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《英国》高レベル放射性廃棄物等の長期管理計画に関する公衆協議の結果についての報告書、原子力発電所の新規建設の英国政府決定を公表

英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、2008年1月10日付けのプレスリリースで、2007年6月25日から2007年11月2日まで実施された高レベル放射性廃棄物等の長期管理計画に関する公衆協議について、寄せられたコメントの概要及び分析結果を報告書としてまとめたことを公表した。この公衆協議は、2006年10月に英国政府が行った高レベル放射性廃棄物等の長期管理方針の決定に従い、地層処分場の設計及び実施に関する技術的見地とともに、将来の処分場サイトの決定における手続き及び基準に関して、政府案への意見を募集するために実施されていた

今回公表された報告書によると、寄せられたコメントは合計で181件であったとされている。協議文書では13の質問項目が設定されていたが、各質問に回答したコメントの約半数は、ほとんどの政府提案を明確に受け入れており、同意を示す意見の多くには、改善に向けた提案なども示されている。主な項目として、地層処分については、さらなる研究が必要と見なされているものの、一般的に最適の方法であると受け止められているとしている。また、自発性及びパートナーシップによるアプローチ、サイト選定に向けた審査及び評価基準などについては、全般的に支持が得られているとしている。

全般的な支持の一方で、同報告書では、今回の公衆協議にスコットランド政府が参加しなかったことにより公衆協議の妥当性が低くなったとの意見や、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告が協議文書では誤解あるいは選択的に利用されているとの指摘があった他、高レベル放射性廃棄物と中レベル放射性廃棄物の併置処分に関する技術的な意見、処分に関する規制機関の人的資源の確保、地質学及び鉱山学的な技術力の不足への懸念などに関するコメントがあったことも述べられている。

今回のプレスリリースにおいては、英国政府は安全で確実な中間貯蔵の確保、及び中間貯蔵と地層処分の実施に向けて進められている研究開発プログラムについて英国政府が関与し、これらのプログラムの提供には原子力廃止措置機関(NDA)が主要な責任を果たすことになることが示されている。英国政府は、今回の公衆協議に寄せられたコメントについて、処分の実施手続きの「次の段階」の詳細を検討する上で考慮するとしており、今年公表される予定の白書において提示するとしている。

一方、事業・企業・規制改革省(BERR)も同日付けのプレスリリースで、英国での民間電力会社による原子力発電所の新規建設に関する英国政府の決定などを示した白書を公表した。同白書では、原子力発電所の新規建設を行う者は廃止措置及び放射性廃棄物の管理に要する全費用を負担することが示されており、BERRは、費用の適切な確保方策などを盛り込んだエネルギー法案をまとめ、議会に提出している。なお、英国政府は2008年2月から3月には、廃止措置及び廃棄物管理の費用負担に関するガイダンスについて協議文書を公表する予定としている。

【出典】

  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、2008年1月10日付けプレスリリース
    (http://www.defra.gov.uk/news/2008/080110a.htm)
  • Summary and Analysis of Responses to the Consultation on Managing Radioactive Waste Safely: A Framework for Implementing Geological Disposal, 25 June – 2 November 2007, A public consultation by Defra, BERR and the Welsh and Northern Ireland devolved administrations, January 2008.
    (http://www.defra.gov.uk/corporate/consult/radwaste-framework/summary-responses.pdf)
  • 事業・企業・規制改革省(BERR)、2008年1月10日付けプレスリリース
    (http://www.gnn.gov.uk/environment/fullDetail.asp?ReleaseID=343892&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=True)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )