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ドイツ

ドイツ連邦政府は2015年10月14日に、原子力発電からの撤退1 に関連して、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)について、資金確保のあり方を検討する「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)の設置を決定した。検討委員会は、原子力発電事業者がバックエンド資金に係る費用負担の責任を果たすため、十分なバックエンド資金を長期的に維持できるような資金確保方策を検討するとされている。

脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会

2015年10月14日付で設置された検討委員会は、3名の共同委員長及び委員16名の合計19名で構成される。

共同委員長は以下の3名である。

  • マティアス・プラツェク(元ブランデンブルク州首相、社会民主党(SPD))
  • オーレ・フォン・ボイスト(元ハンブルク市長、キリスト教民主同盟(CDU))
  • ユルゲン・トリッティン(元連邦環境大臣、緑の党)

16名の委員には、州首相経験者を含む政治家、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の原子力安全局長、会計監査、法律の専門家の他、経済団体、環境団体、労働組合、大学、宗教団体などに所属する委員が含まれている。

ドイツには現在、バックエンド資金確保に関して公的な基金制度などはなく、原子力発電事業者が独自に引当金として資金確保を行っている。しかし、資金確保のあり方については、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」に基づき設置された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の市民対話集会などにおいても、基金や財団を設置して管理すべきとの意見が出されていた

検討委員会は2016年1月までに検討結果を勧告にとりまとめ、「原子力発電に関する政務次官委員会」に提出する。同政務次官委員会は、今回の閣議決定によって検討委員会と同時に設置された関係省庁の次官級組織であり、連邦経済エネルギー省(BMWi)、BMUB、連邦財務省(BMF)、連邦運輸・デジタルインフラ省(BMVI)の次官や連邦内閣官房長官等で構成され、検討委員会の活動に協力すると共に、検討委員会から提出された勧告のレビューを行う。

原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステスト

検討委員会の設置に先立ち、連邦経済エネルギー省(BMWi)は2015年10月10日に、原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステストの結果を公表した。本ストレステストは、BMWiが会計監査法人に委託して実施したものであり、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者がバックエンド資金に係る費用負担に耐えうるかの観点で財務状況を評価したものである。

本ストレステストでは、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積りの総額は、475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円、2014年価格)と算出されている。また、バックエンド費用見積りの内訳が、5種類の費用区分で示されている。費用区分ごとの見積額を下表に示す。

ドイツ原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積り(2014年価格)

廃止措置と解体

197億1,900万ユーロ(約2兆6,818億円)

キャスク・輸送・運転廃棄物 99億1,500万ユーロ(約1兆3,480億円)
中間貯蔵 58億2,300万ユーロ(約7,919億円)
コンラッド処分場 37億5,000万ユーロ(約5,100億円)
高レベル放射性廃棄物処分場 83億2,100万ユーロ(約1兆1,320億円)
総額 475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円)

 

バックエンド費用見積り総額を基に、金利、インフレ率などのパラメータを変動させたシナリオにより、事業者によって確保されるべきバックエンド費用総額が計算されており、その幅を約299億ユーロ(約4兆700億円)から約774億ユーロ(約10兆5,000億円)と評価している。これに対し、2015年8月現在でのバックエンド資金として利用可能な対象事業者の資産総額は約830億ユーロ(約11兆3,000億円)であり、うち約383億ユーロ(約5兆2,100億円)が引当金として確保されている。このため、バックエンド費用が最も高額となるシナリオの場合でも、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者はバックエンド資金に係る費用負担に対応できるとの評価結果を示している。

なお、本ストレステストの結果は、検討委員会に資料として提示されることとなっている。

 

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。 []

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2015年8月12日付けプレスリリースにおいて、BMUBが策定した「使用済燃料及び放射性廃棄物の責任ある安全な管理のための計画」(以下「国家放射性廃棄物管理計画」という)について、連邦政府が承認したことを公表した。今回、連邦政府が承認した国家放射性廃棄物管理計画は、欧州連合(EU)理事会が2011年7月に採択した「使用済燃料及び放射性廃棄物の責任ある安全な管理に関する、共同体(EURATOM)の枠組みを構築する理事会指令」(2011/70/Euratom)(以下「EU指令」という)に基づき、ドイツを含むEU加盟国が2015年8月23日までに欧州委員会(EC)に提出することが義務付けられている「使用済燃料及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」に相当するものである 。連邦政府は、今回承認した国家放射性廃棄物管理計画を欧州委員会に提出する予定である。

EU指令に基づいて、EU加盟国は、「使用済燃料及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」において、使用済燃料及び放射性廃棄物管理に関する全体的な目標、スケジュール、インベントリ及び将来の発生量、関連研究、放射性廃棄物管理費用の見積り、資金確保の枠組み等を示すことになっている。また、EU加盟国は、国家計画を定期的に改訂することも義務付けられている。

国家放射性廃棄物管理計画によれば、ドイツ国内で2080年までに発生が見込まれる放射性廃棄物量は、既発生分を含めて以下の通りである。

○発熱性放射性廃棄物1

  • 原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料:キャスク約1,100体分(約1万500トン)
  • 使用済燃料の海外再処理に伴う返還廃棄物(ガラス固化体やハル・エンドピースの圧縮体など):キャスク約300体分
  • 研究炉、実証炉等の運転に伴う使用済燃料:キャスク約300体分

○非発熱性放射性廃棄物

  • 原子力施設の運転・解体に伴い発生する放射性廃棄物、医療・産業等における放射線利用に伴い発生する放射性廃棄物等:約60万m3(アッセⅡ研究鉱山から回収される放射性廃棄物約20万m3、及びウラン濃縮施設で発生する放射性廃棄物約10万m3を含む)

■放射性廃棄物の管理計画

ドイツでの放射性廃棄物の処分方針として、非発熱性放射性廃棄物と発熱性放射性廃棄物のために1カ所ずつ、合計2カ所の処分場を設置するとしている。このうち1カ所は、非発熱性放射性廃棄物の処分を行うコンラッド処分場であり、すでにサイトが確定し、建設・操業等の許認可も発給されており、現在は操業に向けた準備が進められている。国家放射性廃棄物管理計画によれば、コンラッド処分場は2022年の操業開始が見込まれている。

発熱性放射性廃棄物処分場については、現在、2013年7月制定の「発熱性放射性廃棄物の処分場サイト選定に関する法律」(サイト選定法)に基づいて、サイト選定に向けた取り組みが行われており 、2031年までに処分場サイトを確定し、2050年までに操業を開始する計画が示されている。

なお、アッセⅡ研究鉱山は、閉鎖のためにすでに処分された放射性廃棄物を回収する方針が決定している。国家放射性廃棄物管理計画では、回収される廃棄物量を約20万m3と見込んでいる。このアッセⅡ研究鉱山から回収される放射性廃棄物及びウラン濃縮施設から発生する放射性廃棄物については、非発熱性放射性廃棄物の処分場であるコンラッド処分場を拡張2 して処分するオプションも完全には排除していないが、基本的には発熱性放射性廃棄物処分場に処分することを想定していることが示されている。

■放射性廃棄物管理費用

放射性廃棄物の管理費用の見積りについては、国家放射性廃棄物管理計画の添付文書として欧州委員会に提出される「使用済燃料及び放射性廃棄物管理に係る費用及び資金確保に関する報告書」に示されている。放射性廃棄物管理費用のうち、非発熱性放射性廃棄物及び発熱性放射性廃棄物の処分場の建設・操業・閉鎖に係る費用は、以下のように見積られている。

  • 非発熱性放射性廃棄物処分場(コンラッド処分場):約75億ユーロ(約1兆200億円。2007年までに支出した計画や探査作業等の費用約9.3億ユーロ(約1,260億円)を含む)
  • 発熱性放射性廃棄物処分場(サイト未定):約77億ユーロ(約1兆500億円)

【出典】


  1. ドイツでは発熱による処分空洞壁面の温度上昇が3℃以下である放射性廃棄物を「非発熱性放射性廃棄物」と定義している。それ以外が「発熱性放射性廃棄物」に分類され、使用済燃料や海外再処理に伴い返還されるガラス固化体やハル・エンドピースの圧縮体などがこれに該当する。 []
  2. 現在計画されているコンラッド処分場の処分容量は約30万m3であり、国家放射性廃棄物計画で示されている非発熱性放射性廃棄物の発生量60万m3(2080年まで)より小さい。 []

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2015年6月19日のプレスリリースにおいて、使用済燃料の海外再処理に伴って発生した発熱性放射性廃棄物の高レベルガラス固化体及び中レベルガラス固化体を収納したキャスク(貯蔵・輸送容器)のうち、ドイツへの返還が完了していない26基のキャスクの貯蔵先に関する提案を示した。BMUBは、4か所の原子力発電所サイトにおいて、26基のキャスクを分散して貯蔵することを提案している。

ドイツでは原子力法の規定により、2005年7月1日以降、再処理を目的とした使用済燃料の海外輸送が禁止されているが、これ以前にフランスに5,379トン、英国に851トンの使用済燃料が輸送された。これらの使用済燃料の再処理に伴って発生した放射性廃棄物のうち、フランスからの高レベルガラス固化体の返還は2011年11月までに完了し、ゴアレーベン(ニーダ―ザクセン州)に存在する集中中間貯蔵施設において108基のキャスク(高レベルガラス固化体で3,024本)が貯蔵されている。フランスからはさらに、中レベルガラス固化体〔CSD-B〕(わが国では「低レベル放射性廃棄物ガラス固化体(CSD-B)」と呼称)を収納した5基のキャスクが返還されることになっている。また、英国からの返還は開始されておらず、再処理により発生する中低レベル放射性廃棄物については等価交換が行われるため、今後、高レベルガラス固化体を収納した21基のキャスクのみが返還される。

これらの今後返還されることになる放射性廃棄物については当初、フランスからの高レベルガラス固化体と同様に、ゴアレーベンの集中中間貯蔵施設において貯蔵することが計画されていた。しかし、2013年7月の原子力法の改正において、海外から返還されるガラス固化体については、原子力発電所サイト内外の中間貯蔵施設での貯蔵に配慮することが規定された。このため、ゴアレーベン中間貯蔵施設に代わる貯蔵先の検討が進められてきた。

プレスリリースによるとBMUBは、原子力利用に伴う負担の公平性、及び技術的、法的、政治的、また手続的な側面を考慮した結果、異なる4つの州に所在する以下の4カ所の原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設が、返還されるガラス固化体の貯蔵先として最適であるとしている。

  • フランスから返還される中レベルガラス固化体(キャスク5基)の貯蔵先
    • フィリップスブルク原子力発電所サイト(バーデン・ビュルテンベルク州)
  • 英国から返還される高レベルガラス固化体(キャスク21基)の貯蔵先
    • ビブリス原子力発電所サイト(ヘッセン州)
    • ブロックドルフ原子力発電所サイト(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州)
    • イザール原子力発電所サイト(バイエルン州)

プレスリリースによると、BMUBと廃棄物発生者である電気事業者4社は、今後、共同の作業グループを設置して、貯蔵先及び各貯蔵先に貯蔵する廃棄体キャスク数を決定することなどで合意したとしている。また、フランスからの返還は2017年に、英国からの返還は2018~2020年に行われることが予定されている。これらの原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設において返還されるガラス固化体を貯蔵するためには、別途、連邦放射線防護庁(BfS)から許可を取得する必要がある。

なお、フランスからは、固型物収納体〔CSD-C〕1 も返還されるが、この廃棄物については、アーハウス集中中間貯蔵施設(ノルトラインヴェストファーレン州)における貯蔵が計画されている。

 

【出典】


  1. 燃料棒のせん断片(ハル)等を圧縮して高レベルガラス固化体と同型の容器に収納したもの []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2014年5月22日の正式発足以降 、2015年5月18日までの約1年間に、合計12回の会合を開催している。処分委員会では、1年目を情報取得フェーズ、2年目を実施フェーズと位置づけて活動を行ってきており1、2015年4月及び5月に行われた第11、12回会合において、2016年6月を予定している最終報告書の取りまとめに向け、3つの常設作業グループに分かれて検討している事項のうち、今後の処分オプションの検討方針及び公衆参加に関する方針について決議を行った。

2015年4月20日に開催された第11回会合では、今後の処分オプションに関する検討方針として、すでに知見のある「岩塩、粘土層、結晶質岩への坑道内処分」を今後の処分委員会において詳細に検討する処分オプションとすることを決議した。この決議は、処分委員会の下に設置された常設作業グループの1つである、作業グループ3「社会・科学技術上の意思決定基準ならびに欠陥是正措置に関する基準」の提案に基づくものである。また、処分委員会は、作業グループ3に対して、この処分オプションについてさらに検討を進めるよう指示した。

2015年5月18日に開催された第12回会合では、作業グループ1「社会対話、公衆参加、透明性」の検討結果として、処分委員会による連邦政府に対する提案の取りまとめに向けた活動への公衆参加の形式・タイミングに関する提案を決議した。この提案には、公衆参加の形式として、市民対話集会、ワークショップの開催、ドキュメンタリー映像の制作、書面・オンラインでの意見表明、最終報告書の採択会合への招聘などが含まれている。このうち、2015年6月20日に開催する市民対話集会では、参加者がテーマ別のグループに分かれて議論するフォーカスグループ・セッションや、参加者がテーブルを巡回して関心のある議論に参加するワールドカフェ形式のセッションが企画されている2。市民対話集会への参加者は200名程度を公募するとしており、議論の結果は処分委員会の最終報告書の取りまとめにおいて考慮する予定である。

なお、処分委員会は、2015年3月2日に行われた第10回会合において、処分委員会事務局が提示した最終報告書の構成案も承認している。その上で処分委員会は全作業グループに対し、この構成案に従いさらに議論を進めるよう指示した。処分委員会は今後、報告書案の改訂状況を随時公開していくとしている。

 

【出典】

 

【2015年6月26日追記】

高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年6月20日に、ベルリンで市民対話集会を同日に開催し、事前に申し込みを行った200名以上の市民が参加したことを公表した。市民対話集会では、処分委員会から委員会の活動等に関する情報提供が行われたほか、フォーカスグループやワールドカフェ形式による議論が行われたとしている。

フォーカスグループのセッションは、以下の5つのテーマ別のグループに分かれて実施された。

  • 社会的合意に基づくサイト選定のあり方
  • 公衆がサイト選定手続きに及ぼす影響
  • 地層処分の代替オプション
  • 発生者負担の原則に則った放射性廃棄物管理費用の適正な負担
  • 連邦政府による処分場建設・操業・管理のための新たな体制構築の是非

フォーカスグループのセッションでは、サイト選定手続きへの公衆参加について、より幅広く、早い段階からの参加が望ましいとする意見や、公衆にわかりやすい情報提供を行うとともに、公衆が参加しやすい環境の整備が必要との意見が出された。また、定置した廃棄体の回収可能性を維持すべきとの意見のほか、現在、原子力発電事業者が引当金で個別に確保している放射性廃棄物管理資金について、新たに基金か財団を設置して管理すべきという意見なども出された。

一方、ワールドカフェ形式のセッションでは、処分委員会が第12回会合で決議した、処分委員会活動への公衆参加の形式・タイミングに関する方針について、参加者が話し合いを行った。参加者は処分委員会の方針について概ね肯定的であったが、過去のサイト選定手続きの分析が必要といった意見も出された。

【出典】

 

【2015年7月7日追記】

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年7月3日及び4日に、第13、14回会合を開催した。処分委員会は、最終報告書の採択期限を半年間延長して2016年6月30日とすることを正式に決議したほか、最終報告書の作成に向けたスケジュールを決定した。

2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)では、サイト選定法に基づいて設置する処分委員会の最終報告書の採択期限を2015年12月31日としているが、この期限は委員の3分の2以上の賛成により、1度に限り6カ月間延長できることが規定されている。

処分委員会は当初、2013年中の発足が見込まれていたが、委員選定の難航などにより設置が遅れて2014年5月22日に正式に発足した。このため、活動期間の確保を目的として期限延長が検討されていた。

また、処分委員会の最終報告書の作成スケジュールについては、次のように決定した。

  • 2016年1月初頭までにドラフト報告書を作成
  • ドラフト報告書について公衆協議を行い、必要に応じて修正を実施
  • 2016年6月30日までに最終報告書を採択して連邦政府・連邦議会に提出

【出典】


  1. 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律(サイト選定法)では、2015年末までに最終報告書を提出することが規定されているが、1回に限り半年間(すなわち2016年6月末まで)の延長が可能とされている。委員会発足が遅れたことなどから、最終報告書の提出期限は半年間延長される方針が示されている。 []
  2. フォーカスグループによる議論では、モデレータの調整・進行のもと、少人数の参加者により特定のテーマについて議論が行われる。ワールドカフェ形式は、会議での討論の一方式であり、複数のテーブルが用意され、テーブルホスト以外の参加者が各テーブルを移動しながら議論を繰り返し、最後に各テーブルホストが自分のテーブルに置ける議論を取りまとめ、参加者全員に対して報告する。 []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年3月2日に行われた第10回会合において、連邦政府の責任となっている放射性廃棄物処分について、処分実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として新たに設置することを求める提案を決議した。

処分委員会は、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) に基づいて連邦議会によって設置されたものであり、以下の事項についての提案を2015年末までに連邦政府に提出することになっている

  • 地層処分の代替処分概念の検討を行うかどうか
  • 処分の安全要件、サイトの除外基準・最低要件、母岩固有の除外基準及び選定基準、予備的安全評価の実施方法など
  • 処分の欠陥が認識された際に行う、欠陥是正措置(回収可能性、可逆性などの問題を含む)に関する基準
  • サイト選定に係る組織と手続きに関する要件、並びに、これら組織や手続きに関する代替案の検討
  • 公衆参加及び公衆への情報提供、透明性確保のための要件

現在のドイツの原子力法では、放射性廃棄物処分場の建設・操業等は連邦政府の責任と規定されており、連邦放射線防護庁(BfS)が処分実施主体となっている。また、原子力法では、処分場建設・操業等の作業は第三者に委託できることが規定されており、発熱性放射性廃棄物処分場の開発計画、非発熱性放射性廃棄物処分場であるコンラッド処分場及びモルスレーベン処分場における作業については、BfSが民間会社であるドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社)に委託している1 。また、処分されている廃棄物を回収して閉鎖することを計画しているアッセII研究鉱山の管理作業等については、国有会社であるアッセ有限会社に委託している。

今回の処分委員会が行った決議では、放射性廃棄物処分場の建設・操業等は国営の組織が実施すべきであり、100%国営組織として設置される連邦放射性廃棄物機関(BGE)は、将来も民営化すべきでないとしている。また、現在の放射性廃棄物処分の実施主体であるBfSの他、DBE社及びアッセ有限会社の有している役割のすべてをBGEに継承させることを提案している。さらに同決議では、放射性廃棄物処分に関連した規制、許認可発給2 などのうち、州が担当すべきもの以外のすべてを単一の連邦機関が行うべきとしている 。

処分委員会の2015年3月2日付のプレスリリースでは、今回の提案は、将来の放射性廃棄物処分が、放射性廃棄物発生者の利害とは独立した形で実施されるようにするためのものとしている。また、この提案に沿った形で新たな処分実施主体や規制機関が迅速に作業を開始するためには、必要な法改正が適宜実施される必要があるとしている。

【出典】


  1. DBE社の株式の4分の3は原子力発電事業者の子会社である原子力サービス社(GNS社)が保有している。 []
  2. サイト選定法等に従い、2014年9月に放射性廃棄物分野の規制を担う連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が設置されており、放射性廃棄物処分場に係る許認可発給等の役割を有している 。しかし、使用済燃料や放射性廃棄物の中間貯蔵施設に関する許認可発給についてはBfSが担当している。 []

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(Bundesministerium für Umwelt, Naturschutz, Bau und Reaktorsicherheit, BMUB)は、2014年8月29日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物処分に関する新たな規制機関である連邦放射性廃棄物処分庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgung, BfE)が2014年9月1日に活動を開始したことを公表した。BfEの活動開始については、2014年8月27日付で連邦官報において公布されたBfEの設置に関するBMUBの省令に基づき実施されたものである。BfEの活動開始に伴い、BfEのウェブサイト(http://www.bfe.bund.de/)も開設された。

BfEは、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)とともに2013年7月に制定された連邦放射性廃棄物処分庁設置法(以下「BfE設置法」という)に基づいて、BMUBの下に設置された新しい規制機関である。

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)の役割

BfE設置法では、BfEが原子力法やサイト選定法等の規定に基づき、放射性廃棄物処分場の許認可に係る業務を行うことに加え、許認可に関連する分野において、BMUBを科学技術的な面から支援することなどを定めている。

また、サイト選定法では、放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射線防護庁(Bundesamt für Strahlenschutz, BfS)が実施する発熱性放射性廃棄物処分場のサイト選定手続をBfEが監督することなどを規定しており、以下のようなBfEの具体的な役割を定めている。

  • BfSが実施するサイト選定手続の監督、サイト選定手続の進め方等のサイト選定法への適合性の確認(サイト選定法第17条及び原子力法第19条)
  • 地上からの探査サイト及び地下探査サイトに関するBfSの提案の評価(サイト選定法第14条・第17条)
  • 地上からの探査計画、地下探査計画、及びサイトの評価基準の確定(サイト選定法第15条・第18条)
  • 戦略的環境影響評価1 の実施(サイト選定法第18条及び環境影響評価法第14a条)
  • BMUBに対する処分場サイトの提案(サイト選定法第19条)
  • サイト選定手続に係る公衆への情報提供(サイト選定法第9条・第10条など)
  • 放射性廃棄物発生者が負担する処分場サイト選定に係る費用の分担額等の算定及び確定(サイト選定法第21~26条)

また、2013年に改正された原子力法第9a条に基づいて、発熱性放射性廃棄物処分場サイトがサイト選定法に基づき確定される場合、従来の計画確定決議に代わって、BfEが建設・操業・廃止措置に係る許認可を発給することになる。

さらに、放射性廃棄物処分場に関する規制のうち、鉱山法に基づく許認可などの発給については、現状、連邦委任行政により州の担当官庁が行っているが、今後はBfEの所管となる。さらに、既存の放射性廃棄物処分場の規制は、それぞれ以下のタイミングでBfEに移管されることになっている。

処分場 種別 規制対象への移管
コンラッド処分場
(建設中)
非発熱性放射性廃棄物 操業開始後
モルスレーベン処分場
(廃止措置の準備段階)
低中レベル放射性廃棄物 廃止措置に関する計画確定決議後

 

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)の発足時における体制

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)発足時の組織図 (BfEウェブサイトより作成)

連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)発足時の組織図
(BfEウェブサイトより作成)

BfEの設置に関するBMUBの省令は、BfEの活動開始期日を2014年9月1日と定めると共に、設置段階における体制などについても定めている。設置段階における体制は右図の通りである。

なお、BfEの設置に関するBMUBの省令によれば、現在の体制は、将来的に管理部門1部署に加え、分野に応じて複数の専門部署を擁する体制に変更できるとされている。

BfEのウェブサイトによれば、BfEの当面の任務は、発熱性放射性廃棄物処分場の処分場候補サイトであったゴアレーベンの維持管理 に必要な費用を含めた、サイト選定関連費用に係る資金を確保する作業であり、放射性廃棄物発生者が負担する分担金額等を確定する作業を行うとしている。

【出典】


  1. 戦略的環境影響評価は、事業の計画決定過程、立地選定段階などで実施される環境影響評価を指す。 []

ドイツ連邦議会は自身のウェブサイトにおいて、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) に基づいて設置された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)について、2014年6月30日に開催した第2回会合の議事録を公表した。

公表された議事録によれば、第2回会合では、処分委員会の規約や2014年の活動計画の採決が行われたほか、高レベル放射性廃棄物を含む発熱性放射性廃棄物の処分に関するさまざまな問題について議論が行われた。また、同会合では、サイト選定法で原則として2015年末までに行うとされている委員会の最終報告について、委員会の活動開始が遅れたことから、サイト選定法で認められている半年の延長を行い、全体で2年間の活動期間を確保する方針であることが確認された。さらに、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(Bundesministerium für Umwelt, Naturschutz, Bau und Reaktorsicherheit, BMUB)からは、連邦放射性廃棄物処分庁(Bundesamtes für kerntechnische Entsorgung, BfE)1 の設置の進捗状況についての説明が行われ、2014年内に設置されるとの見通しが示された。

処分委員会の規約の概要

第2回会合において採択された規約では、委員長選出過程で合意されたように、連立政権を構成する政党からの代表者2名が交代で委員長を務めることが定められている。また、広範なコンセンサスを得ることが処分委員会の活動の成否を左右するとの認識のもと、委員全員は、あらゆる問題について委員全員が合意可能な結論を導くよう努力することが規約に盛り込まれている。処分委員会の会合は原則公開とし、会合の模様をインターネットで中継するほか、録画映像もインターネット上で公開することも取り決めている。さらに、公衆参加を獲得するため、処分委員会活動、サイト選定法に関する討論会、ワークショップを全国レベルで開催すること、インターネットや電子メールでの意見受け付けを行うことが盛り込まれている。

また、委員の議決権を明確にしており、処分委員会の最終報告書に関する決定、及び活動期間延長に関する決定については、サイト選定法の規定どおり 、議決権が学術界と社会グループ代表の委員に限定されるものの、その他の議決事項については全ての委員が議決権を有することが明記されている。

さらに、規約では、委員6名以上の提案により、予算の範囲内で外部専門家への調査の依頼や意見聴取を実施できること、委員会の議論に資する検討を行う目的で、テーマ別の作業グループの設置ができることが規定された。

2014年の活動計画

処分委員会の第2回会合において合意された2014年の活動計画では、2014年に開催される4回の会合(開催日時は下表を参照)において、以下の議題が取り扱われることが示されている(順不同)。

  • 放射性廃棄物処分のあり方の共有
  • 高レベル放射性廃棄物処分に関する国内外の最新知見の確認
  • 高レベル放射性廃棄物のインベントリや、連邦政府による廃棄物管理に関する国家計画に関する議論
  • 過去の事例として、サイト選定手続委員会(Arbeitskreises Auswahlverfahren Endlagerstandorte, AkEnd)の活動及び2002年に公表されたAkEndの報告書・勧告と現在の取組の紹介
  • 長期貯蔵や核種分離・変換などの地層処分の代替オプション

また、これらの議題に関連し、以下の活動などを行うことが示されている。

  • サイト選定法の評価や海外における処分に関する問題、核種分離・変換などを含む地層処分の代替オプション等に関する意見聴取
  • 以下の事項に関する専門家からの助言の受領
    • 現在の科学技術的知見に照らしたAkEndの報告書・勧告の評価
    • 放射性廃棄物処分に関する国内外の研究開発状況及び今後必要となる知見
    • 処分費用に係る資金確保
  • 国際原子力機関(IAEA)などの国際機関やスイス、英国、フランス、北欧諸国、米国の視察

また、テーマ別の作業グループとして、以下のテーマを取扱う4つのグループが設置されることが示されている。

  • アッセII研究鉱山からの経験(他の処分・貯蔵施設の事例も参照)
  • 放射性廃棄物処分に関する社会との対話の基準や形態
  • 放射性廃棄物処分に関する科学技術上の決定基準(安全要件、除外基準、母岩固有の基準など)
  • 回収可能性、可逆性などの欠陥是正措置に関する基準

2015年夏までの処分委員会の開催予定

第2回会合で合意された2015年7月までの処分委員会の開催予定は、以下の通りである。

2014年 2015年
第3回 9月8日 第7回 1月19日
第4回 9月22日 第8回 2月2日
第5回 11月3日 第9回 3月2日
第6回 12月5日・6日(2日間) 第10回 4月20日
  第11回 5月18日
第12回 7月3日・4日(2日間)

(※)2014年の会合はすべてベルリンで開催。2015年にはベルリン以外の地域でも開催される。

 

【出典】

 

【2014年9月26日追記】

ドイツ連邦議会は自身のウェブサイトにおいて、2014年9月8日に開催された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)の第3回会合の議事録を公表した。

議事録によれば、第3回会合では、2014年中の処分委員会の会合で取り扱う議題や3つの作業グループを設置することなどについて合意したとしている。

2014年中の処分委員会開催予定と議題

処分委員会の第3回会合で合意された2014年中の会合での議題は、以下の通りである。

開催日程

議題

第4回

9月22日

  • 放射性廃棄物の回収可能性
  • サイト選定法の評価及び国際的な知見に関する意見聴取の実施に向けた準備
  • 処分委員会のあり方について

第5回

11月3日

  • サイト選定法の評価に関する意見聴取
  • 放射性廃棄物インベントリ

第6回

12月5日(※)

  • サイト選定手続委員会(Arbeitskreises Auswahlverfahren Endlagerstandorte, AkEnd)の取組についての評価

第7回

12月6日(※)

  • 2014年の活動内容の評価
  • 2015年の活動について

(※)12月5日、6日の会合については、「国際的な知見」に関する意見聴取を議題として加えることも今後検討される。

作業グループの設置

処分委員会の第3回会合では、2014年の活動計画でテーマ別に4つ設置することが示されていた作業グループについて議論を行い、最終的に以下の3つの作業グループを設置することを決定した。

 

検討テーマ

作業グループ1「社会対話と公衆参加」

アッセII研究鉱山、ゴアレーベン、コンラッド処分場、モルスレーベン処分場での教訓を踏まえた社会対話、公衆参加、透明性

作業グループ2

委員会活動の評価

作業グループ3

アッセII研究鉱山、ゴアレーベン、コンラッド処分場、モルスレーベン処分場での教訓を踏まえた社会・科学技術上の意思決定基準ならびに欠陥是正措置に関する基準

作業グループ1「社会対話と公衆参加」はすでに設置済みであり、処分委員会の第3回会合後に、作業グループ1の第1回会合が開催された。他の2つの作業グループについては、今後、議長や参加者が決定される。

【出典】


  1. 2013年7月にサイト選定法とともに制定された連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)設置法に基づく新設官庁であり、サイト選定法に基づく処分場サイト選定の監督や処分事業の規制を担う。 []

ドイツ連邦政府及びニーダーザクセン州は2014年7月29日付のプレスリリースにおいて、2013年7月の「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)の成立にともなって、処分場候補サイトであったゴアレーベン・サイトの今後の維持管理方針を公表した。連邦政府とニーダーザクセン州とは、地下探査活動を実施していたゴアレーベン・サイトの維持管理方針について協議を続けていたが、維持管理を行う地下施設部分を最小限とすることで合意し、同サイトの第1調査鉱区の全体及びインフラ坑道の一部を閉鎖する方針となった。また、地上施設についても保安施設の大部分が解体される予定である。

ゴアレーベン・サイトでは、1970年代から発熱性放射性廃棄物処分場の候補サイトとして、その適性を判断するための探査活動が行われてきた。しかし、2011年の連邦政府及び全16州によるサイト選定手続きの見直し方針を受けて、2012年に探査活動は停止された 。その後、2013年7月のサイト選定法の成立により、ゴアレーベン・サイトにおける探査活動は完全に中止された。

サイト選定法では、ゴアレーベン・サイトを同法に基づいて実施される新たなサイト選定の対象から除外しておらず、選定手続きの過程で候補から脱落するまでは、ゴアレーベン・サイトを閉鎖せず、必要な維持管理作業を行うことが規定されている。

ゴアレーベン・サイトの管理者である連邦放射線防護庁(BfS)は、同サイトに関する許認可発給機関である州当局に対し、2014年9月30日までに、今回の合意内容を踏まえたゴアレーベン・サイトの鉱山法に基づく新たな主操業計画(詳細はこちら)を提出する予定である。この主操業計画において、今後のゴアレーベン・サイトの維持管理措置の詳細が示されることになる。

プレスリリースにおいて、ゴアレーベン・サイトの維持管理措置では、ボーリング孔の埋め戻しに加え、第1調査鉱区内に設置された各種機器の撤去などの地下作業が必要となるとしており、このような作業は今後2年以内に完了する見込みとしている。

今回の合意について連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)の大臣は、発熱性放射性廃棄物処分場の新たな選定プロセスの開始に向けた確かな一歩であり、特に、ゴアレーベン・サイトの立地地域との信頼関係の醸成において重要な意味を持つとしている。一方、ニーダーザクセン州環境大臣は、今回の合意は、ゴアレーベン・サイトが既定の処分場候補サイトとされてきた長い歴史に終止符を打つものであり、同州とゴアレーベン・サイトの地元にとって、大きな意味を持つものであるとしている。

【出典】

 

 

ドイツの連邦議会は、2014年4月10日に、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)の設置に関する決議案を可決するとともに、委員長及び委員の指名案を承認した。また、連邦参議院は、2014年4月11日に、処分委員会の州政府代表委員を選定した1 。これにより、処分委員会が発足し、2015年末までの報告書取りまとめに向けて検討作業を開始することになる。

高レベル放射性廃棄物処分委員会の構成

サイト選定法では、処分委員会が委員長1名を含む33名からなること、各界の代表者の人数などの委員会の構成、委員の議決権の有無についても規定されている。しかし、委員長の選出過程において、連立政権を構成するキリスト教民主同盟(CDU)と社会民主党(SPD)の両方から委員長を選出し、2名が交代で委員長を務めることになった。

選出された委員長及び委員は以下の通りである。

委員長(2名):議決権無し
  • ウルズラ・ハイネン=エッサー(キリスト教民主同盟:CDU)
  • ミヒャエル・ミュラー(社会民主党:SPD)

※交代で委員長を務める

学術界代表(8名):議決権あり
  • 地質学者:2名
  • 法学者:2名
  • 物理学者:2名(うち1名は哲学の学位も保有)
  • 化学者:1名
  • 土木工学者(土壌・岩盤工学):1名
社会グループ代表(8名):議決権あり
  • 労働組合:2名
  • 経済団体:2名
  • キリスト教会:2名 (カトリック、プロテスタント各1名)
  • 環境団体2名:空席
連邦議会代表(8名):議決権なし
  • キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU):4名
  • 社会民主党(SPD):2名
  • 左派党:1名
  • 緑の党:1名
連邦参議院代表(8名):下記8州から各1名2 議決権なし

バーデン・ヴュルテンベルク州*、バイエルン州*、メクレンブルク・フォアポンメルン州、ニーダーザクセン州*、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ザクセン州、ザクセン・アンハルト州、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州*

※連邦議会ならびに連邦参議院代表については、それぞれ委員と同数の副委員を置くこととされている。

なお、環境団体代表の委員2名は、環境団体がサイト選定法に基づく手続への参加を拒否しているため、現在は空席となっている。連邦議会は、委員会設置決議の中で、環境団体に対して今後も処分委員会への参加を求めていくことを示している。

高レベル放射性廃棄物処分委員会の役割

処分委員会は以下の事項に関して検討し、報告書の形で連邦政府に対して提案を行うこととされている。

  •  地層処分の代替処分概念の検討を行うかどうか
  • 処分の安全要件、サイトの除外基準・最低要件、母岩固有の除外基準及び選定基準、予備的安全評価の実施方法など
  • 処分の欠陥が認識された際に行う、欠陥是正措置(回収可能性、可逆性などの問題を含む)に関する基準
  • サイト選定に係る組織と手続きに関する要件、ならびにこれら組織や手続きに関する代替案の検討
  • 公衆参加及び公衆への情報提供、透明性確保のための要件

処分委員会は、これらに加えて、サイト選定法の法律自体に対する評価も行い、必要に応じてサイト選定法の改正に関する提案を行うことになっている。

なお、処分委員会の報告書の提出期限は、サイト選定法での定めに従い、議決権を有する委員の2/3以上が賛成する場合には、1度に限り、最大半年の延長が可能である。しかし、委員会設置の準備作業が難航したことから、処分委員会設置決議では、報告書提出がサイト選定法の規定(一度延長した場合で2016年半ば)より遅れる可能性があると指摘されており、遅延する場合には、連邦議会が提出期限を延長することが付帯決議された。

 

【出典】

【2014年5月22日追記】

ドイツの連邦議会は、2014年5月21日に、サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の委員のうち、2014年4月10日の委員長及び委員の指名案承認の際に空席となっていた環境団体代表の委員2名について、委員の指名案を承認した。

指名された委員は以下の2名である。

  • クラウス・ブルンスマイヤー:ドイツ環境自然保護連盟(BUND)副代表
  • イェルク・ゾンマー:ドイツ環境基金(Deutsche Umweltstiftung)代表

連邦議会は、サイト選定法に定める委員長以下33名の委員3 が全て決定したことを受け、「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が2014年5月22日に正式に発足するとしている。

【出典】

【2014年5月26日追記】

ドイツでは2014年5月22日に、サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)が正式に発足し、同日、第1回会合が開催された。連邦議会議長4 による冒頭挨拶ののち、委員間で意見交換が行われた。

連邦議会議長は挨拶の中で、処分委員会が技術的・法的・政治的に実行可能な発熱性放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの整備について、現政権の任期内5 に完了させることに期待するとともに、処分委員会の結論が幅広いコンセンサスを得るものであることを望むと述べた。処分委員会委員の意見交換においては、主に以下のような意見が示された。

  • 最終処分場のサイト選定手続きにおいて、サイト選定法制定以前の処分場候補サイトであったゴアレーベンを予め対象から除外すべきではない
  • 処分した放射性廃棄物の回収が計画されているアッセII研究鉱山のようなことを繰り返さないためにも、処分委員会は国外の経験から学ぶべきである
  • 最終処分場に関する議論は、内部的にも対外的にも信頼に足るものでなければない。そのためには委員が相互に信頼し合い、率直に関わり、相手の言葉に耳を傾けることが必要である

第2回会合は、連邦議会の夏季休会前6 に開催され、規約の制定、活動計画の策定、ワーキンググループの設置等が行われる予定である。

 

【出典】


  1. ドイツの国会は二院制であり、連邦議会と連邦参議院がある。連邦参議院は直接選挙で選出されるのではなく、それぞれ自治権を有する州の代表で構成される。このため、サイト選定法では、連邦参議院が州の代表の委員を決定することが規定されている。 []
  2. ドイツは全16州で構成される。委員が選出された8州には、現在運転中の原子力発電所を有す州(表中*印)などが含まれている。また、委員が選出されなかった8州の代表は副委員として位置づけられている。 []
  3. 委員の選出過程で委員長が2名体制となったため、委員として参加する総数は34名である。しかし、委員長に指名された両名は会合ごとに交代で委員長を務めるため、委員数としては「1名」と数えられている。 []
  4.  同委員会の事務局は、連邦議会に置かれている。 []
  5. 次回の連邦議会選挙は2017年9月に実施される予定である。 []
  6. 2014年の連邦議会における夏季休会前の最終日程は、2014年7月4日とされている。 []

ドイツでは、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下、「サイト選定法」という)に基づいて、発熱性放射性廃棄物処分場の新たなサイト選定手続きの開始に向け、現在、連邦政府が「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の設置の準備作業を進めているところである。本委員会は、地層処分に代わる処分オプションの検討の必要性、それを踏まえたサイト選定に係る基準等の提案を2015年までに連邦政府に提出することになっている。サイト選定法においては、委員長を含む計33名の委員会を、科学者や連邦議会議員、州政府、環境団体、宗教団体、経済界、労働組合の各界代表で構成することが定められている。

連邦政府による高レベル放射性廃棄物処分委員会の設置に向けた準備作業が難航していることを受けて、サイト選定法制定以前の処分場候補サイトであったゴアレーベンを有するニーダーザクセン州は、2014年1月16日に、「高レベル放射性廃棄物処分委員会の設置」に関する州独自の討論会を同州のベルリン代表部事務所で開催した。

ニーダーザクセン州環境大臣は、討論会の開会のスピーチにおいて、ゴアレーベンが発熱性放射性廃棄物の地層処分場に適していないとした上で、新たなサイト選定手続きでゴアレーベンが候補から除外されたとしても、ドイツの地層分布を考慮すると、ニーダーザクセン州が再び検討対象となる可能性が高いとの考えを示した。また、同州にはすでに非発熱性放射性廃棄物の処分場に確定しているコンラッド処分場や、定置された放射性廃棄物の回収が検討されているアッセⅡ研究鉱山も存在している。こうしたことから同州は、新たに開始されるサイト選定手続きに特別な利害関心があるとしており、「高レベル放射性廃棄物処分委員会」が可能な限り早期に活動を開始することを希望すると述べている。

今回のニーダーザクセン州の討論会では、州内で活動する各界の代表者3名による、連邦政府の「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の設置に関連した課題等を説明する講演のほか、この講演者3名と州環境大臣、連邦議会議員によるパネルディスカッションが実施された。

サイト選定法に基づく選定手続き

2013年7月に制定されたサイト選定法では、発熱性放射性廃棄物の処分場サイトのサイト選定を新たに実施するための手続きなどを定めている。同法に基づくサイト選定では、公衆の参加を得ながら、複数の候補地域から、地上探査、地下探査、最終的なサイトの比較へと段階的に絞り込みが行われる。サイト選定法に規定されたスケジュールでは、2031年までに最終的なサイトを決定することとなっている。処分の実施主体である連邦放射線防護庁(BfS)が選定手続きを実施し、今後、新たに設置される「連邦放射性廃棄物処分庁」が、手続きの全体を管理・監督する。なお、処分場候補サイトであったゴアレーベンは、候補サイトとして再度検討される可能性は排除されておらず、他のサイトと同列に扱われることが規定されている。

新たなサイト選定手続を管理・監督する連邦放射性廃棄物処分庁は、サイト選定法と同時に制定された「連邦放射性廃棄物処分庁設置法」(2014年1月1日発効)に基づいて、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)1 の下に設置される放射性廃棄物管理に関する規制機関である。従来、処分場に係る許認可手続きは、連邦委任行政(詳細はこちら)に基づいて、各州当局によって行われていたが、サイト選定法制定に伴う原子力法改正により、今後は連邦放射性廃棄物処分庁がすべての処分場の許認可手続きからサイト決定後の処分場の建設・操業・閉鎖に至るまでの規制を一貫して担うことになった。なお、連邦放射性廃棄物処分庁設置法によると、連邦放射性廃棄物処分庁の構成、長官等の人事などは、2014年中に決定されることが規定されている。

【出典】


  1. 2013年12月に発足した新政権での省庁再編により、連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)に改編された。 []