「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年5月13日に、全体会合を開催し、処分小委員会、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会、輸送・貯蔵小委員会からの各々の勧告案の検討を行った。
処分小委員会は、「技術的、社会的、経済的及び政治的に受け入れられる方法及び時間枠の中で、高レベル放射性廃棄物の恒久的な処分のための1つまたは複数の施設を設置することについて、如何に取り組むことができるか」との設問に対して、以下のような7項目からなる勧告案を提示した。
勧告1 |
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勧告2 |
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勧告4 |
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勧告5 |
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勧告6 |
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勧告7 |
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また、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会は、以下のような勧告案を提示した。
- 米国政府は、先進炉や核燃料サイクル技術に対する長期的に安定した研究、開発及び実証のための支援を行うべきである。
- 連邦レベルでのエネルギー政策やプログラムをよりよく調整する必要がある。
- 連邦の原子力研究、開発及び実証のための資源の一部は、NRCによる先進原子力システムの新しい要素に対する規制枠組みの開発の促進及び予測される研究の支援に向けられるべきである。
- 米国は、世界的な核不拡散の懸念に対応するための国際的な取り組みにおいて、リーダーとしての役割を継続すべきである。
さらに、輸送・貯蔵小委員会は、以下のような勧告案を提示した。
- 米国は、速やかに、一つまたは複数の集中中間貯蔵施設を設置すべきである。
- 既存サイトでの貯蔵方法に関連し、管理不能となるような、安全、またはセキュリティ面でのリスクは存在しない。
- 現在、廃止措置された原子力発電サイトで貯蔵されている使用済燃料は、利用可能となり次第、最優先で集中貯蔵施設に移すべきである。
- 米国の放射性廃棄物プログラムを活性化するため、新たな統合された国家レベルのアプローチが必要である。
- 処分施設のサイト選定及び開発の原則は、中間貯蔵施設、及び輸送の必要性に関する計画策定に対しても適用すべきである。
なお、ブルーリボン委員会は、設置から1年半以内(2011年7月末まで)にエネルギー長官に対してドラフト報告書の提出を行い、2年以内(2012年1月末まで)に最終報告書を提出することとされている 。
【出典】
- ブルーリボン委員会処分小委員会「勧告案」(2011年5月13日)
- ブルーリボン委員会原子炉・核燃料サイクル技術小委員会「勧告案」(2011年5月13日)
- ブルーリボン委員会輸送・貯蔵小委員会「勧告案」(2011年5月13日)
【2011年6月21日追記】
ブルーリボン委員会では、2011年5月13日の全体会合において、3つの小委員会からの勧告案が示されていたが、今般、これらの勧告案を含めた各々の小委員会のドラフト報告書が公表された。今後、2011年7月29日には、ブルーリボン委員会全体としてのドラフト報告書を出す予定となっている。
ブルーリボン委員会全体のドラフト報告書の取りまとめに当たって、各小委員会のドラフト報告書をパブリックコメントに付すこととしており、パブリックコメントの期限は、処分小委員会及び輸送・貯蔵小委員会のドラフト報告書については2011年7月1日まで、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会のドラフト報告書については2011年7月15日までとされている。
【出典】
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-12 )