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《カナダ》核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が2012年の年報と2013~2017年の実施計画書を公表

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、2012年度の年報、並びに「適応性のある段階的管理」(詳細はこちら)の実施に関して、2013年から5カ年の実施計画書を公表した。

2012年度の年報では、2012年12月31日時点における処分場のサイト選定の進捗状況について、21の地域がサイト選定プロセスに参加しており、うち17の地域が第3段階となる潜在的な適合性の予備的評価に進んでいることが示されている。第3段階では、当該地域に地域連絡委員会が組織されることになっており、8つの地域でこの委員会が設置されている。地域連絡委員会は、地元のボランティアがメンバーとなり、住民への情報提供や地域の要望の反映などにおいて、重要な役割を果たすと期待されている。なお、カナダにおける使用済燃料処分場のサイト選定に対して関心表明を行った地域及びその状況をページ末に表形式でまとめた。

NWMOの2013年から5カ年の実施計画書では、第3段階の潜在的な適合性の予備的評価は、2つのフェーズに分けて段階的に進めるとしている。第1フェーズは机上での調査が中心であり、第2フェーズは限定的なフィールド調査が実施される。NWMOは、いずれのフェーズにおいても、地元自治体議会の書面による意思表明がなされてから調査活動を実施するとしている。これら2つのフェーズを通じて、使用済燃料の地層処分プロジェクトについて以下の4つの観点の評価が行われる。

① 処分が安全に実施できる場所を見つけられる可能性があるか

② プロジェクトが実施されることにより、地元地域の福祉が向上する可能性があるか、その可能性を確かにするために何が必要か(例えば、インフラ、資源、構想など)

③ サイト選定プロセスの以降の段階においてプロジェクトの進む道を切り開いていくことに対し、地域の住民が関心を維持し続ける可能性があるか

④ 周辺地域の福祉が向上する可能性があるか、周辺地域を含めてプロジェクトとともに歩むための基盤が確立される見通しがあるか

2013年から5カ年の実施計画書においてNWMOは、第3段階におけるサイト選定プロセスの今後の進捗について次のような見通しを示している。

  • 第3段階の第1フェーズの作業終了後、処分場プロジェクトへの潜在的な適合性が比較的低いと判断される地域は、サイト選定プロセスから除外する可能性がある。
  • 第3段階の第2フェーズでは、NWMOの作業に対する第三者レビューを実施する。レビューグループのメンバーは、NWMO及び地元の責任当局が選出する。
  • 第3段階の第2フェーズの作業終了後、第4段階へ進む可能性がある地域として1つまたは2つの地域を選抜する可能性がある。

【出典】

  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO): 2012年度年報
    Moving Forward Together, Annual Report 2012. NWMO
    http://www.nwmo.ca/annualreportからダウンロードできます〕
  • 核燃料廃棄物管理機関(NWMO): 2013~2017年実施計画書
    Implementing Adaptive Phased Management 2013 to 2017. March 2013. NWMO
    http://www.nwmo.ca/implementationplanからダウンロードできます〕

 

【2013年4月10日追記】

核燃料廃棄物管理機関(NWMO)はこのほど、セントラルヒューロン自治体について、サイト選定手続きに関する今後の検討から除外するような明らかな条件は見つからなかったとする初期スクリーニング結果とともに、2013年2月15日付の書簡・初期スクリーニング概要報告書と全体報告書を公表した。これにより、サイト選定プロセスに参加している21の地域の全ての初期スクリーニング報告書が出揃ったことになる。

 


サイト選定プロセスに参加している自治体(計 21)(2013年4月10日時点)

〈参考〉カナダにおける処分地の選定手続き・経緯 について、詳しくはこちら もご覧下さい。


【出典】

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )