Learn from foreign experiences in HLW management

《米国》2014会計年度の予算要求-高レベル放射性廃棄物処分関連に対して6,000万ドルを要求

2013年4月10日に、米国で2014会計年度1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。2012年1月26日に公表されたブルーリボン委員会の勧告に基づいて、高レベル放射性廃棄物管理の包括的な計画の枠組みをDOEが検討を行い、2013年1月11日に「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下「DOE戦略」という)を公表していた。今回公表された大統領の予算教書では、このDOE戦略を実施に移すための予算として6,000万ドル(55億8,000万円、1ドル=93円で換算)を要求している。なお、ユッカマウンテン処分場関連予算の要求はない。

大統領の予算教書とともに各省庁の予算概要が公表されており、このうち、DOEの予算概要では、DOE戦略を実施に移すものとして、以下のような活動を行うとしている。

  • DOE戦略の実施のための基盤となる輸送、貯蔵、処分、サイト選定に係る活動
  • 上記に関連する研究開発

また、今後、エネルギー省(DOE)のウェブサイトにおいて、DOEの予算要求資料が公表される見込みである。

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を担当している原子力規制委員会(NRC)については、大統領の予算教書・各省庁の予算概要に記載がない。また、NRCの予算要求資料では、2014会計年度の高レベル放射性廃棄物処分関連として、将来的な処分の代替戦略のための研究・フィールド調査などの予算が記載されているが、ユッカマウンテン処分場の審査に関する予算要求は記載がない。

【出典】

【2013年4月15日追記】

2013年4月11日に、米国のエネルギー省原子力局(DOE/NE)は、高レベル放射性廃棄物処分、使用済燃料の中間貯蔵などのDOE戦略の実施を含む2014会計年度の予算の説明資料を公表した。この中で、パイロット規模の中間貯蔵施設の建設・操業、大規模な中間貯蔵施設及び地層処分場の計画の実施に当たって、今後10年間で56億ドル(約5,200億円、1ドル=93円で換算)の予算が必要と評価している。

また、2014会計年度の予算による実施事項のうち、「研究開発」については、3,000万ドル(27億9,000万円、1ドル=93円で換算)の予算で以下の事項を行うとしている。

  • 使用済燃料の長期貯蔵を支援するための研究開発
  • 代替処分環境に関する研究開発(モデル化、評価、試験等)
  • 発熱性の廃棄物の処分に対する岩塩処分科学の促進のためのフィールド試験の実施
  • ボアホール研究:深部結晶質岩の水理地球化学、物理地質学、構造地質学、地球物理学的状態、工学的特性のさらなる理解のために必要な研究開発の実施
  • 既存の国際的知見を活用するための国際機関との関与の促進
  • 長期貯蔵燃料の輸送をサポートする研究開発:輸送中の実際の荷重を評価するためのフィールド試験

さらに、2014会計年度の予算による実施事項のうち、「高レベル放射性廃棄物管理及び処分システムの設計活動」については、3,000万ドル(27億9,000万円)の予算で以下の事項を行うとしている。

  • 同意に基づくサイト選定プロセスのための計画策定の継続
  • 廃止措置された原子炉サイトからの最初の使用済燃料の輸送の解析の完了
  • 一般的な貯蔵施設及び輸送支援システムの概念設計の継続
  • 種々の使用済燃料管理システムのシステム構成及び動作評価の実施
  • 貯蔵、輸送、将来の処分のため標準のコンテナの評価の継続
  • 輸送問題に関する州の地域グループとの協力した取組の継続
  • 廃止措置した原子炉から一般的な集中貯蔵施設への最初の輸送に対応するための国家輸送計画のアップデート

また、DOE戦略に係るその他の予算としてDOEは、環境保護庁(EPA)による「サイトを特定しない処分基準」の改定に係る費用が別途計上されているとしている。処分基準は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物処分のサイト選定に当たっての指針的な役割を担うものとしている。

【出典】

【2014年1月20日追記】

米国の連邦議会は、2014年1月16日に、2014年包括歳出法案を可決した。「使用済燃料処分等プログラム」(UFD)を含む燃料サイクル研究開発プログラムの歳出予算については、本法案の条文には記載されていないが、付随する説明文書においてエネルギー省(DOE)の予算要求額を上回る1億8,650万ドル(約182億8,000万円)と示されている。

また、2014年包括歳出法案では、ユッカマウンテン処分場に関する記述はなく、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場に係る開発関連予算は計上されていない。ただし、連邦議会下院の歳出委員会が公表した歳出予算要約資料では、政策事項の一つとして、「ユッカマウンテンの将来利用のための可能性を維持し、安全性評価報告(SER)の第3分冊を完成させるための先年予算の継続」が示されている。SERの第3分冊は「閉鎖後の処分場の安全性」である。

なお、2014年度の歳出予算については、会計年度が開始された2013年10月1日までに歳出法案が制定されず、2013年10月17日から継続予算が執行されていた。

【出典】

  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2014会計年度の予算は2013年10月からの1年間に対するものである。 []

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )