フランスの環境・持続可能開発・エネルギー省は7月25日付プレスリリースで、国家委員会(※)が放射性廃棄物管理費用等に係る資金確保の適切性などに関する評価報告書を国会(議会)等に提出したことを公表した。
※法律で示される国家委員会の名称は「原子力基本施設の廃止措置費用ならびに使用済燃料及び放射性廃棄物管理費用に係る資金確保の評価に関する国家委員会」であり、以下「資金評価国家委員会(CNEF)」と称す。
2006年に制定された放射性廃棄物等管理計画法の第20条1 は、原子力基本施設の操業者(事業者)に、施設の廃止措置ならびに使用済燃料及び放射性廃棄物管理に係る費用の評価とその資金の確保(引当金の準備と引当金を保証する排他的な資産としての割当)を要求している。さらに、このような事業者による費用評価に対する資金確保及び管理状況の適切性等を評価する組織として、資金評価国家委員会(CNEF)の設置を規定している。同法の規定により、CNEFは評価結果を取りまとめた報告書を3年ごとに作成し、国会及び原子力安全情報と透明性に関する高等委員会(HCTISN)に提出しなければならない。
資金評価国家委員会(CNEF)が今回取りまとめた報告書はCNEF設置後の第1回目のものであり、2011年9月から2012年6月にかけて開催された10回の会合をとおして行われた評価の結果が取りまとめられている。別途、会計検査院が放射性廃棄物の長期管理を含む原子力発電事業の費用に関して2012年1月に取りまとめた報告書でも提言されたように、CNEFは今回の報告書において、資金確保の評価における特に次のような不確実性に関する詳細な検討の必要性を指摘している。
- 将来の地層処分場の費用
- 資金確保の評価のために採用した割引率(上記将来費用の現在価値への換算)
なお、資金評価国家委員会(CNEF)は、その任務の遂行に際して会計検査院に支援を要請できることが放射性廃棄物等管理計画法で規定されている。今回のCNEFの取組は放射性廃棄物等管理計画法の枠組みの下で行われたものであるが、上記の会計検査院による2012年1月の報告書の取りまとめは、フランスのエネルギー政策の検討の一環として首相要請により実施されたものであり、両者の取組の背景は異なるものとなっている。
【出典】
- 環境・持続可能開発・エネルギー省の2012年7月25日のプレスリリース
http://www.developpement-durable.gouv.fr/Financement-des-charges-nucleaires.html
- 議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の2012年7月24日のプレスリリース>
http://www.assemblee-nationale.fr/opecst/CP-20120724-CNEF.PDF
- 同条の一部は環境法典に再編されている。事業者による資金確保については環境法典L594-1~10条に、CNEFについてはL594-11~13条に規定されている。 [↩]
(post by emori.minoru , last modified: 2023-10-11 )