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フランス会計検査院(CDC)は2012年1月31日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関する報告書を首相に提出したことを公表し、同報告書をウェブで公開した。報告書は全ての放射性廃棄物に係る今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している。

首相は2011年5月17日付の会計検査院に対する書簡において、原子力発電事業に係る費用の検証を要請していた。同報告書は、会計検査院が同要請に基づき検証を行った結果を取りまとめたものであり、過去の原子力発電所の建設投資費用や現在の運転費用に加えて、廃止措置や放射性廃棄物管理等のために将来発生する費用についても検証されている。

報告書によれば、会計検査院は地層処分事業の費用を含む全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している1。但し、地層処分事業に係る費用の詳細は最終的に決定されていないため、この試算額は不確定であるとしている。また、地層処分事業の費用に関連する事項として、会計検査院は報告書において次のような評価結果を示している。

  • 試算値の一部である地層処分事業の費用は2005年の見積額である165億ユーロに基づいているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)はこの見積額を2009年に見直し、360億ユーロに上方修正している。正式な見積額は省令によって2015年までに決定されるべきである。
  • 使用済みの混合酸化物燃料(MOX)及び濃縮回収ウラン燃料(URE)については、現状では再処理が実施されていないため、フランス電力株式会社(EDF)はこれらの使用済燃料を高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物と同様に地層処分対象の廃棄物であるとみなし、その長期管理のための引当金を計上している。この方法論自体は適切であるが、引当金が正確に計上されていることを証明する必要がある。また、これらの使用済燃料を直接処分するという仮定についても現実的に検討すべきである。

これらの評価結果を踏まえて、会計検査院は放射性廃棄物の長期管理について次の2つの提言を行っている。

  • 地層処分事業の費用について、可及的速やかに新たな見積額を算定することが望ましい。算定にあたっては、地層処分場の安全性に関する見解を示すことができる唯一の機関である原子力安全機関(ASN)の決定を順守すべきである。
  • 地層処分事業の費用に関する新たな見積額を決定する枠組みで、使用済みのMOX燃料及びURE燃料を直接処分した場合の費用についても試算されるべきである。これらの使用済燃料を直接処分するという仮定については、処分場の設計作業においても考慮されるべきである。

上記の会計検査院の報告を受けて、経済・財務・産業大臣付産業・エネルギー・デジタル経済担当大臣は2012年1月31日付のプレスリリースにおいて、地層処分事業の費用については2012年末までに費用の算定作業が終了する予定であることを示している。

【出典】


  1. 地層処分に加えて、低・中レベル放射性廃棄物の浅地中処分、極低レベル放射性廃棄物の浅地中処分、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分、更には未だに処理されていない歴史的廃棄物の処理・調整などに係る全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用としての試算 []

「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2012年1月26日に、米国の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分に係る安全かつ長期的な解決策のための包括的な提案を示した最終報告書をエネルギー長官に提出した。ブルーリボン委員会は2011年7月にドラフト報告書を公表しており 、最終報告書は、その後の意見募集を経て、委員会設置から2年以内という期限に合わせ、最終報告・提言が取りまとめられたものである。

最終報告書では、概ねドラフト報告書の内容が踏襲されているが、勧告された戦略の重要な要素として、「集中貯蔵施設や処分場が利用可能となった際に開始される使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の大規模な輸送のための迅速な取組」が追加され、8つのポイントが示されている(他の7点については既報参照)。ブルーリボン委員会のプレスリリースでは、最終報告で示した戦略における極めて重要な要素として、以下の3点の勧告が挙げられている。

  1. 州などの地元の意に反して強要する試みは成功しておらず、将来の放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分場の立地選定は同意に基づくアプローチとすること。
  2. 米国での高レベル放射性廃棄物管理プログラムの責任は、DOEから独立で、安全な貯蔵及び処分の確保に専念する新しい組織へ移すこと。
  3. 毎年約7.5億ドルの放射性廃棄物基金への拠出金の連邦予算上の取扱いを変更し、連邦議会の当初の意図通りに使用できるよう確保すること。

ブルーリボン委員会は、エネルギー長官に宛てた書簡において、勧告の多くは政府及び連邦議会による行動が必要とした上で、勧告の実施においてエネルギー省(DOE)に関連する全ての要素を調整するため、十分な権限を有する上級担当官を速やかに指名するよう要請している。また、最終報告書では、放射性廃棄物の安全かつ恒久的な解決策の決定は現世代の義務であるとして、新たな戦略の必要性は緊急課題としている。

なお、ブルーリボン委員会は最終報告書においても、ユッカマウンテンの適性について見解を示すこと、放射性廃棄物管理に係る特定サイトを提案すること、米国の将来のエネルギー供給上の原子力発電の役割について見解を示すことは、委員会の検討対象とされていなかったとしている。ブルーリボン委員会のプレスリリースでは、これらは何れも重要な課題ではあるが、放射性廃棄物管理のための戦略の変更・改善の緊急性を変えるものではなく、ブルーリボン委員会が成し遂げようと努力したのは、サイトに関わらず適用可能であり、現状の行き詰まりの解決につながる確実な放射性廃棄物管理アプローチの勧告であるとしている。

【出典】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と連邦エネルギー庁(BFE)は、2012年1月20日付のプレスリリースにおいて、20カ所の地上施設の設置区域の案を公表した。これは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定手続の第2段階において、低・中レベル用(6カ所)、高レベル用(3カ所)の地層処分場の計6カ所の候補サイト区域(地下施設の設置が可能な区域)について、NAGRAが、今後の地域参加プロセスでの検討のために提案したものである。

特別計画による3段階のサイト選定手続の第1段階は、候補サイト区域が確定され、2011年11月に完了している。現在進められている第2段階は、4年の期間が必要と見込まれており、その目的は、低・中レベル用、高レベル用の地層処分場のそれぞれについて、最低2カ所の候補サイトを選定することとされている。この目的のため、特別計画により、NAGRAは、各々の候補サイト区域に対して、最低でも1カ所の地上施設の設置区域を提案することになっていた

今後、6カ所の候補サイト区域で実施されている地域参加プロセスにおいて、20カ所の地上施設の設置区域に対する検討が実施されることとなる。地域参加プロセスでは、NAGRAとも協力して、地上施設の構成やレイアウト等が検討され、また、NAGRAが提案した以外の地上施設の設置区域を独自に提案することも可能である。その後、これらの検討の成果も踏まえ、NAGRAは、2012年中を目途に、6カ所の候補サイト区域のそれぞれについて最低1カ所、地上施設の設置区域を指定する。さらに、NAGRAは、今後実施される予備的安全評価の結果も踏まえ、第2段階において低・中レベル用、高レベル用の地層処分場それぞれについて最低2カ所の候補サイトを提案することとなっている。提案された候補サイトは、連邦原子力安全検査局(ENSI)等の審査を受け、最終的に連邦評議会の承認によって、候補サイトが確定する。

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「提案された地上施設の設置区域」(NAGRA、技術報告書11-01「特別計画地層処分場第2段階 地層処分場の地上施設の設置区域の配置及びその開発 別冊」、2011年12月より))〔※クリックで拡大表示〕

今回提案された地上施設の設置区域は、右図の赤い点で示された20カ所である。緑、及び緑と橙色の縞模様で示されているのが、地下施設の設置が可能な候補サイト区域であり、それらを取り囲む灰色の部分が、地上施設の設置が可能な地点を含んだ「計画範囲」 である。

NAGRAは、今回の地上施設の設置区域の提案に関して、報告書を公表しているが、それによると設置区域は以下の基準を考慮して提案したとしている。

  • 安全性及び技術的実現性:交通網との接続、地形や面積等の状況、地下施設へのアクセス、安全性
  • 土地利用に関する適合性及び環境との適合性:土地利用の法的制限、地表の水流、地下水流、鉱物及び温泉の利用、自然保護区域の回避
  • 地域との調和:今日の利用状況、都市計画上の状況、保養地の所在、景観の保護

BFEのプレスリリースによると、今回の地上施設の設置区域の提案については、関係する州と自治体や土地所有者に対して、直接通知したとしている。またBFEは、今後数週間にわたって関係自治体の住民に対する説明会を開催するとしている。

【出典】

韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)は、2012年1月13日付のプレスリリースにおいて、建設中の中・低レベル放射性廃棄物の処分場である慶州市の「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の竣工予定を再度変更し、2014年6月としたことを公表した。

月城原子力環境管理センターは2008年8月に着工した。当初は2010年6月の竣工(工期53ヶ月)を予定していたが、2009年6月には、竣工時期が予定から2年以上遅れた、2012年12月に変更された 。今回、さらに18ヶ月工期が延長(総工期71ヶ月)されることになる。

