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《米国》連邦議会下院が歳出予算法案を可決-エネルギー省(DOE)要求額を満額承認

米国の連邦議会下院は、2007年7月17日の本会議において、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の2008年度予算の歳出法案を312対112で可決した。歳出法案に盛り込まれた高レベル放射性廃棄物処分場関連予算の金額は4億9,450万ドルで、連邦エネルギー省(DOE)の要求額通りとなっている。また、エネルギー関係等の歳出法案は上院でも既に提出されており、上院法案では高レベル放射性廃棄物処分関係はDOE要求よりも約5,000万ドル少ない金額となっている。なお、上院歳出法案は本会議で審議中である。(米国の予算制度については、こちらを参照)

下表は、この下院の歳出法案におけるユッカマウンテン関連の歳出予算案について、前年度決定額と2008年度要求額(詳細はこちら)との対比を示したものである。

  民間分 国防分 合計
2007年度歳出予算額(a)   9,921万 3億4,650万 4億4,571万
2008年度DOE要求額(b) 2億0,245万 2億9,205万 4億9,450万
2008年度下院歳出法案(c) 2億0,245万 2億9,205万 4億9,450万
 下院法案前年度比(c-a) + 1億324万 △  5,445万 + 4,879万
 下院法案要求比(c-b) ±     0 ±     0 ±     0
(単位:USドル)

今回本会議で可決された下院の歳出法案に関して、歳出委員会報告書では、放射性廃棄物政策法(NWPA)で規定された連邦政府による使用済燃料引取義務が未履行となっていることで毎年約5億ドルの債務が増え続けていることを指摘している。運転中の原子力発電所の使用済燃料を他の中間貯蔵施設に引き取ることは、輸送費の二重負担などで合理的ではないとしつつ、廃止された原子炉サイトで貯蔵中の使用済燃料については、DOEが引取計画を策定するよう指示している。中間貯蔵サイトとしては、DOEの既存サイト、運転中の原子力発電所、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)プログラムで検討中の11カ所のサイトを含む競争的に選択されたサイトを検討対象として挙げている。

また、下院本会議で提出された修正動議により、歳出法案で認められた予算は、児童・生徒向けのウェブサイト運営のために使用してはならないことが規定された。DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)のウェブサイトでは、漫画キャラクターを使用してユッカマウンテン関連の説明を行うコーナーがあり、これはユッカマウンテン処分場が良い計画であると説得するような効果を持つものであるため、税の使途としては不適切とするものである。

上院の歳出法案については、DOE要求額から5,000万ドルが削減される一方、ネバダ州に隣接するカリフォルニア州インヨー郡との協力協定に係る予算として160万ドルが追加されている。上院歳出委員会の報告書では、これらの増減に関する情報は示されていない。上院の歳出法案は、2007年7月9日に上院歳出委員会から本会議に提出されたが、2007年7月18日現在では本会議での実質的な審議は行われていない。

なお、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)の予算額については、下院歳出法案では1億2,000万ドル、上院歳出法案では約2億4,000万ドルと、DOE要求額の約4億ドルをいずれも大きく下回る予算額となっている。

【出典】

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )