の新規テーマの1つとして、「高レベル放射性廃棄物を飛躍的に減少させる技術」が示されている。DOEの予算概要資料では、安全性及びセキュリティの面で放射性廃棄物に内在するリスクを排除する新しい技術・プロセスを通じて、放射性廃棄物処分の喫緊の必要性に応えることが重要な要素であるとの考え方を示している。

DOEのその他の放射性廃棄物処分関連の予算では、ニューメキシコ州で操業中の軍事起源のTRU廃棄物の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、437,230千ドル(約459億920万円)が要求されている。2021会計年度歳出予算から約17百万ドルの増額となっている理由として、インフラ再整備プロジェクトの継続や鉱山活動の近代化、各廃棄物発生サイトからの輸送費用の増加が挙げられている。

一方、原子力規制委員会(NRC)の予算要求についても、詳細な予算要求資料は未だ公表されていないが、2022会計年度の予算教書の添付資料によれば、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査活動のために放射性廃棄物基金から支出される予算は要求されていない。

また、放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)については、2021会計年度歳出予算から微増の3,800千ドル(3億9,900万円)の予算が要求されている。NWTRBの予算要求資料では、DOE研究開発活動の評価、客観的な技術的・科学的情報の構築や連邦議会及びエネルギー長官への報告など、2021~2022会計年度の戦略目標や達成目標も示されている。なお、NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価するため、行政府に設置された独立の評価機関である。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2022会計年度の予算は2021年10月1日からの1年間に対するものである。 []
  2. 中間貯蔵の同意に基づくサイト選定のための活動がIWMSで、先進燃料サイクル技術の研究開発が使用済燃料処分等研究開発(UNFD研究開発)プログラムと思われるが、UNFD研究開発プログラムの予算金額を含め、詳細は示されておらず、不明である。 []

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2021年5月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分に関する環境影響評価(EIA)報告書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。TVO社は、オルキルオト原子力発電所の保守・点検作業等で発生した防護服やプラスチック製養生シート等の放射能レベルが極めて低い放射性廃棄物について、今後、地表埋立て処分を行う計画である。

TVO社による極低レベル放射性廃棄物処分計画の概要

オルキルオト原子力発電所では、原子炉2基がそれぞれ1978年と1980年に運転を開始しているほか、欧州加圧水型炉(EPR)である3号機が2022年に運転を開始する予定である。TVO社は、原子炉の運転に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物を、同発電所サイト内の地下60~100mの岩盤空洞中に建設された処分場(サイロ型の地下空洞処分場)において、1992年から処分している。所定のクリアランスレベルを満足する廃棄物は、発電所に隣接する自社敷地内の埋立て地で産業廃棄物として処分している。しかし、放射能レベルが極めて低いがクリアランスできない廃棄物については、低レベル放射性廃棄物として地下空洞処分場で処分していた。

フィンランドでは原子力令の2015年改正により、「極低レベル放射性廃棄物」(1kgあたりの放射能量が10万Bq未満)が定義され、これに該当する廃棄物は地表での埋立て処分が可能となった。TVO社は、今後発生する廃棄物については極低レベル放射性廃棄物を分別し、それらを地表埋立て処分することにより、既存の地下空洞処分場の処分容量を有効に活用したい考えである。

TVO社が検討している地表埋立て処分場の概念は、地表地盤上にシーリング層を構築し、その上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものである。地表埋立て処分場の大きさは80m×110mを予定されている。廃棄物パッケージの処分は5~10年毎のキャンペーン方式で実施され、2090年代まで続く見通しである。地表埋立て処分場の底部に設置された排水/集水システムにより、浸出水の水質をモニタリングする。最終的に処分される極低レベル放射性廃棄物の総放射能量は1TBq未満である。

環境影響評価手続きの流れと予定

TVO社は、今回の環境影響評価(EIA)報告書の提出に先立ち、2020年8月に雇用経済省に極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分事業に関するEIA計画書を提出していた 。TVO社はEIA計画書に対する公衆の意見や監督官庁の意見書を踏まえて、地表埋立て処分による環境影響の評価を実施し、EIA報告書を取りまとめている。当初、EIA計画書で示された地表埋立て処分の説明では、クリアランスされた廃棄物用の埋立て地(既存)を転用する案が残されていたが、EIA報告書ではその案が削除されている。

雇用経済省(TEM)は、TVO社から提出を受けたEIA報告書について、2021年6月1日から7月31日にかけて公衆などからの意見募集を行うほか、2021年6月17日に公衆向けのオンラインセミナーを開催する予定である。

なお、TVO社はEIA報告書において、地表埋立て処分場は重大な原子力施設には該当しないため、原子力法に基づく政府による原則決定、建設・操業許可の申請手続きは不要であるものの、極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分を実施するためには、原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の処分を2023~2024年頃に開始する予定である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

また、EIA報告書が提出された後に雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】