KRMCは、2011年10月に新体制になった後、処分場建設事業全般に対して精密な見直しを実施した。その結果として、工法の改善にもかかわらず工期が不足するという結論に至ったとしている。延期の理由として以下の3点をあげている。

  • 岩盤特性を反映した設計の再検討の結果、建設予定の6つの処分坑道のうち、第1、第2処分坑道の工期として7ヶ月程度の延長を要する。
  • 地下水の湧水量の増加にともなう進入坑道の掘削工事に5ヶ月の延長を要する。
  • 処分坑道の施工のための設計審査に約3ヶ月(2011年1月~2011年3月)を要するほか、進入坑道のライニング工事に別途3ヶ月を要する。

さらに、KRMCは、処分場の安全性について、これまでにも許認可審査過程や国内外の専門機関による確認を受けているが、韓国国民の不安を解消するため、今後、海外の専門機関による安全性の検証を進めることを明らかにした。また、原子力発電所で発生している中・低レベル放射性廃棄物については、2010年12月に操業を開始した貯蔵施設での貯蔵容量を増やすことで、管理に支障がないようにするとしている 。なおプレスリリースによると、処分場の施工会社から、処分場を部分的に竣工させることにより、処分場の建設と操業を並行して進める代替案の提示を受けていたが、KRMCは、工期を延長してでも安全に操業するほうが望ましいと判断したとしている。

【出典】

連邦放射線防護庁(BfS)は、2012年1月9日に開催された市民活動家などを中心としたアッセⅡ監視グループとの公開会合において、アッセⅡ研究鉱山に試験的に処分された放射性廃棄物の回収に向けた事前調査である現状確認調査1 の評価に用いる基準を公表した。BfSは、同日付けのプレスリリースにおいて、評価基準に関する報告書を公表し、今後、3段階で実施する現状確認調査については、各ステップでの評価結果を踏まえて進めるとの考えを表明した。

アッセⅡ研究鉱山では、1960~70年代に岩塩鉱山跡を利用して低・中レベル放射性廃棄物の試験的な処分が実施された。これらの放射性廃棄物の回収方法を検討するため、BfSは、処分坑道の一部の試験的な掘削及び調査(現状確認調査の第1段階)を2011年11月以降に開始する予定としていた が、現時点ではまだ掘削作業に着手していない。同プレスリリースにおいてBfSは、調査開始に先立って、透明性を確保しつつ検証可能な形で現状確認調査の結果を評価するための基準を作成・公表したとしている。

評価基準は、アッセⅡ研究鉱山からの放射性廃棄物の回収が可能か否かを評価するための判断材料を全て含むものとして、以下に示す3つの評価分野で構成されている。

  • 放射線防護:放射性廃棄物の回収作業によって生じうる放射線学的影響を検討するとともに、防護基準の遵守、放射線防護令に規定された作業員と住民の線量限度を遵守する観点から評価する。さらに、総線量のような放射線負荷の最小化についても検討する。
    評価に当たっては、各段階の作業を実施することによって得られる便益が、それに伴う放射線学的リスクと兼ね合いにおいて許容できるものかどうか、またリスク低減のためにさらにどのような措置を講ずることができるかを検討する。
  • 技術面での実現可能性:回収作業で利用される技術や自動化の可能性、作業の最適化に向けた方策を評価する。また、廃棄物の回収・封入・輸送に要する時間を算出する。
  • 採掘作業における安全性:岩盤力学から見た処分室の状態、有害ガスの発生の可能性、その他の有害物質の存在など、労働災害の防止と作業の安全性の確保に関する基準により評価する。

なお、同プレスリリースにおいてBfSは、上記のうち放射線防護に関して、既存の知見に基づいた防護措置を講ずることにより、回収作業に伴う被ばく線量と作業員の健康リスクを許容できる程度まで低減できる見通しであるとの見解を示している。

【出典】


  1. 現状確認調査は、○第1段階:処分坑道の一部の試験的な掘削及び調査、○第2段階:処分室の掘削、○第3段階:放射性廃棄物の試験的な回収の3段階の工程で進められる。 []

2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づき、CNEは放射性廃棄物等管理に関する取り組みや調査研究等の進捗状況の評価を毎年行い、評価結果を取りまとめた報告書は議会に提出されることとなっている。2007年6月に第1回評価報告書 を取りまとめて以降、CNEは毎年報告書を取りまとめており、今回の報告は第5回目となる。

CNEが取りまとめた今回の第5回報告書の「要約と結論」によれば、高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分事業1 に関して次のような動向や評価結果が示されている。

  • 2010年9月にANDRAは、地層処分事業の事業化段階における実施体制と戦略を提示した一方で、地層処分事業に係る費用の増加を費用見積として示した。これをうけて、廃棄物発生者であるフランス電力株式会社(EDF)、AREVA社、原子力・代替エネルギー庁(CEA)は、費用削減の可能性のある処分場の代替設計オプションを提案した(2010年11月にANDRAに提示)。
  • 上記の廃棄物発生者が提示した代替設計オプションの個々の技術的要素には、今後検討すべき要素も含まれるが、技術的・経済的条件と両立可能な形で放射線影響を最小限に抑えるという最重要目的を達成するためには、CNEは現行のANDRAの計画が廃棄物発生者の提案よりも優れていると判断する。
  • ANDRAはエネルギー・気候変動総局(DGEC)の要請に基づいて、廃棄物発生者の提案について検討するために、2011年4月に地層処分事業に関するレビューチームを設置した。ここでのレビューの目的は、地層処分事業を支援するコントラクターを決定する前に、地層処分事業の産業プロジェクトとしての頑健性に関する見解を示し、地層処分場の仕様及び技術面・経済面で探求されるべき最適化の方法を特定することである。レビューの結果を受けて、ANDRAは同年10月に、地層処分場の設計概念と技術仕様のレファレンス(参照仕様)となる“地層処分事業の要件”をCNEに提示した。
  • 上記のレビューの後に、ANDRAは地層処分事業を支援するコントラクター決定のための入札手続きを進めている。CNE自身に、その入札仕様等を詳細に分析する時間が無かったが、ANDRAが入札に際して地層処分場の明確な概念を示すことなく、処分場の詳細な概念や費用試算の最終化等を外部機関に委託してしまうことをCNEは懸念している。CNEはANDRAに対して、法律で定められた責任を果たすよう要請する2
  • CNEは更に、廃棄物発生者(EDF、AREVA社、CEA)が、原子力施設、地下施設、並びに、関連するリスク管理等の分野における長年の開発実績に基づく専門性を有することにも着目し、ANDRAが地層処分事業の実施に特権的役割を有するものの、事業期間中の各種プロセスをとおして、これら廃棄物発生者が効果的に関与していくことを提案する。
  • CNEは、公開討論会で利用される地層処分事業の基本要素を示す概要書が12ヶ月以内に公表されることを要請する。地層処分事業の基本要素には、処分概要、可逆性の条件、地上施設の概要、坑道・斜坑、処分対象廃棄物のインベントリ、費用見積等が含まれる。

第5回評価報告書における地層処分事業に関する調査研究の進捗状況やCNEの評価結果の詳細は同報告書の第2章で扱われており、以下のような項目立てで展開されている。

  • インベントリ
  • ZIRA(処分場の設置に向けて2009年12月にANDRAが政府に提案し、詳細な調査が実施されている区域
  • ZIIS(処分場の地上施設を配置する可能性のある区域)
  • 処分事業の進捗
  • 研究活動(熱力学研究及び土質力学研究、地下研究所における研究)
  • 可逆性
  • 地層処分サイトの記憶

同章の中でCNEは、次のような評価結果を示している。

  • CNEはANDRAが地下研究所で行っている様々な調査研究を高く評価しており、2013年までにさらに多くのデータが取得できると期待している。また、CNEは実規模での処分孔掘削試験を継続する重要性を強調しており、更に、高レベル放射性廃棄物の処分孔の大きさを特定するために今後実施される試験が、廃棄物パッケージの回収可能性を評価するうえでも重要であると考えている。
  • CNEは2013年の公開討論で提案されるZIIS(処分場の地上施設を配置する可能性のある区域)の選定の妥当性をCNE自身が評価するために、ANDRAが実施した調査について公開討論の開催前に把握できることを望む。なお、地元代議士やその他のステークホルダーとの協議が、ZIIS選定に際して重要な判断材料になるとしても、選定に際しては、地理、地質、並びに環境的な制約等に関する客観的な調査結果に基づくべきである。

なおCNEは、地層処分に関する上記第2章の冒頭において、福島第一原子力発電所の事故によって、特に、貯蔵プールを含む地上貯蔵施設の脆弱性が明らかになったとして、廃棄物発生者が実施する個々のサイトでの貯蔵方法等に関する調査について、2012年にその調査結果の分析を行う予定であることも示している。

【出典】


  1. フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から“Cigéoプロジェクト”とも称される。 []
  2. ANDRAは2012年1月4日、Gaiya社をコントラクターとして選定した。 []

スペインの産業・エネルギー・観光省は2011年12月30日付のプレスリリースにおいて、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等の集中中間貯蔵施設(ATC)1 をクエンカ県のビジャル・デ・カニャス自治体に建設Spain_mapすることが同日の閣議で決定されたことを公表した。

スペインでは、これらの放射性廃棄物を地層処分するという当初の計画に沿って1980年代より段階的な調査が実施されたが、その後に発生した反対運動により1998年にはサイト選定活動が中断された。その後の1999年に政府が承認した第5次総合放射性廃棄物計画(GRWP)では、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等の最終管理方策の決定を先送りすることとし、集中中間貯蔵施設の建設・操業を当面の最優先課題としている。なお、最終管理方策に関して第5次GRWPで変更された方針は、2006年に承認された最新の第6次GRWPでも踏襲され、引き続き最終管理方策の決定は先送りされているものの、地層処分を有力なオプションと位置付けており、採用された場合の計画等も示されている(2040年に地層処分場の建設開始、2050年に操業開始)。

集中中間貯蔵施設のサイト選定に関しては、2006年7月に承認された王令によって、同施設が遵守すべき基準の策定、及び同基準等に基づいて関心のある自治体の中から候補サイトの選定を行うための省庁間委員会が設置され 、サイト選定に向けた準備が進められた。その後の2009年12月には、施設の受け入れに関心を示す自治体を募集するという公募によってサイト選定活動が開始され、応募した14の自治体のうち9自治体が2010年2月に正式な応募自治体として承認された 。更に、2010年4月には、自然保護地域の関係から1つの自治体が選定手続きから除外され、最終的に8自治体が候補となっていた。

同プレスリリースによれば、今回の集中中間貯蔵施設を受け入れる自治体の決定は、候補サイトの選定を行うために設置された省庁間委員会が作成した各候補サイト(候補自治体)に関する報告書(提供される土地、プロジェクトに対する支援、地理的状況、地域における社会経済的効果など、様々な項目を分析)を詳細に検討した結果であるとしている。選定されたビジャル・デ・カニャス自治体は、施設のために提供される土地の面積、地形、地質、地盤、地震活動、気象、水文地質、周囲の危険設備の有無、市中心部からの距離などの項目で最も良い評価を得ており、更に、同自治体は集中中間貯蔵施設に必要とされる技術的特性をすべて備えている。また同自治体の失業率が高い状況にあることから、投資総額が約7億ユーロと見込まれる集中中間貯蔵施設プロジェクトによる社会経済的なプラスの効果も期待できると判断された。

今後は、原子力施設としての、及び環境分野における各種許認可手続きを含めた、集中中間貯蔵施設の建設開始に向けた手続きが進められる予定である。

【出典】


  1. スペイン語のAlmacén Temporal CentralizadoからATCとも称される。なお、同貯蔵施設には、関連する技術センターが併設される計画である。 []

フランスの地層処分事業1 の実施主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2012年1月4日付プレスリリースで、同機関の地層処分事業を支援するコントラクターとして、エンジニアリング会社であるTechnip社及びIngérop社による合弁会社であるGaiya社を選定し、同日に契約を締結したことを公表した。

ANDRAと共に、2015年迄に予定される地層処分場の設置許可申請に向けた準備作業を行うコントラクターの選定手続き(入札手続き)は2011年5月に開始されており、選定されるコントラクターには、地層処分場の設計、地層処分事業の主導と実施、並びに、特に原子力及び地下工事の分野に関する専門性が要求される。また、今回選定される最初のコントラクターには、原子力関連施設及び一般施設としての地上施設や地下施設の分野における活動を担うサブ・コントラクターのコーディネーションといったプロジェクト設計者としての役割も要求される(サブ・コントラクターの選定は第2期の入札手続きとして2013年までに開始される予定である)。

今回締結されたGaiya社との契約期間は6年間であり、同契約によって地層処分事業は産業プロジェクトとして新たな段階に入り、地層処分場全体の設計の提案、全プロジェクト期間を通じた地層処分場の主要機能の特定、建設期間及び総費用の試算、更には、設置許可申請書類の作成に必要な技術的データの取得が行われる。

また、プレスリリースでは、上記と並行して2012年に行われる活動として、ANDRAが次のことを予定していることが示されている。

  • 廃棄物発生者である、フランス電力株式会社(EDF)、AREVA社、並びに、原子力・代替エネルギー庁(CEA)と協力し、地層処分される廃棄物のインベントリを特定するとともに、これらの廃棄物の地層処分場への受入計画を立案する。
  • ムーズ県及びオート=マルヌ県の関係者と協力し、地層処分場の地上施設として可能性のあるオプションを特定する。
  • ムーズ県等が主導する、地層処分場受け入れに向けた開発準備に貢献する(電力系統の連係、都市計画、交通など、複数県に関わる地域計画等)

 
更に同リリースでは、当初予定したように、ANDRAがGaiya社の支援のもとで地層処分の事業草案の検討を行い、地層処分場の原子力分野、非原子力分野を担当する複数のサブ・コントラクターを選定するための入札手続きを2013年に開始するとしている。また、今後の予定として、次に示すイベントも示されている。

  • 2013年:地層処分事業に関する公開討論の実施
  • 2015年:設置許可申請に対する意見聴取等の手続きの開始
  • 2016年:可逆性の条件を定める法律の制定
  • 2025年:地層処分場の操業開始(許可申請の承認が前提)

 

【出典】


  1. フランス語の Centre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から、“Cigéoプロジェクト”とも称される。 []

原子力廃止措置機関(NDA)は、2011年12月22日付プレスリリースにおいて、地層処分スケジュールを前倒しする可能性について、暫定的な検討結果を報告書として取りまとめたことを公表した。この検討は、エネルギー・気候変動省(DECC)が2011年6月に、地層処分の開始目標を2029年末とすることが可能かどうかなど、処分スケジュール全体の前倒しについて検討するよう指示していた ことを受けて実施されたものである。

英国における現行の地層処分スケジュールは、2008年の白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」及びその後の検討経過を踏まえたものであり、中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物1 の処分開始を2040年頃、高レベル放射性廃棄物や使用済燃料の処分開始を2075年頃と想定されている。また、新規の原子炉が導入される場合、その使用済燃料の処分は、既存の原子炉からの高レベル放射性廃棄物等の処分が完了する2130年以降から開始することになっている。

今回NDAが取りまとめた報告書は、地層処分場に放射性廃棄物を定置する時期を、技術的観点から可能な限り前倒しするオプションを検討したものである。今後の議論のため、NDAは、これらのオプションを組み合わせた3つのシナリオに整理している。

  • シナリオ1
    サイト調査作業の開始時期を早めるとともに、廃棄物のパッケージ方法を変更することにより、輸送面の合理化や処分場の地下空間の利用率向上を図るシナリオ。
  • シナリオ2
    サイト調査作業の開始時期を早めるとともに、処分する廃棄物の総量が明確な廃棄物(高レベル放射性廃棄物、短寿命中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物)を対象として地層処分場を建設・操業し、残りの放射性廃棄物(使用済燃料、長寿命中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物)の処分場区画については別途の許可プロセスにより、建設・操業するシナリオ。
  • シナリオ3
    シナリオ2で採用するものとは異なる処分方法を用いるシナリオ。高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)については、大深度ボーリング孔内処分を採用する案を提示している。使用済燃料については、処分場の地下施設で中間貯蔵を実施し、発熱量が低減するのを待って具体的な処分方法を検討するとしている。短寿命中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物については、浅地中(深度200メートル以浅)で処分する可能性も考慮するとしている。

NDAは、地層処分事業を前倒しすることによるメリットについて、地上で実施されている放射性廃棄物管理に伴う危険性を早期に低減できるほか、地層処分事業の実施に伴う地元での便益も早くから発生することになることを挙げている。地層処分場への最初の廃棄物の定置開始を2029年とするためには、シナリオ1のような現行計画の工程の組み直しだけでは対応できず、より革新的なアプローチが必要であるとの見方を示している。

いずれのシナリオにも、地層処分場のサイト選定プロセスの変更、規制基準等の整備を急ぐ必要があるなど、NDA以外が担当・実施する作業の見直しが必要なため、関係機関との議論が必要であるとしている。シナリオ2と3では、処分場の建設・操業に関する許可プロセスが2段階に分かれるため、地元自治体が処分事業からの撤退権を行使できるタイミングに関わる問題があることも挙げている。このため、NDAが「信用できるオプション」を提示するためには、主要なステークホルダーとの議論や多くの技術的課題の解決が必要であるとしている。

NDAは、スケジュールの前倒しに伴って地層処分事業に生じるリスクはシナリオ1が最も少ないことから、不確実性への対応や追加の支援情報を提供するため、当面はシナリオ1のオプション開発に集中し、シナリオ2と3に関する開発は進めない考えである。

NDAのプレスリリースによると、政府は、今後、NDAの報告書のピアレビューを実施するとともに、同報告書についての放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の見解を求める予定としている。

【出典】


  1. 一部の低レベル放射性廃棄物とは、浅地中処分に適さない低レベル放射性廃棄物のことを示す。例えば、半減期の非常に長い放射性核種を含む低レベル放射性廃棄物など。 []

イングランドとウェールズの環境規制機関(EA)は、2011年12月21日、地層処分事業の実施主体となるNDAの内部組織である放射性廃棄物管理局(RWMD)が作成した、高レベル放射性廃棄物等の地層処分場に関する『一般的な条件での“処分システム・セーフティケース”』(gDSSC)1 に対するレビュー報告書を公表した。このレビューは、原子力規制局(ONR)とEAが合同で実施したものである。レビュー報告書において、将来RWMDが作成を計画している、実際の地層処分場に対して作成される輸送、操業及び環境のセーフティケースが、規制要件を満たさなくなるような問題点は見当たらなかったとの評価結果を述べている。

『gDSSC』(一般的な条件でのDSSC)は、英国で見つけられるような地質環境を想定し、サイトを特定しないで作成したセーフティケースであり、放射性廃棄物の輸送、処分場の操業及び数十万年にわたる環境保護に関連した安全性について、処分実施主体のRWMDがどのように対応するかを示すものとして、2011年2月にNDAが公表していた

今回のレビューは、EA及びONR(以下、両者を合わせて「規制機関」という)とNDA/RWMDとの自主的な協定のもと、RWMDの要請を受けて実施されたものである。レビュー報告書には、RWMDがレビューを要請した際に、以下の点について、特に、規制機関がコメントするように依頼を受けたことが記されている。

  • 地層処分場のセーフティケースの作成を妨げるような、本質的な問題点の有無
  • 今後、RWMDが特定のサイトを対象としたDSSCを作成することになるが、それに向けての助言及びガイダンスの提供
  • RWMDが注力すべき特定分野

『gDSSC』に対するレビューは、輸送と処分施設操業の安全性についてはONRが、環境についてはEAが担当しており、規制機関の内部専門家により実施されている。レビュー報告書において、規制機関は次のような結論を示している。

  • 『gDSSC』を構成する報告書について、対象範囲や文書間のリンクの全体的な構成は受理可能なものであり、文書は全般的に品質の高いものである。
  • 評価すべきサイトが選定され、RWMDが規制機関の懸念事項などに対応し、今後も継続して協力することを前提にすると、地層処分場に対して作成される輸送、操業及び環境のセーフティケースが、規制要件を満たさなくなるような問題点は見当たらなかった。

また、規制機関は、RWMDに対し、以下の5つの勧告を示している。

  • 一般的な条件でのDSSCを今後どのように活用していくかを説明し、DSSCをサイト固有なものへと発展させるかを示したルートマップを作成すべきである。
  • 一般的な条件でのDSSCを構成する複数の文書を通して見た場合、多くの繰り返しや重複が見られる。RWMDは、様々な読者のニーズに対応しつつ、文書の構成が確たるものとしてセーフティケース文書を作成できるように、バランスを検討すべきである。
  • 幅広い読者が合理的にセーフティケース文書を入手できるように努力を続けるべきである。
  • セーフティケースの構成及び文書の変更管理を行う方法を明確化すべきである。
  • 一般的な条件でのDSSCの今後の改訂において、廃棄物インベントリの不確実性について、より詳細な調査をすべきである。

規制機関のレビュー報告書の公表を受けて、NDA/RWMDは、2011年12月21日のプレスリリースにおいて、RWMDの要請による規制当局のレビュー作業に感謝の意を表すとともに、今後RWMDが規制機関の要件に沿ってDSSCを開発していく上で、規制機関の勧告を役立てる意向を表明している。

【出典】


  1. gDSSC: generic Disposal System Safety Case []