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《米国》ユッカマウンテンの設計変更に伴う補足環境影響評価の実施等を告示 -実施中の鉄道敷設の環境影響評価も代替ルートを含めて拡張

2006年10月13日、米国の連邦エネルギー省(DOE)は、ユッカマウンテンにおける処分場開発に関する補足環境影響評価を実施する旨の通知を連邦官報に掲載した。ユッカマウンテンでの処分場開発については、2002年2月のサイト推薦時に最終環境影響評価書(FEIS)が発行されたが、今回の補足環境影響評価書(SEIS)は、その後の設計変更等の影響を評価するものとされている。また、ユッカマウンテンへの鉄道敷設に関して実施中の環境影響評価の範囲を拡張するための修正通知も、併せて官報掲載された。

処分場開発に関する補足環境影響評価書(SEIS)についての通知では、2002年のサイト推薦時の最終環境影響評価書(FEIS)発行後もDOEは処分場概念の開発を継続しており、現在の計画では主にキャニスタに封入されたものを取り扱うことを前提としたアプローチによって処分場の操業が可能となる設計が考えられていることが示されている。本SEISは、現在の処分場設計及び操業計画による環境影響を評価するためDOEが実施を決定したもので、国家環境政策法(NEPA)及び放射性廃棄物政策法(NWPA)の規定に従うものである。

処分場開発に関する補足環境影響評価書(SEIS)の官報掲載の通知における評価対象事業の説明では、輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタ採用による処分概念の概要が示されている。それによれば、DOE施設から搬送される国防関連の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物は、DOE施設内で処分用キャニスタに封入後、ユッカマウンテンに輸送される。民間の使用済燃料は、約90%については輸送前段階で発電所サイトでTADキャニスタに封入され、残りの約10%は輸送・貯蔵兼用キャニスタで輸送後に、ユッカマウンテンでTADキャニスタに封入される。また、何れの場合でも、処分場での定置前に耐腐食性能に優れたオーバーパックにさらに封入されるとしている。さらに、廃棄物の受け入れや取り扱いのための処分場の地上施設についても、湿式取扱施設、廃棄物受入施設、及び初期取扱施設の概要などが示されている。

同官報告示では、処分場の操業についても触れられており、廃棄物から発生する熱により周囲の岩盤の温度が水の沸点を超える「高温操業モード」が考えられていること、廃棄物の定置作業は最長で約50年続き、50年間の閉鎖前監視期間を経て、定置開始から約100年後に処分場が閉鎖されることなどが示されている。

また、鉄道敷設等に関する環境影響評価の範囲を拡張する環境影響評価実施の修正通知では、2004年4月に鉄道ルートとして決定されたカリエンテ・ルートの他に、ミナ・ルートについても検討を行う方針が示されている。ミナ・ルートは、地元部族の反対により検討が断念されていたが、環境影響評価実施に対する部族からの承諾が得られたことから、DOEが検討を再開したとしている。2002年の最終環境影響評価書(FEIS)では評価されていなかったため、鉄道敷設の環境影響評価の拡張もFEISへの補足環境影響評価の位置付けとなる。

官報告示によれば、両環境影響評価とも、2006年11月27日まで評価実施範囲(スコーピング)に関するコメント募集が行われる。処分場開発に関する補足環境影響評価書(SEIS)については、2007年中の草案公表が予定されている。

※環境影響評価制度の詳細については、こちら

【参考】
連邦エネルギー省(DOE)民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)ウェブサイトの専用ページ
処分場開発の補足環境影響評価   :www.ocrwm.doe.gov/ym_repository/seis.shtml
鉄道ルート・敷設の補足環境影響評価:www.ocrwm.doe.gov/transport/src-ra-eis.shtml


【出典】

【2006年11月1日追記】

2006年10月31日、DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)はプレスリリースを公表し、コメント募集期間を45日から60日として2006年12月12日まで延長するとともに、公聴会の開催場所を追加することを発表した。

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )