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《フランス》原子力の安全防護組織の再編- 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)及び原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)の発足

2002年2月22日に放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の設置に関するデクレ(n°2002-254)、及び原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)の設置に関するデクレ(n°2002-255)が制定され、IRSN、DGSNRが発足した。

今回のIRSNの設立は、これまでの原子力の安全性と放射線防護分野における組織改革についての政府の要望が反映されたものであり、1998年7月に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の報告書「独立と情報開示への長い道のり」において「原子力の安全性と放射線防護は一緒に扱われるべきであり、原子力安全防護研究所(IPSN)が産業省傘下の原子力庁(CEA)から分離されるべきである」との勧告に基づいたものと言える。

IRSNは、電離放射線防護局(OPRI)とIPSNの研究、評価活動の分野を合併させた商工業的性格を有する公的機関(EPIC)として、2001年5月9日の法律によりその設置が定められていた。IRSNは、環境、産業、研究、厚生、国防担当の各大臣の監督のもとに置かれ、放射性廃棄物の管理を含む原子力の安全性、放射性物質、核分裂性物質の輸送における安全性、武器の製造に使用される可能性のある核物質、核生成物に対する防護およびその管理、国民および環境の電離放射線からの防護、原子力施設及び輸送における身体の防護等の分野について、知識の蓄積を目的とした研究活動を行うほか、国内外の公共および民間のすべての機関の求めに応じて、技術的なアドバイスや勧告といった専門的な評価を実施する。また、その活動の質と透明性を保証するために、科学評議会と職業倫理委員会が設置される。研究所の2002年の予算は約2億5,000万ユーロで、このうち約3分の1は、管理組織の維持に当てられる。IRSNの従業員数は1,500人を超える規模となる。

一方、DGSNRは、これまで、原子力発電所や放射性廃棄物管理施設などの原子力基本施設(INB)の許認可当局であった原子力施設安全局(DSIN)に放射線防護に関する権限を与えることで、放射線防護の分野での当局の権限を強化し、より包括的な規制、監督が行い得る組織として、環境、産業、厚生担当各大臣の監督の下に設立された。DGSNRの役割は、原子力安全の監督、原子力エネルギー利用に関するリスクから労働者、公衆、環境の保護を目的とした放射線防護の保証、国民への情報公開への寄与などが挙げられる。DGSNRは、必要に応じてIRSNの専門家の技術サポートを求めることが出来る。IRSN、DGSNRの設立は、原子力発電の手順に介入する決定機関の役割を明確にし、現在の権限を強化することを目的としている。新しい体制によって、IRSNに委ねられる評価機能、DGSNRに属する管理機能、原子力発電所の運転機能はそれぞれ分離されることとなる。

【出典】

  • フランス首相のホームページ
    (http://www.premier-ministre.gouv.fr/fr/p.cfm?ref=31948)
  • 放射線防護・原子力安全研究所(IRSN) プレスリリース
    (http://www.irsn.org/va/01A/1_020213.htm)
  • 原子力安全局(ASN)のホームページ
    (http://www.asn.gouv.fr/data/information/06cdpDGSNR.asp)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )