TSPA-LA (米国)
評価結果
(ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書 安全解析書: 2008年)
-
2. 処分システムと安全要件 | 対象廃棄物 / 想定処分地 / 処分概念 / 放射線防護基準
-
3. 安全評価の進め方 | FEP / シナリオ / モデル / 不確実性の取り扱い
-
4. 評価結果 ← NOW You are Here!
安全評価の結果はどのように示されるのですか…
線量評価結果
ユッカマウンテン処分場のトータルシステム性能評価(TSPA)では、核種移行及び被ばくについての可能性がある全ての経路を含めて総年間線量を評価する手法が取られている。
(1) 個人防護基準に関する評価結果
個人防護基準に関する評価では、以下の結果が得られている。
評価項目 | 評価値 | 規制値 |
処分後の1万年間において 合理的に最大の被ばくを受ける個人の年間線量 | 0.24 mrem (平均値) | 15 mrem (0.15 mSv) |
---|---|---|
・上記の最大年間線量が生じる時期 | 1万年 | - |
1万年以降の地質学的に安定な期間内(処分後100万年間)において 合理的に最大の被ばくを受ける個人の年間線量 | 0.96 mrem (中央値) | 100 mrem (1.0 mSv) |
・上記の最大年間線量が生じる時期 | ~72万年 | - |
(10 CFR 63最終版,§63.311 永久閉鎖後の個人の防護基準)
(a) DOEは、合理的に最大の被ばくを受ける個人が、擾乱を受けていない状態のユッカマウンテン処分システムから放出される以下の年間線量を超えて被ばくしないことが妥当に予測できることを、性能評価を用いて立証しなければならない:
(1) 処分後1万年間に関しては0.15mSv(15 mrem)。 (2) 処分後1万年以降から地質学的に安定な期間までの期間に関しては1.0mSv(100 mrem)。 (b) DOEの性能評価には放射性核種の全ての潜在的な移行及び被ばく経路を含めなければならない。
個人防護基準に関するTSPAの結果として、線量の最大値、線量を支配する核種については以下の結果となっている。
(注)図6では、10 CFR 63(案)時点の個人防護基準(1万年以降の基準 350mrem/年)が示されていることに注意すること。
通常シナリオクラス・モデル化ケース
通常プロセスだけを考慮するレファレンスモデル化ケースでは、年間線量の中央値は約0.3mrem(約85万年後)、年間線量の平均値の最大値は約0.5mrem(約73万年後)と評価された。支配核種はI-129、Tc-99であり、100万年後の時点ではPu-242、Cs-135、Np-237、Se-79も合計年間線量に寄与する。
地震シナリオクラス・モデル化ケース
地震地動モデル化ケース
最初の1万年間における年間線量の平均値の最大値は0.2mrem未満であり、期待される中央値の最大値は0.5mrem未満である。 年間線量の平均値には、最初の1万年間はTc-99、C-14、I-129、Cl-36、Se-79が寄与し、1万年以降に最も年間線量の平均値の最大値に寄与する重要な核種はPu-242、I-129、Np-237、Cs-135、Pa-231となる。地震断層変位モデル化ケース
閉鎖後1万年間の断層変位からの年間線量の平均値の最大値は0.002mrem未満であり、100万年間で期待される線量の中央値の最大値はほぼ0.01mremである。 最初の5,000年間はTc-99、I-129、その後1万年まではTc-99、Pu-239、1万年~20万年まではPu-239、100万年ではPu-242、Np-237、Ra-226が支配核種となる。
火成活動シナリオクラスモデル化ケース
火成岩貫入モデル化ケース
1万年までの年間線量の平均値の最大値は0.1mrem未満であり、1万年以降の年間線量の中央値の最大値は0.5mrem未満である。 最初の4,000年間はTc-99、I-129、その後の1万年まではPu-239、Tc-99、Pu-240、I-129が平均線量を支配する。 溶存形態とコロイド形態で移行するPu-239が最初の15万年間で年間線量の平均値の最大値を支配し、Pu-242、Np-237、Ra-226が1万年以降から残りの期間の平均線量を支配する。火山噴火モデル化ケース
閉鎖後1万年以内の年間線量の平均値は約1×10-4mremであり、その後は期間全体で一定である、1万年以降の年間線量の中央値の最大値は6×10-5mremであり、100万年後に現れる。 最初の200~300年はCs-137、Sr-90、Pu-238の短半減期核種が支配的となり、300年の時点ではAm-241が支配核種となる。 1,000年~10,000年後ではPu-239、Pu-240が支配核種となり、その後はRa-226とTh-229が主要な寄与核種となる。
初期破損シナリオクラスモデル化ケース
ドリップシールド初期破損モデル化ケース
最初の1万年間の年間線量の平均値の最大値は3×10-4mremで2,000年後に発生し、その後の年間線量の平均値は1万年で約6×10-5mremに低下する。 1万年以降の年間線量の平均値は、1×10-4mremより僅かに大きな値となり4万年後に第2のピークを生じる。 1万年以降の期間の年間線量の中央値は6万年で最大値約1×10-5mremとなる。 5,000年までの支配核種はTc-99、I-129であり、その後Pu-239となる。4万年の第2のピークはPu-239によるものである。約20万年後Pu-239は減衰し、Pu-242及びNp-237が平均線量を支配する。廃棄物パッケージ初期破損モデル化ケース
閉鎖後1万年間の年間線量の平均値の最大値は約4×10-3mremで1万年頃に発生する。 1万年~1万5千年の期間では、商用使用済燃料からの放出の結果、年間線量の平均値が2×10-2mremで最大となる。 その後約30万年まで減少する。この時点でドリップシールドの破損による僅かな線量の上昇があるが、それ以前のピークを超えない。 その後、年間線量の平均値は減少し100万年で1×10-3mremのレベルとなる。 年間線量の中央値は、1万年~1万5千年で最大値約6×10-3mremに達する。 閉鎖後1万年まではTc-99、C-14、I-129が年間線量の平均値を支配し、1万年以降はTc-99、C-14、I-129の寄与が減少した後、年間線量平均値の最大値はPu-239に支配され、その後Pu-242、Ra-226、Np-237が主要な寄与核種となる。
(2) 人間侵入に対する個人防護基準に関する評価結果
人間侵入に対する個人防護基準に関する評価では、以下の結果が得られている。
評価項目 評価値 規制値 処分後の1万年間において
合理的に最大の被ばくを受ける個人の年間線量0 mrem
(人間侵入は発生しない)15 mrem
(0.15 mSv)1万年以降の地質学的に安定な期間内(処分後100万年間)において
合理的に最大の被ばくを受ける個人の年間線量0.01 mrem
(中央値)100 mrem
(1.0 mSv)(10 CFR 63最終版,§63.321 人間侵入に関する個人の防護基準)
(a) DOEは、廃棄物パッケージが十分に破損し、掘削者が認識せずに、人間侵入(§63.322参照)が発生する処分後の最も早い時期を決定しなければならない。 (b) DOEは、合理的に最大の被ばくを受ける個人が、人間侵入の結果、以下の年間線量を超えて被ばくしないことが妥当に予測できることを立証しなければならない:
(1) 処分後1万年間に関しては0.15mSv(15 mrem)。 (2) 処分後1万年以降から地質学的に安定な期間までの期間に関しては1.0mSv(100 mrem)。 (c) DOEの解析には、§63.322の要件に従って、放射性核種の移行と被ばくの全ての考え得る環境中の経路を含めなければならない。(注)図7では、10 CFR 63(案)時点の個人防護基準(1万年以降の基準 350mrem/年)が示されていることに注意すること。
人間侵入に対する個人防護基準に関する性能評価では、水資源開発のための探査ボーリングによる影響を受けることで、廃棄物パッケージやドリップシールドの力学的破損状況、人工バリア、不飽和帯及び飽和帯における移行現象が異なり、それぞれ通常シナリオクラスで適用されているサブモデルを用いて評価している。
探査ボーリングが掘削される時期は、保守的に20万年を設定している。
人間侵入シナリオにおける合理的に最大の被ばくを受ける個人(RMEI)に対する年間線量の中央値の最大値は、侵入事象発生後2,500年に起き、0.011mrem未満と予測された。
また、年間線量の中央値のリアライゼーションの5%~95%は、0.0012mremから0.029mremに分布する結果である。
(3) 地下水防護基準に関する結果
地下水防護基準に関する評価では、以下の結果が得られている。
評価項目 評価値 規制値 最大平均放射能濃度: Ra-226とRa-228の合計 10-6 pCi/L 5 pCi/L 最大平均放射能濃度: α核種の濃度の合計 10-4 pCi/L 15 pCi/L β核種と光子放出核種の合計からの線量(全身) ~0.06 mrem 4 mrem β核種と光子放出核種の合計からの線量(甲状腺) ~0.26 mrem 4 mrem
(a)Ra-226とRa-228の放射能濃度
確率論的解析のリアライゼーションのうち、僅かなリアライゼーションが放射能濃度の平均値に影響する結果となった。平均値の最も高いリアライゼーションの1万年間の濃度は約1.3×10-7pCi/Lであり、バックグランドレベル )より7オーダ低いため、バックグランドレベルとの合計値はほとんどバックグランドレベルと同じ値(0.5pCi/L)となる。このため、規制値5pCi/L未満を満足する。(b)α核種濃度の合計値
最も高いα核種の年間線量の合計値の平均値は10-4pCi/L未満であり、バックグランドレベル(0.5pCi/L)よりも低い値となっている。α核種には、Pb-210、Ra-226、Ac-227、Th-228、Th-229、Th-230、Th-232、Pa-231、Np-237、Pu-238、Pu-239、Pu-240、Pu-242、Am-241、Am-243が含まれる。バックグランドレベルとの合計値はほとんどバックグランドレベルと同じ値となり、規制値15pCi/L未満を満足する。(c)β核種と光子放出核種の合計からの線量
1日当たり2Lの飲用水による核種の摂取を想定した場合、最大年間線量は全身に対し最大0.06mrem、甲状腺に対し最大0.26mremとなり、線量限度の4mrem/年を満足する結果となっている。1万年間の相対的な重要核種は、C-14、Cl-36、Se-79、Sr-90、Tc-99、I-129、Cs-135、Cs-137であるが、Sr-90とCs-137は半減期が30年未満の短半減期核種である。
2. 処分システムと安全要件 | 対象廃棄物 / 想定処分地 / 処分概念 / 放射線防護基準 3. 安全評価の進め方 | FEP / シナリオ / モデル / 不確実性の取り扱い 4. 評価結果 ← NOW You are Here!
sa/tspa-la/showcase.txt · 最終更新: 2012/03/07 16:25 (外部編集)