米国のエネルギー省(DOE)は、2010年1月29日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理のための安全で長期的な解決策を検討し勧告するためのブルーリボン委員会の設置を公表した。同委員会は2名の共同委員長を含む15名の委員で構成され、1年半以内(2011年7月末迄)にドラフト報告書の提出を行い、パブリックコメントを経た2年以内(2012年1月末迄)にエネルギー長官に対して最終報告書を提出することとなっている。
同委員会に関しては、オバマ政権のユッカマウンテン計画中止の方針 を受けて、2009年5月にエネルギー長官が使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理の代替案を検討する委員会を設置する方針を示していた 。また、2009年10月に成立した2010会計年度歳出予算では、エネルギー長官に対して同委員会の設置のために予算500万ドルが割り当てられていた 。
今回のプレスリリースによると、同委員会は、ハミルトン元下院議員及びスコウクロフト元国家安全保障担当大統領補佐官の2名が共同委員長を務めることとなっている。また、同委員会の委員は、科学者、産業界の代表、元議員など、原子力問題に関して幅広い専門性や経験を有するメンバーで構成されており、2名の共同委員長以外の委員は以下の13名である。
- マーク・エアーズ:アメリカ労働総同盟・産業別組合会議、建設・建築業界部門代表
- ヴィッキー・ベイリー:元連邦エネルギー規制委員会委員
- アルバート・カーネセル:カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、名誉学長
- ピート・V・ドメニチ:元上院議員
- スーザン・アイゼンハワー:アイゼンハワー・グループ社、社長
- チャック・ヘーゲル:元上院議員
- ジョナサン・ラッシュ:世界資源研究所、所長
- アリソン・マクファーレン:ジョージメイソン大学、準教授(環境科学・政策)
- リチャード・A・メザーブ:カーネギー研究所、所長
- アーニー・モニツ:マサチューセッツ工科大学、教授(物理学)
- パー・ピーターソン:カリフォルニア大学バークレー校、教授(原子力工学)
- ジョン・ロー:エクセロン社会長・最高経営責任者
- フィル・シャープ:未来資源研究所、所長
オバマ大統領がエネルギー長官に対してブルーリボン委員会の設置を指示した2010年1月29日付の大統領の覚書によると、同委員会は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の貯蔵、処理及び処分に関する全ての代替案、先進的核燃料サイクル技術を含む核燃料サイクルにおけるバックエンド政策の包括的な評価を実施するとされている。また、同委員会は幅広く技術的及び政策的な代替案を検討し、それぞれの代替案に関する科学、環境、予算、経済、財政及び管理に関する問題を分析すべきであるとされている。なお、ユッカマウンテン処分場が同委員会での代替案の検討対象に含まれるかどうかについて、DOEのプレスリリース及び大統領の覚書では明確に示されていないが、エネルギー長官が同委員会の検討対象からユッカマウンテン処分場が除外されていると発言したことが、ラスベガス・レビュージャーナル紙で報道されている。
【出典】
- エネルギー省(DOE)プレスリリース(2010年1月29日)
- ブルーリボン委員会に関するエネルギー長官への大統領覚書、2010年1月29日
- ラスベガス・レビュージャーナル紙2010年1月30日付記事、http://www.lvrj.com/news/federal-panel-to-examine-nuclear-waste-storage-83143397.html
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )