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フィンランドのオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2012年5月8日付のプレスリリースにおいて、同社が操業する低・中レベル放射性廃棄物処分場(一般にVLJ処分場と呼ばれている)が同日で1992年の処分開始から20周年を迎えたことを公表した。

VLJ処分場はオルキルオト1、2号機の北側、地下60~100mの岩盤内に掘削された2つのサイロから構成されており、TVO社は自社の原子炉の運転に伴って発生した放射性廃棄物を低レベル、中レベルに分別して専用のサイロで処分している。同プレスリリースによれば、VLJ処分場での処分量は年間100~180m3であり、これまでに処分容量の半分にあたる約5,500m3の廃棄物が処分されている。処分された廃棄物のうち約3分の2が低レベル放射性廃棄物、約3分の1が中レベル放射性廃棄物であるとしている。

TVO社は、将来において原子炉施設を廃止措置した後、その解体に伴って発生する低・中レベル放射性廃棄物もVLJ処分場で処分する予定である。また、建設中のオルキルオト3号機から発生する低・中レベル放射性廃棄物の処分に対応するために、VLJ処分場の処分容量の拡大を計画している。TVO社はプレスリリースにおいて、現在、雇用経済省(TEM)が同社による処分場の拡張設計をレビューしていることを明らかにした。

なお、VLJ処分場から約2km東方には、使用済燃料の処分実施主体であるポシヴァ社が、最終処分場建設に向けた調査・研究施設である地下特性調査施設(ONKALO)を建設している。ポシヴァ社は、VLJ処分場の建設時に得られた知見がONKALOの建設にも活用されているとしている。ポシヴァ社は、2012年に、使用済燃料処分場の建設許可申請を行う予定である 。また、フィンランドではオルキルオトの他にロヴィーサでも原子力発電所が運転されており、2010年末時点で各発電所において貯蔵されている使用済燃料の量は、ウラン換算でそれぞれ約1,290トン、約500トンとされている。

【出典】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、処分事業及びサイト選定計画についての情報提供に対する関心表明の期限を2012年9月30日までとする声明を公表した。NWMOでは、2010年5月から使用済燃料の処分場のサイト選定を開始しており 、サイト選定プロセスの第2段階として、関心を表明した地域に対する初期スクリーニングを実施している。

NWMOが同時に公表した関心表明の期限設定に関する説明資料によると、今回期限を設定した理由として以下を挙げている。

  • 実施中の検討に知識や専門的な技術を集中させる
  • サイト選定プロセスに参加している地域への十分なサポートを提供する
  • 各地域が使用済燃料の処分プロジェクトの有力な候補地であるかどうかをできる限り早期に通知する
  • 周辺の自治体などの参画を計画し、全面的にサポートすることに寄与する

NWMOは、2012年9月30日の期限までに関心表明が行われた地域の中から、使用済燃料の処分事業を実施可能な地域が特定されるものと考えてはいるものの、将来的に新たな地域の検討が必要となった場合のため、関心表明の受付を再開する選択肢は排除しないとしている。

また、現在までに延べ16地域がサイト選定プロセスに関心を表明しており、これらの16地域には、これまでに初期スクリーニング結果が公表されている10地域に加えて、新たに以下の6地域が含まれているとされている。

  • ブラインド・リバー村(オンタリオ州)
  • ブロックトン自治体(オンタリオ州)
  • エリオット・レイク市(オンタリオ州)
  • ノース・ショア・タウンシップ(オンタリオ州)
  • サウス・ブルース自治体(オンタリオ州)
  • スパニッシュ町(オンタリオ州)

さらに、NWMOが2012年3月27日に公表した2011年度年報によると、初期スクリーニング結果が良好とされた地域のうち、2011年末までに以下の5地域がサイト選定プロセスの第3段階1 へ進む意思を正式に表明しているとしている。

  • イグナス・タウンシップ(オンタリオ州)
  • シュライバー・タウンシップ(オンタリオ州)
  • ホーンペイン・タウンシップ(オンタリオ州)
  • ワワ自治体(オンタリオ州)
  • クレイトン・タウンシップ(サスカチュワン州)

なお、これまでにカナダにおける使用済燃料処分場のサイト選定に対して関心表明した地域及びその状況を下表に示す。関心表明を行ったのが全部で16地域であり、初期スクリーニングの結果が良好、または初期スクリーニングが実施中であってサイト選定プロセスに関わっているのが15地域、初期スクリーニングの結果で適性がないとされたのが1地域となっている。

地域 状況
初期スクリーニング結果2 第3段階への意思表明の有無3
イグナス・タウンシップ オンタリオ州 良好 有り
シュライバー・タウンシップ オンタリオ州 良好 有り
ホーンペイン・タウンシップ オンタリオ州 良好 有り
ワワ自治体 オンタリオ州 良好 有り
クレイトン・タウンシップ サスカチュワン州 良好 有り
レッドロック・タウンシップ オンタリオ州 不適 -
パインハウス村 サスカチュワン州 良好 -
イングリッシュリバー先住民族保留地 サスカチュワン州 良好 -
イアー・フォールズ・タウンシップ オンタリオ州 良好 -
ニピゴン・タウンシップ オンタリオ州 良好 -
ブラインド・リバー村 オンタリオ州 未公表 -
ブロックトン自治体 オンタリオ州 未公表 -
エリオット・レイク市 オンタリオ州 未公表 -
ノース・ショア・タウンシップ オンタリオ州 未公表 -
サウス・ブルース自治体 オンタリオ州 未公表 -
スパニッシュ町 オンタリオ州 未公表 -

【出典】


  1. サイト選定プロセスの第3段階では、関心のある自治体に対して、潜在的な適合性の初期評価を実施する。NWMOは自治体との協力の下で、自治体内のサイトが処分事業の詳細要件を満たす可能性があるかについてのフィージビリティ調査を行う。 []
  2. 良好:今後の検討から除外するような明らかな条件は見つからなかったとされた地域

    不適:サイト選定プロセスにおける適性のある候補地とは見なさない地域 []

  3. 2011年末までに意思表明した地域 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)処分の実施主体であるポシヴァ社は、2012年2月1日付のプレスリリースにおいて、オルキルオトに建設中である地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道で、使用済燃料キャニスタの定置試験で使用する最初の試験用処分孔の掘削を1月中旬に完了したことを公表した。ONKALOは、処分場の建設許可申請に必要な情報・データを得ることを目的として、建設・調査・試験が実施されているものであり、処分場は建設許可を受けた後に建設が開始されることとなっている。また、定置試験で用いる使用済燃料キャニスタは、模擬のものが使用されることとなっている。

プロトタイプの処分孔掘削機Rhino 500HSP(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

同プレスリリースによれば、今回掘削された試験用処分孔は、直径が1.77m、深さ8.3mで実際の処分が行われる処分孔と同じ規模とされている。掘削には、狭い地下空間で使用するために新たに開発したプロトタイプ掘削機である「Rhino 500HSP」1 を使い、実証坑道の床面を掘り下げたとしている。試験用処分孔1本の掘削に約1週間を要し、2012年2月中にさらに4本の試験用処分孔を掘削する予定である。

今回の試験用処分孔の掘削の目的は、実際の処分孔に求められる要件を満たす掘削方法と使用機器を確認することとしている。また、掘削した試験用処分孔では、地下水の浸出量の測定、岩盤の亀裂の確認などの地質学的調査、及び試験用処分孔の形状や位置の確認などの物理的測定を行うとしている。

また、ポシヴァ社の2012年3月8日付プレスリリースによれば、ONKALOにおいて低収着性の放射性核種を用いたトレーサー試験を開始し、岩盤マトリクス2 中の核種の拡散挙動について今後3年間ほどかけて調査する予定である。この調査では、処分深度(地下420m)の坑道壁面から水平方向に掘削した長さ約20mのボーリング孔のうちの2mを塞ぎ、その塞いだ部分にトレーサー3 となる低収着性の放射性核種を含む溶液を非常にゆっくりと連続的に注入する方法で行われる。岩盤を移行したトレーサー核種の放射能を測定することにより、岩盤マトリクス中での拡散による放射性核種の移行・遅延効果について、予め作成されたモデルや予測の正確性を確認するとしている。なお、岩盤の放射性核種の移行・遅延に関する研究は、これまでにも、スイス、スウェーデンの地下研究所などで行われているが、今回ONKALOで実施する試験手法と装置を用いたものは初めてであるとしている。

なお、ONKALOでは、2010年6月に掘削が処分深度の地下420mに到達し 、処分深度での実証坑道の建設が進められている。ONKALOでの研究によって得られたオルキルオトの岩盤特性に関する情報は、2012年にポシヴァ社が予定している使用済燃料処分場の建設許可申請に必要とされている。また、ONKALOは最終的には処分施設の一部として使用される予定である。

【出典】


  1. ポシヴァ社の2011年8月12日付プレスリリースによれば、幅3.5m、高さ5m弱の小さな坑道内で、直径1.75m、深さ7.8mの処分孔を坑道床面から鉛直に掘削する課題に対応するために専用の処分孔掘削機を開発したとしている。 []
  2. 岩石中の径の大きい粒の間隙を微小な粒子によって埋められている部分をいい、基質とも呼ばれる。亀裂がない岩盤では放射性核種はマトリクス中の連結した微小間隙ネットワークを介して拡散によって移行すると考えられている。 []
  3. 液体など流体の流れ、あるいは特定の物質を追跡するために使われる、微量添加物質。 []

英国のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2012年3月12日に、地層処分場の候補地の特定及び評価の枠組みを示した文書を公表した。同文書は、地層処分場サイト選定プロセスの第3段階においてサイト選定プロセスへの参加を決定した自治体について、第4段階で実施される机上調査1 での検討の進め方、第5段階へ進む候補地を特定し、評価するための方法などを定めたものである。DECCは、同文書の決定に先がけ、2011年6月に協議文書を公開して意見を求めていた 。なお、既に関心表明を行っているカンブリア州のコープランド市、アラデール市は、サイト選定プロセスへの参加の是非について検討を行っているところである

同文書では、机上調査の目的を下記の2点とし、下表に示した7つのステップにより候補地を特定するとしている。

  • 参加を決定した自治体から候補地を特定する。
  • 第5段階で詳細調査(ボーリング調査等を含む地上からの調査)を行う候補地を選定するための判断材料として、特定された候補地を評価する。

サイト選定プロセスの第3段階における参加決定から候補地の特定までの7ステップ

第1ステップ 地方自治体の意思決定機関がサイト選定プロセスへの参加を決定
第2ステップ 意思決定機関が、候補地の特定及び評価に地域のステークホルダーが関与することが可能となるよう地域立地パートナーシップ(以下「パートナーシップ」という)2 を設置
第3ステップ パートナーシップが、地域固有の基準及び国の基準3 を取り入れた枠組みの下で地域ごとの候補地を特定するプロセスを確立
第4ステップ パートナーシップ及び原子力廃止措置機関(NDA)が協力し、適性を有する可能性のある母岩及び地表エリアを特定するため、合意した基準を適用
第5ステップ パートナーシップが候補地周辺の代表者との関与を開始
第6ステップ 第5ステップと並行し、NDAがパートナーシップとの協力の下、適性を有する可能性のある母岩及び地表エリアの組み合わせ、及び異なる組み合わせによる安全性、環境への影響及び費用を検討
第7ステップ 第6ステップでの検討後、候補地を特定して評価段階へ移行

また、候補地の特定では広範囲にわたる検討を実施するため、地域固有の基準及び国の基準に基づいたアプローチを適用する。地域固有の基準については、パートナーシップ及び意思決定機関が選定するものとしている。また、同文書では、国の基準が以下のように示されている。

  • 地質学的条件
  • 人間に対する潜在的影響
  • 自然環境及び景観に対する潜在的影響
  • 地域の社会経済影響
  • 輸送及びインフラ設備の準備
  • 実施の費用、期間及び容易さ

候補地が特定された後、NDAによる国の基準を適用した多基準意思決定分析(MCDA)を用いたアプローチにより、候補地の評価が行われる予定である。この評価結果は、第5段階の詳細調査に進むかの判断を行うための地域の意思決定プロセスにおいて重要な情報となる。また、意思決定プロセスでは、パートナーシップが地方自治体の意思決定機関に候補地を推薦し、意思決定機関が候補地を決定する。その後、政府が詳細調査に進む候補地を確定することになっている。

【出典】


  1. 机上調査とは、候補地に関する既存情報を用いて調査を行うことであり、ボーリング調査などは含まれない。 []
  2. 地域立地パートナーシップは、自治体代表、地域住民、実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)などから構成され、参加メンバーの連携や協議を主導し、意思決定の支援などの役割を果たすこととされている。 []
  3. 国の基準とは、IAEAの安全基準文書、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の推奨した基準により、国が策定した基準である。 []

スウェーデンの放射線安全機関(SSM)は、2012年3月5日付けのプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書 に関して、キャニスタ材料の銅の腐食が処分場の長期安全性に与える影響などについて補足情報を提出するよう指示したことを公表した。

同プレスリリースによれば、SSMは処分場の長期安全性に対する銅の腐食の影響について、特に無酸素水中での銅の腐食が使用済燃料キャニスタの耐久性に与える影響に関する補足情報を求めるとしている。この点に関してSKB社の立地・建設許可申請書を構成する安全評価書(SR-Site)では、無酸素水中で銅の腐食が起こることについての科学的裏付けは弱く、更なる研究が必要であるとしていたとされている。SSMは、2012年3月20日までに補足情報の提出、または補足情報の作成に向けたスケジュールを示すよう求めている。

SSMのウェブサイトによれば、SKB社が提出した使用済燃料処分場の立地・許可申請書の審査は、3つの審査過程で構成される。

  • ①機密情報の確認 …… 申請書類の公開に際して、機密情報を含む部分を確認して公開可否を判断する。
  • ②初期受理審査 …… 申請書類の完全性に関する一般的な評価を行う。
  • ③技術審査 …… 技術審査は次の2段階で行う。
    • 初期技術審査 …… 主審査を開始するに当たって、申請書類が完全に揃っているか、品質が十分であるか決定するために申請書類全体の広範な審査を行う。
    • 主審査 …… 初期技術審査で揃えられた申請書類を対象に、詳細な審査を行う。

既に、上記の①及び②の審査は終了しており、初期技術審査が2011年5月27日から開始されている。初期技術審査は2012年11月まで続く予定とされている。

【出典】

2012年2月14日に、米国で2013会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表されるとともに、エネルギー省(DOE)のウェブサイトでDOEの予算要求資料が公表された。DOEの予算要求資料では、2012年1月26日に公表されたブルーリボン委員会の勧告 への対応に関連した研究開発が含まれる「使用済燃料処分等プログラム」(UFD、Used Nuclear Fuel Disposition)について、5,966万8,000ドルが要求されたことが示されている。また、ユッカマウンテン処分場関連予算については要求されていない。

DOEの予算要求資料では、オバマ政権は連邦議会やステークホルダーと協力してブルーリボン委員会の勧告を十分に検討し、使用済燃料などの管理の実施シナリオを評価していくとしている。さらに、2012会計年度の歳出法に示されたように、6カ月以内に検討結果を連邦議会に対して報告するとしている(2011年12月20日追記参照)

DOEの予算要求資料では、ブルーリボン委員会の研究開発に関連した短期的な優先事項に基づいて、2012会計年度のUFDにおいて予算配分を調整しているとしており、以下のような活動を行っているとしている。

  • 標準的な輸送・貯蔵・処分コンテナの開発及び許認可のサポート
  • 処分場の地層の特性調査
  • サイトに依存しない地層処分に関する研究開発
  • 貯蔵オプション及びそれぞれの利点の評価
  • 有力なパートナーシップの仕組みを含め、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の代替管理方策の評価の開始
  • 使用済燃料の貯蔵の安全性に関連した課題へのDOEの評価能力の強化

また、2013会計年度の予算要求では、2012会計年度の活動を踏まえ、高レベル放射性廃棄物処分などに関連した活動では、以下に焦点を当てるとしている。

  • 集中中間貯蔵及び輸送の課題の評価(最初は廃止措置された原子炉サイトを対象)
  • 産業界と協力して使用済燃料管理アプローチの標準化
  • 使用済燃料貯蔵の長期化をサポートするため材料試験の実施
  • 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の安全輸送に関する全米科学アカデミー(NAS)レポートのレビューによって特定された実施作業の開始
  • 代替環境での地層処分の研究の開始(システムモデル化、天然バリア、人工バリア、設計概念の評価及び試験)

