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《米国》ブルーリボン委員会の3つの小委員会がそれぞれの勧告案を公表

「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年5月13日に、全体会合を開催し、処分小委員会、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会、輸送・貯蔵小委員会からの各々の勧告案の検討を行った。

処分小委員会は、「技術的、社会的、経済的及び政治的に受け入れられる方法及び時間枠の中で、高レベル放射性廃棄物の恒久的な処分のための1つまたは複数の施設を設置することについて、如何に取り組むことができるか」との設問に対して、以下のような7項目からなる勧告案を提示した。

勧告1
  • 米国は、速やかに、高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための1つまたは複数の恒久的な地層処分施設の開発を進めるべきである。
    • 恒久的な処分は、すべての合理的に予見できるシナリオの下で必要とされる。
  • 掘削された処分場での地層処分が、高レベル放射性廃棄物を長期間安全に隔離するために利用可能であり、最も有望で技術的に受入可能なオプションである。
勧告2
  • 放射性廃棄物の輸送、貯蔵及び処分のための焦点が絞られ、統合された計画の開発及び実施のため、新しい、単一の目的の組織が必要である。
  • この新しい組織は以下を有するべきである。
    • 焦点を絞り、適切に定義された使命
    • 任務を果たすための財政及び制度化された手段
    • 長期間にわたり制度的及び計画的な安定性を提供するため、十分に独立した権限(財政上、技術上、規制上の適切な監督を受ける)
  • 連邦議会は、新しい廃棄物管理組織の説明責任の確保に対して中心的な役割を担う。
勧告3
  • 放射性廃棄物基金の積立金及び料金支払者や電気事業者からの毎年の基金への拠出金による収入へのアクセスを保証することは、新しい放射性廃棄物管理組織にとって不可欠であり、提供されなければならない。
勧告4
  • 将来において放射性廃棄物管理及び処分施設を立地し、開発するためには、新しいアプローチが必要である。すべての当該施設のためのサイト選定プロセスは、以下のような場合、成功する可能性が高いと確信する。
    • 同意に基づく
    • 透明性が高い
    • 段階的な
    • 適応性のある
    • 基準及び科学に基づく
勧告5
  • 原子力規制委員会(NRC)と環境保護庁(EPA)との規制責任に係る現在の分担は、適切であり維持すべきである。
  • 加えて、これら2つの組織により、サイトに依存しない新しい安全基準が、すべての関連する団体を関与させてインプットを求め、公式に調整された共同プロセスの中で開発されることを要請する。
勧告6
  • 放射性廃棄物処分施設の立地及びその他の側面において、地方、州及び先住民族政府の役割、責任、権限は、連邦政府と処分施設の設置により影響を受ける自治体との間の交渉での一つの要素となる。
  • 地方、州、先住民族等の影響を受けるすべての階層の政府は、最低限、重要な意思決定において意味のある協議上の役割を持つべきである;加えて、州及び先住民族は、連邦より下の階層での監督が効果的に、かつ影響を受ける自治体及び市民の利益を守り、信頼を獲得する上で助けとなるように実施できる場合は、規制、許認可、操業の面にわたる直接的な権限を保持(または適切な場合、委任)すべきである。
勧告7
  • 放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、独立した技術的な助言及びレビューの貴重な組織として維持されるべきである。
  • 構成員は、慎重に考慮された、関連のある様々な専門性を有す科学者及びエンジニアを代表すべきである。

また、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会は、以下のような勧告案を提示した。

  • 米国政府は、先進炉や核燃料サイクル技術に対する長期的に安定した研究、開発及び実証のための支援を行うべきである。
  • 連邦レベルでのエネルギー政策やプログラムをよりよく調整する必要がある。
  • 連邦の原子力研究、開発及び実証のための資源の一部は、NRCによる先進原子力システムの新しい要素に対する規制枠組みの開発の促進及び予測される研究の支援に向けられるべきである。
  • 米国は、世界的な核不拡散の懸念に対応するための国際的な取り組みにおいて、リーダーとしての役割を継続すべきである。

さらに、輸送・貯蔵小委員会は、以下のような勧告案を提示した。

  • 米国は、速やかに、一つまたは複数の集中中間貯蔵施設を設置すべきである。
  • 既存サイトでの貯蔵方法に関連し、管理不能となるような、安全、またはセキュリティ面でのリスクは存在しない。
  • 現在、廃止措置された原子力発電サイトで貯蔵されている使用済燃料は、利用可能となり次第、最優先で集中貯蔵施設に移すべきである。
  • 米国の放射性廃棄物プログラムを活性化するため、新たな統合された国家レベルのアプローチが必要である。
  • 処分施設のサイト選定及び開発の原則は、中間貯蔵施設、及び輸送の必要性に関する計画策定に対しても適用すべきである。

なお、ブルーリボン委員会は、設置から1年半以内(2011年7月末まで)にエネルギー長官に対してドラフト報告書の提出を行い、2年以内(2012年1月末まで)に最終報告書を提出することとされている

【出典】

【2011年6月21日追記】

ブルーリボン委員会では、2011年5月13日の全体会合において、3つの小委員会からの勧告案が示されていたが、今般、これらの勧告案を含めた各々の小委員会のドラフト報告書が公表された。今後、2011年7月29日には、ブルーリボン委員会全体としてのドラフト報告書を出す予定となっている。
ブルーリボン委員会全体のドラフト報告書の取りまとめに当たって、各小委員会のドラフト報告書をパブリックコメントに付すこととしており、パブリックコメントの期限は、処分小委員会及び輸送・貯蔵小委員会のドラフト報告書については2011年7月1日まで、原子炉・核燃料サイクル技術小委員会のドラフト報告書については2011年7月15日までとされている。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-12 )