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《ドイツ》「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が新たな処分実施主体の設置を提案

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年3月2日に行われた第10回会合において、連邦政府の責任となっている放射性廃棄物処分について、処分実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として新たに設置することを求める提案を決議した。

処分委員会は、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) に基づいて連邦議会によって設置されたものであり、以下の事項についての提案を2015年末までに連邦政府に提出することになっている

  • 地層処分の代替処分概念の検討を行うかどうか
  • 処分の安全要件、サイトの除外基準・最低要件、母岩固有の除外基準及び選定基準、予備的安全評価の実施方法など
  • 処分の欠陥が認識された際に行う、欠陥是正措置(回収可能性、可逆性などの問題を含む)に関する基準
  • サイト選定に係る組織と手続きに関する要件、並びに、これら組織や手続きに関する代替案の検討
  • 公衆参加及び公衆への情報提供、透明性確保のための要件

現在のドイツの原子力法では、放射性廃棄物処分場の建設・操業等は連邦政府の責任と規定されており、連邦放射線防護庁(BfS)が処分実施主体となっている。また、原子力法では、処分場建設・操業等の作業は第三者に委託できることが規定されており、発熱性放射性廃棄物処分場の開発計画、非発熱性放射性廃棄物処分場であるコンラッド処分場及びモルスレーベン処分場における作業については、BfSが民間会社であるドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)に委託している1 。また、処分されている廃棄物を回収して閉鎖することを計画しているアッセII研究鉱山の管理作業等については、国有会社であるアッセ有限会社に委託している。

今回の処分委員会が行った決議では、放射性廃棄物処分場の建設・操業等は国営の組織が実施すべきであり、100%国営組織として設置される連邦放射性廃棄物機関(BGE)は、将来も民営化すべきでないとしている。また、現在の放射性廃棄物処分の実施主体であるBfSの他、DBE社及びアッセ有限会社の有している役割のすべてをBGEに継承させることを提案している。さらに同決議では、放射性廃棄物処分に関連した規制、許認可発給2 などのうち、州が担当すべきもの以外のすべてを単一の連邦機関が行うべきとしている 。

処分委員会の2015年3月2日付のプレスリリースでは、今回の提案は、将来の放射性廃棄物処分が、放射性廃棄物発生者の利害とは独立した形で実施されるようにするためのものとしている。また、この提案に沿った形で新たな処分実施主体や規制機関が迅速に作業を開始するためには、必要な法改正が適宜実施される必要があるとしている。

【出典】

  1. DBE社の株式の4分の3は原子力発電事業者の子会社である原子力サービス社(GNS社)が保有している。 []
  2. サイト選定法等に従い、2014年9月に放射性廃棄物分野の規制を担う連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が設置されており、放射性廃棄物処分場に係る許認可発給等の役割を有している 。しかし、使用済燃料や放射性廃棄物の中間貯蔵施設に関する許認可発給についてはBfSが担当している。 []

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-11 )