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§ 2016年6月22日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

ドイツで「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が処分場サイト選定における公衆参加手続き等を決定ー最終報告書へ組み込み-

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ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2016年6月15日に開催された第31回会合において、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の各段階における公衆参加の枠組みや流れについて決定した。今回合意された内容は、2016年6月30日までに連邦政府及び連邦議会に提出される予定の最終報告書の「7.3節 関係者、委員会」及び「7.4節 公衆参加の手順」に組み込まれる。

処分委員会は、探査サイトの地元住民がサイト選定の早期から対話に参加し、サイト選定における決定に関与することを実現するためには、新しい公衆参加形態が必要であるとの認識から、広範な公衆参加の枠組みを決定したとしている。これらの公衆参加形態については、処分委員会の最終報告書に基づき、連邦政府による法令への反映が想定されている。

公衆参加手続きの概要

2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) では、地質学的な除外要件及び最低要件の適用により提示される複数のサイト地域から、地上探査サイト地域の選定(第1段階)、地下探査サイトの選定(第2段階)、最終的なサイトの提案・合意(第3段階)へと段階的に絞り込みが行われることが規定されている。

今回、処分委員会において決定された公衆参加手続きでは、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定における公衆参加を目的として、サイト選定法に基づく選定手続の各段階に対応し、連邦、地域横断、地域の3つのレベルで委員会や合議体を設置する方針である(下表参照)。

 

サイト選定プロセス

委員会・合議体の設置レベル

第1段階
地上探査サイト地域の選定

第2段階
地下探査サイトの選定

第3段階
処分場サイトの提案・合意

サイト区域選定

地上からの探査サイト地域選定

地上からの探査の実施

地下探査サイト選定

地下探査の実施

サイト提案・合意

連邦

社会諮問委員会

地域横断

サイト区域専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域

地域会議(多数)

地域会議(多数)

地域会議(複数)

地域会議(複数)

地域会議(1カ所)

 

公衆参加のための枠組みの詳細

連邦レベルでは中立的な立場から、サイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスを監視するため、「社会諮問委員会」が設置される。サイト選定プロセス第1段階では、処分実施主体が提案する「地上からの探査サイト地域」の地元では、地域レベルの合議体である「地域会議」が設置される。

サイト選定プロセス第1段階において、各地元に「地域会議」が設置される前段階では、地域横断レベルの合議体として「サイト区域専門会議」が設置される。この合議体の役割は、処分実施主体が第1段階の中間において「地上からの探査サイト地域」を提案した以降は、各地域会議から同数の代表者が参加する合議体「地域代表者専門会議」に引き継がれる。

これらの委員会・合議体は、サイト選定プロセスの各段階において、公衆参加の結果を報告書としてとりまとめ、提出することとされている1連邦、地域横断及び地域の各レベルにおいて設置される委員会・合議体の設置時期、構成、及び役割を以下に示す。

<連邦レベル>

社会諮問委員会

  • 設置: 2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後、選定プロセス開始に先立ち、9名の委員で暫定的に設置される。選定プロセス開始に伴い18名の委員で本格的に活動を開始する。
  • 構成:国民を代表する18名の委員で構成される。このうち12名は連邦議会と連邦参議院から半数ずつ選出し、残る6名は性別年齢を考慮した上で無作為に抽出された全国の市民から選出する。市民代表のうち2名は16歳から27歳の若年層から選出する。委員指名は連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)により行われる。
  • 役割:中立的な立場から、サイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスにおいて、手続き全体を監視すると共に、関係者間の調整を行う。

社会諮問委員会については、サイト選定法において、連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に設置することが規定されている。しかし、処分委員会は、最終報告書提出後に公衆参加の空白期間が生じることを回避する目的で、これを前倒しで設置することを提案している。すでに超党派の議員がサイト選定法の改正案を議会に提出している。

<地域横断レベル>

サイト区域専門会議

  • 設置:連邦放射性廃棄物機関(BGE)によるサイト選定の第1段階の中間報告書作成後に連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が設置する。
  • 構成:BGEによる第1段階の中間報告書において、提示される「サイト区域」の代表者を中心に構成される。該当するサイト区域内の自治体や各種社会組織及び市民の代表者に加え、該当区域外の専門家も参加することが望ましいとしている。
  • 役割:選定プロセスにおける利害関係者となる区域が特定され、地域会議が設置される前の段階において、公衆が参加する機会を提供する。BGEによる第1段階の中間報告書提示後、6カ月間に3回にわたり会議を開催し、中間報告書を評価する。

地域代表者専門会議

  • 設置:地域会議の設置後に、サイト区域専門会議に代わり設置される。
  • 構成:各地域会議から同数の代表者が参加する。総数は30名を超えないものとされている。
  • 役割: 連邦放射性廃棄物機関(BGE)及び連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)のサイト選定・審査結果を検証するとともに、各地域会議におけるプロセスを比較する。また、探査サイトにおける地域開発促進のための包括的な戦略を検討する。会議の頻度は選定プロセスの進捗によるが、最低でも年3回は開催する。

<地域レベル>

地域会議

  • 設置:新たな処分実施主体として処分委員会が設置を提案している連邦放射性廃棄物機関(BGE)による第1段階の地上からの探査サイト地域の提案を受けて、サイト選定を監督する役割を有す連邦放射性廃棄物処分庁(BfE) が提案されたサイト地域ごとに設置する。
  • 構成:処分委員会が提示している地域会議の概念モデルには、「代表者グループ」、「総会」、「公衆」の3つの層が含まれる。「代表者グループ」は地域内の自治体、経済・環境団体等の各界、並びに市民の代表者から成り、総数は30名を超えない規模とされる。「総会」には、当該地域の全有権者が参加可能であり、代表者グループの任命権限があるほか、代表者グループに対して要望や提案を提示することが可能である。「公衆」はその他を含む公衆一般であり、代表者グループが、これら公衆に対し、BfEが運営するインターネット上の情報プラットフォームを通じた情報提供に加え、地域会議の枠組みによる公衆参加機会の提供を行う。
  • 役割:サイト選定プロセスに密接に関与し、重要な提案、決定の正当性や実証可能性を検証するとともに、関心を持つ全ての市民がサイト選定プロセスに参加しやすくなるように配慮する。また、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が提示する処分場設置に伴う社会経済的影響について議論を行う。処分場サイトの最終提案が行われる第3段階では、サイトの提案の検証を行うと共に、立地地域の地域開発に関する合意の策定に取り組む。

【出典】


  1. ただし、サイト区域専門会議を除く。サイト区域専門会議の関与は、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が第1段階の提案に向けて作成する中間報告書の評価に限られる。 []

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2017-08-15 )