なお、ユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査を担当している原子力規制委員会(NRC)の予算要求資料では、2012会計年度に引き続き、2013会計年度の高レベル放射性廃棄物処分関連の予算要求はゼロとなっている。NRCは、2011年9月にユッカマウンテン処分場の許認可申請書の審査手続きを停止している

【出典】

【2012年2月16日追記】

エネルギー省(DOE)は、2012年2月15日付けのプレスリリースにおいて、エネルギー長官がジョージア州のヴォーグル原子力発電所を訪問した際の発言の内容を公表した。この中でエネルギー長官は、ブルーリボン委員会の最終報告書での勧告 の評価を行うとともに、勧告に基づいて使用済燃料などの長期管理戦略を策定するためのワーキンググループをDOE内に設置することを明らかにした。

なお、エネルギー長官の発言の中で、ヴォーグル原子力発電所の3・4号機は、2012年2月10日に原子力規制委員会(NRC)が建設・運転の一括許認可(COL)を発給したものであり、DOEは、融資保証、新たな原子炉の炉型(AP 1000)の承認においてサポートを行ったとしている。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2013会計年度の予算は2012年10月からの1年間に対するものである。
    []

カナダでの低・中レベル放射性廃棄物処分場の計画

カナダの低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場プロジェクトについては、許認可申請の前段階として、環境影響を審査する段階に入っている。カナダ環境評価局(CEAA)は、2月3日に、オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が提出した環境影響評価書(EIS)及び予備的安全評価書等 について、合同評価パネル(JRP)がパブリックコメントの募集を開始することを公表した。コメントの募集期間は最大で6カ月とされ、必要に応じ延長するとしている。

合同評価パネル(JRP)は、審査の開始に当たり、EIS等の概要についてOPG社などから説明を受けるためのオリエンテーション会議を2月21日に開催することとしている。オリエンテーション会議では、OPG社の他、カナダ原子力安全委員会(CNSC)によるプレゼンテーションも予定されている。

OPG社は、オンタリオ州キンカーディン自治体のブルース原子力発電所サイトで低・中レベル放射性廃棄物処分の実施を計画しており、地下約680mの石灰岩層に建設される地層処分場において、OPG社の原子力発電所から発生する約20万m3の低・中レベル放射性廃棄物を処分することとしている。また、OPG社が2011年4月に提出したEIS、予備的安全評価書等については、CNSCとCEAAが合同評価パネル(JRP)を設置して審査することとされ 、2012年1月にはJRPの委員3名が任命されていた(2012年1月26日追記参照)。

米国での新たな低レベル放射性廃棄物処分場の操業開始

米国では、2011年11月10日に、テキサス州アンドリュースで低レベル放射性廃棄物のWCSテキサス処分場が操業を開始した。WCSテキサス処分場の操業者は、ウェースト・コントロール・ スペシャリスト(WCS)社であり、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法で州または州が共同で処分を実施するとされた以降、初めて建設された低レベル放射性廃棄物処分場となる。

WCSテキサス処分場は、テキサス州とバーモント州で構成されるテキサス・コンパクト1 のクラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物2 と、エネルギー省(DOE)などの連邦政府の低レベル放射性廃棄物の処分を行うこととなっている。なお、WCSテキサス処分場では、テキサス・コンパクトを構成する州の他、現状でクラスB・Cの低レベル放射性廃棄物の処分ができない州でも、テキサス低レベル放射性廃棄物処分コンパクト委員会(TLLRWDCC)の特別な承認を受けることを前提として、クラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物を処分することが可能となっている。

なお、米国ではこの他に、以下の3カ所の民間低レベル放射性廃棄物処分場が操業されているが、処分可能廃棄物や受け入れ可能な州に制限がある。

処分可能廃棄物 受け入れ可能な州
バーンウェル処分場
(サウスカロライナ州)
クラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物 アトランティック・コンパクト(サウスカロライナ州、コネティカット州、ニュージャージー州)
リッチランド処分場
(ワシントン州)
クラスA・B・Cの低レベル放射性廃棄物 ノースウェスト・コンパクト(アラスカ州、ハワイ州、アイダホ州、モンタナ州、オレゴン州、ユタ州、ワシントン州、ワイオミング州)及びロッキーマウンテン・コンパクト(コロラド州、ネバダ州、ニューメキシコ州)
クライブ処分場
(ユタ州)
クラスAの低レベル放射性廃棄物 全ての州

【出典】


  1. 1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法では、低レベル放射性廃棄物は州が単独またはコンパクトと呼ばれる共同協定グループを形成し、コンパクトに加盟する州からの廃棄物の処分に責任を持つこととされている。 []
  2. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法及び原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61)において、浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA・B・Cの分類が定められている。また、クラスCを超える低レベル放射性廃棄物(GTCC廃棄物)は、連邦政府が処分を行うこととなっている。 []

フランス会計検査院(CDC)は2012年1月31日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関する報告書を首相に提出したことを公表し、同報告書をウェブで公開した。報告書は全ての放射性廃棄物に係る今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している。

首相は2011年5月17日付の会計検査院に対する書簡において、原子力発電事業に係る費用の検証を要請していた。同報告書は、会計検査院が同要請に基づき検証を行った結果を取りまとめたものであり、過去の原子力発電所の建設投資費用や現在の運転費用に加えて、廃止措置や放射性廃棄物管理等のために将来発生する費用についても検証されている。

報告書によれば、会計検査院は地層処分事業の費用を含む全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用の総額を284億ユーロと試算している1。但し、地層処分事業に係る費用の詳細は最終的に決定されていないため、この試算額は不確定であるとしている。また、地層処分事業の費用に関連する事項として、会計検査院は報告書において次のような評価結果を示している。

  • 試算値の一部である地層処分事業の費用は2005年の見積額である165億ユーロに基づいているが、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)はこの見積額を2009年に見直し、360億ユーロに上方修正している。正式な見積額は省令によって2015年までに決定されるべきである。
  • 使用済みの混合酸化物燃料(MOX)及び濃縮回収ウラン燃料(URE)については、現状では再処理が実施されていないため、フランス電力株式会社(EDF)はこれらの使用済燃料を高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物と同様に地層処分対象の廃棄物であるとみなし、その長期管理のための引当金を計上している。この方法論自体は適切であるが、引当金が正確に計上されていることを証明する必要がある。また、これらの使用済燃料を直接処分するという仮定についても現実的に検討すべきである。

これらの評価結果を踏まえて、会計検査院は放射性廃棄物の長期管理について次の2つの提言を行っている。

  • 地層処分事業の費用について、可及的速やかに新たな見積額を算定することが望ましい。算定にあたっては、地層処分場の安全性に関する見解を示すことができる唯一の機関である原子力安全機関(ASN)の決定を順守すべきである。
  • 地層処分事業の費用に関する新たな見積額を決定する枠組みで、使用済みのMOX燃料及びURE燃料を直接処分した場合の費用についても試算されるべきである。これらの使用済燃料を直接処分するという仮定については、処分場の設計作業においても考慮されるべきである。

上記の会計検査院の報告を受けて、経済・財務・産業大臣付産業・エネルギー・デジタル経済担当大臣は2012年1月31日付のプレスリリースにおいて、地層処分事業の費用については2012年末までに費用の算定作業が終了する予定であることを示している。

【出典】


  1. 地層処分に加えて、低・中レベル放射性廃棄物の浅地中処分、極低レベル放射性廃棄物の浅地中処分、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分、更には未だに処理されていない歴史的廃棄物の処理・調整などに係る全ての放射性廃棄物の今後の長期管理費用としての試算 []

「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2012年1月26日に、米国の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分に係る安全かつ長期的な解決策のための包括的な提案を示した最終報告書をエネルギー長官に提出した。ブルーリボン委員会は2011年7月にドラフト報告書を公表しており 、最終報告書は、その後の意見募集を経て、委員会設置から2年以内という期限に合わせ、最終報告・提言が取りまとめられたものである。

最終報告書では、概ねドラフト報告書の内容が踏襲されているが、勧告された戦略の重要な要素として、「集中貯蔵施設や処分場が利用可能となった際に開始される使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の大規模な輸送のための迅速な取組」が追加され、8つのポイントが示されている(他の7点については既報参照)。ブルーリボン委員会のプレスリリースでは、最終報告で示した戦略における極めて重要な要素として、以下の3点の勧告が挙げられている。

  1. 州などの地元の意に反して強要する試みは成功しておらず、将来の放射性廃棄物の貯蔵施設及び処分場の立地選定は同意に基づくアプローチとすること。
  2. 米国での高レベル放射性廃棄物管理プログラムの責任は、DOEから独立で、安全な貯蔵及び処分の確保に専念する新しい組織へ移すこと。
  3. 毎年約7.5億ドルの放射性廃棄物基金への拠出金の連邦予算上の取扱いを変更し、連邦議会の当初の意図通りに使用できるよう確保すること。

ブルーリボン委員会は、エネルギー長官に宛てた書簡において、勧告の多くは政府及び連邦議会による行動が必要とした上で、勧告の実施においてエネルギー省(DOE)に関連する全ての要素を調整するため、十分な権限を有する上級担当官を速やかに指名するよう要請している。また、最終報告書では、放射性廃棄物の安全かつ恒久的な解決策の決定は現世代の義務であるとして、新たな戦略の必要性は緊急課題としている。

なお、ブルーリボン委員会は最終報告書においても、ユッカマウンテンの適性について見解を示すこと、放射性廃棄物管理に係る特定サイトを提案すること、米国の将来のエネルギー供給上の原子力発電の役割について見解を示すことは、委員会の検討対象とされていなかったとしている。ブルーリボン委員会のプレスリリースでは、これらは何れも重要な課題ではあるが、放射性廃棄物管理のための戦略の変更・改善の緊急性を変えるものではなく、ブルーリボン委員会が成し遂げようと努力したのは、サイトに関わらず適用可能であり、現状の行き詰まりの解決につながる確実な放射性廃棄物管理アプローチの勧告であるとしている。

【出典】

【2012年2月9日追記】

米国連邦議会では、2012年1月26日のブルーリボン委員会の最終報告書の公表後、同報告書に関する公聴会が以下の委員会において開催された。これらの公聴会では、ブルーリボン委員会の2名の共同委員長などが出席して証言を行った。

  • 下院エネルギー・商務委員会、環境・経済小委員会(2012年2月1日開催)
  • 上院エネルギー・天然資源委員会(2012年2月2日開催)
  • 下院科学・宇宙・技術委員会(2012年2月8日開催)

このうち、2012年2月8日に行われた下院科学・宇宙・技術委員会の公聴会では、ブルーリボン委員会の共同委員長の他、エネルギー省(DOE)の原子力担当次官補が証言を行っており、2012会計年度のDOEの研究開発計画である「使用済燃料処分等プログラム」(UFD)における以下の処分関連の活動を紹介した。

  • 放射性廃棄物の発熱に対する岩塩の挙動を理解する最適なアプローチを決定するためのワークショップの開催
  • 産業界とともに、超深孔処分概念のための研究開発・実証計画やロードマップの策定の開始
  • 花崗岩及び粘土層での処分についての国際的なパートナーとの協力を拡大

さらに、原子力担当次官補は、2012会計年度の歳出法案に関する両院協議会報告書において、ブルーリボン委員会の最終報告書の公表後の6カ月以内に、使用済燃料などの管理戦略を策定するよう指示されていることを挙げ(2011年12月20日追記参照)、上記のDOEの研究開発活動は、DOEが進めている作業での重要な部分となるとした。

【出典】

【2012年3月9日追記】

ブルーリボン委員会が設置していた処分小委員会、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会、輸送・貯蔵小委員会の3つの小委員会は、各々の最新版報告書を公表した。これらの小委員会は、2011年5月から6月にかけて、それぞれの勧告案を含むドラフト報告書を公表し、2011年7月15日までを最終締切として意見募集を行っていた(2011年6月21日追記参照)。また、2011年7月29日に、ブルーリボン委員会の委員会自体のドラフト報告書が公表され、2011年10月31日まで意見募集が行われていた

今回公表された3つの小委員会の最新版報告書は、小委員会及びブルーリボン委員会のドラフト報告書に対して寄せられた情報や意見を反映して改訂したものとされている。また、輸送・貯蔵小委員会の最新版報告書によると、2012年1月時点での小委員会の成果及び結論を中心に示しており、将来の使用済燃料等の輸送及び貯蔵に関する勧告の詳細を示しているとしている。このため、小委員会の最新版報告書は、ブルーリボン委員会の最終報告書を補完するものとしている。

【出典】

【2012年4月17日追記】

原子力規制委員会(NRC)は、2012年4月10日、ブルーリボン委員会の最終報告書に関するブリーフィングを開催した。本ブリーフィングでは、ブルーリボン委員会の共同委員長が最終報告書で示された8つの勧告について説明するとともに、NRCからこれらの勧告のNRCの活動への影響などについて説明が行われた。

本ブリーフィングにおいてNRCのヤツコ委員長は、ブルーリボン委員会の最終報告書での提案に関連し、一般的な地層処分場に適用する連邦規則である10 CFR Part 60「地層処分場における高レベル放射性廃棄物の処分」の改定作業を検討することを示した。なお、10 CFR Part 60は、1982年放射性廃棄物政策法においてNRCが策定することを求められているものであり、これに先立って1981年に最終版が策定された後、数度にわたって改定が行われている。

【出典】

スイスの放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)と連邦エネルギー庁(BFE)は、2012年1月20日付のプレスリリースにおいて、20カ所の地上施設の設置区域の案を公表した。これは、特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定手続の第2段階において、低・中レベル用(6カ所)、高レベル用(3カ所)の地層処分場の計6カ所の候補サイト区域(地下施設の設置が可能な区域)について、NAGRAが、今後の地域参加プロセスでの検討のために提案したものである。

特別計画による3段階のサイト選定手続の第1段階は、候補サイト区域が確定され、2011年11月に完了している。現在進められている第2段階は、4年の期間が必要と見込まれており、その目的は、低・中レベル用、高レベル用の地層処分場のそれぞれについて、最低2カ所の候補サイトを選定することとされている。この目的のため、特別計画により、NAGRAは、各々の候補サイト区域に対して、最低でも1カ所の地上施設の設置区域を提案することになっていた

今後、6カ所の候補サイト区域で実施されている地域参加プロセスにおいて、20カ所の地上施設の設置区域に対する検討が実施されることとなる。地域参加プロセスでは、NAGRAとも協力して、地上施設の構成やレイアウト等が検討され、また、NAGRAが提案した以外の地上施設の設置区域を独自に提案することも可能である。その後、これらの検討の成果も踏まえ、NAGRAは、2012年中を目途に、6カ所の候補サイト区域のそれぞれについて最低1カ所、地上施設の設置区域を指定する。さらに、NAGRAは、今後実施される予備的安全評価の結果も踏まえ、第2段階において低・中レベル用、高レベル用の地層処分場それぞれについて最低2カ所の候補サイトを提案することとなっている。提案された候補サイトは、連邦原子力安全検査局(ENSI)等の審査を受け、最終的に連邦評議会の承認によって、候補サイトが確定する。

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「提案された地上施設の設置区域」(NAGRA、技術報告書11-01「特別計画地層処分場第2段階 地層処分場の地上施設の設置区域の配置及びその開発 別冊」、2011年12月より))〔※クリックで拡大表示〕

今回提案された地上施設の設置区域は、右図の赤い点で示された20カ所である。緑、及び緑と橙色の縞模様で示されているのが、地下施設の設置が可能な候補サイト区域であり、それらを取り囲む灰色の部分が、地上施設の設置が可能な地点を含んだ「計画範囲」 である。

NAGRAは、今回の地上施設の設置区域の提案に関して、報告書を公表しているが、それによると設置区域は以下の基準を考慮して提案したとしている。

  • 安全性及び技術的実現性:交通網との接続、地形や面積等の状況、地下施設へのアクセス、安全性
  • 土地利用に関する適合性及び環境との適合性:土地利用の法的制限、地表の水流、地下水流、鉱物及び温泉の利用、自然保護区域の回避
  • 地域との調和:今日の利用状況、都市計画上の状況、保養地の所在、景観の保護

BFEのプレスリリースによると、今回の地上施設の設置区域の提案については、関係する州と自治体や土地所有者に対して、直接通知したとしている。またBFEは、今後数週間にわたって関係自治体の住民に対する説明会を開催するとしている。

【出典】