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《ドイツ》放射性廃棄物処分に関する新たな規制機関である連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が活動を開始

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(Bundesministerium für Umwelt, Naturschutz, Bau und Reaktorsicherheit, BMUB)は、2014年8月29日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分に関する新たな規制機関である連邦放射性廃棄物処分庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgung, BfE)が2014年9月1日に活動を開始したことを公表した。BfEの活動開始については、2014年8月27日付で連邦官報において公布されたBfEの設置に関するBMUBの省令に基づき実施されたものである。BfEの活動開始に伴い、BfEのウェブサイト(http://www.bfe.bund.de/)も開設された。

BfEは、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)とともに2013年7月に制定された連邦放射性廃棄物処分庁設置法(以下「BfE設置法」という)に基づいて、BMUBの下に設置された新しい規制機関である。

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)の役割

BfE設置法では、BfEが原子力法やサイト選定法等の規定に基づき、放射性廃棄物処分場の許認可に係る業務を行うことに加え、許認可に関連する分野において、BMUBを科学技術的な面から支援することなどを定めている。

また、サイト選定法では、放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射線防護庁(Bundesamt für Strahlenschutz, BfS)が実施する発熱性放射性廃棄物処分場のサイト選定手続をBfEが監督することなどを規定しており、以下のようなBfEの具体的な役割を定めている。

  • BfSが実施するサイト選定手続の監督、サイト選定手続の進め方等のサイト選定法への適合性の確認(サイト選定法第17条及び原子力法第19条)
  • 地上からの探査サイト及び地下探査サイトに関するBfSの提案の評価(サイト選定法第14条・第17条)
  • 地上からの探査計画、地下探査計画、及びサイトの評価基準の確定(サイト選定法第15条・第18条)
  • 戦略的環境影響評価1 の実施(サイト選定法第18条及び環境影響評価法第14a条)
  • BMUBに対する処分場サイトの提案(サイト選定法第19条)
  • サイト選定手続に係る公衆への情報提供(サイト選定法第9条・第10条など)
  • 放射性廃棄物発生者が負担する処分場サイト選定に係る費用の分担額等の算定及び確定(サイト選定法第21~26条)

また、2013年に改正された原子力法第9a条に基づいて、発熱性放射性廃棄物処分場サイトがサイト選定法に基づき確定される場合、従来の計画確定決議に代わって、BfEが建設・操業・廃止措置に係る許認可を発給することになる。

さらに、放射性廃棄物処分場に関する規制のうち、鉱山法に基づく許認可などの発給については、現状、連邦委任行政により州の担当官庁が行っているが、今後はBfEの所管となる。さらに、既存の放射性廃棄物処分場の規制は、それぞれ以下のタイミングでBfEに移管されることになっている。

処分場 種別 規制対象への移管
コンラッド処分場
(建設中)
非発熱性放射性廃棄物 操業開始後
モルスレーベン処分場
(廃止措置の準備段階)
低中レベル放射性廃棄物 廃止措置に関する計画確定決議後

 

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)の発足時における体制

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)発足時の組織図 (BfEウェブサイトより作成)

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)発足時の組織図
(BfEウェブサイトより作成)

BfEの設置に関するBMUBの省令は、BfEの活動開始期日を2014年9月1日と定めると共に、設置段階における体制などについても定めている。設置段階における体制は右図の通りである。

なお、BfEの設置に関するBMUBの省令によれば、現在の体制は、将来的に管理部門1部署に加え、分野に応じて複数の専門部署を擁する体制に変更できるとされている。

BfEのウェブサイトによれば、BfEの当面の任務は、発熱性放射性廃棄物処分場の処分場候補サイトであったゴアレーベンの維持管理 に必要な費用を含めた、サイト選定関連費用に係る資金を確保する作業であり、放射性廃棄物発生者が負担する分担金額等を確定する作業を行うとしている。

【出典】

  1. 戦略的環境影響評価は、事業の計画決定過程、立地選定段階などで実施される環境影響評価を指す。 []

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-11 )