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カナダ原子力安全委員会(CNSC)がチョークリバー研究所における浅地中処分施設(NSDF)の建設を許可

図1_NSDFイメージ

図1 NSDFイメージ
出典:NSDF安全評価報告書(CNL, 2021/01/08)

オンタリオ州にあるチョークリバー研究所では、1940年代から原子力開発・研究が開始されており、同研究所に設置されたプロトタイプの原子炉や研究炉で使用された核燃料が貯蔵されているほか、燃料製造施設、核燃料取扱施設、放射性同位元素の製造施設等から発生した放射性廃棄物が管理されている。同研究所内には100を超える原子力施設の建屋があり、廃止措置や汚染された土壌の環境修復が進められており、それらの作業で発生する大量の廃棄物が保管されている。

カナダ原子力研究所(CNL)1 は、チョークリバー研究所敷地内に新たに低レベル放射性廃棄物の浅地中処分施設(NSDF)を建設するために、2017年にチョークリバー研究所の運営許認可(operating licence)の変更申請をカナダ原子力安全委員会(CNSC)に行っていた。これを受けてCNSCは、2012年カナダ環境評価法の規定に基づき審査を進め、2024年1月8日に、NSDFの建設に係る運営許認可の変更を承認する決定を行った。2 この決定により、CNLによるNSDFプロジェクトの実施が承認されるとともに、新規の原子力施設となるNSDFの建設が許可されたことになる。

CNSCは、CNLが提案した環境等への影響の緩和策やフォローアップのモニタリング措置を全て実施した場合、NSDFプロジェクトは環境に対して重大な影響を及ぼさないと考えられると判断した。また、CNSCは、NSDFのサイト選定と設計はIAEA安全基準に合致したものであるという認識を示している。なお、CNLはNSDFでの処分開始に先立ち、施設の操業等について別途許可を取得する必要がある。

■浅地中処分施設(NSDF)の概要

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図2 NFDF断面図
出典:公聴会資料CMD 22-H7.C(CNSC, 2022/05/30)

チョークリバー研究所の敷地は、カナダの首都オタワから北西約185kmに位置しており、面積は約4,000ヘクタールである。NSDFは、研究所敷地の東側を流れるオタワ川から約1.1km離れた丘陵地に建設される。NSDFは、低レベル放射性廃棄物を収容する工学的閉じ込めマウンド(ECM)のほか、ECMを通過した雨水等の廃水処理設備(WWTP)、その他の附属施設で構成される施設であり、総面積は約37ヘクタール(サッカー競技場10個分に相当)、処分容量は100万m3である。

CNLは、NSDFサイトの準備と施設建設に約3年を要すると見込んでいる。処分施設の中核部分であるECMの下部には、不透水性の高密度ポリエチレン製のジオメンブレンを用いたライナーシステムが敷設される。CNLは、ジオメンブレンの設計寿命を550年と評価しており、処分された廃棄物の放射能による人間や環境に対するリスクが生じないレベルに減衰するように設計している。

NSDFでの廃棄物定置作業は約50年間にわたって継続する予定であり、第1期では約52.5万m3の処分に対応する6つのセルを建設・操業する。第2期では残りの約47.5万m3の処分に対応する4つのセルを建設する計画である。

処分終了後に続く約30年の閉鎖段階においてECM全体を覆土し、雨水処理設備を利用したモニタリングを継続する。CNLは施設閉鎖後の監視を2400年まで継続する計画である。

■浅地中処分施設(NFDF)の処分対象廃棄物

NSDFで処分される低レベル放射性廃棄物の約87%はバルク廃棄物と呼ばれており、チョークリバー研究所の環境修復や施設廃止措置で生じる廃棄物である。残りの約13%はパッケージ廃棄物と呼ばれており、容器としてISOコンテナ、鋼製ボックス、ドラム缶が使用されるが、一部の廃棄物についてはオーバーパック等の方法によって閉じ込め機能を強化する対策が行われる予定である。NSDFではチョークリバー研究所のサイト外にある原子力施設や国内の病院や大学などで発生した廃棄物を受け入れる予定であり、これらの量は処分容量100万m3の約10%になると推定されている。

CNLは、当初2017年3月に公表したドラフト環境影響評価書(EIS)において、NSDFの処分対象廃棄物に体積で約1%の中レベル放射性廃棄物を含めることとしていた。しかし、パブリックコメントにおいて、中レベル放射性廃棄物の処分に懸念を示す意見が提出された。カナダ環境気候変動省(ECCC)は、中レベル放射性廃棄物の処分方法として浅地中処分が最も適していることの正当化が必要であると指摘した。このような意見を受けてCNLは、2017年10月にNSDFプロジェクトで処分する廃棄物から中レベル放射性廃棄物を除外する方針に転換した経緯がある

なお、カナダでは、2023年に新たな『放射性廃棄物管理及び廃止措置に関するカナダの政策』が決定され、その実現に向けた「放射性廃棄物に関する包括的戦略」が2023年10月に策定されている。低レベル放射性廃棄物については「当該廃棄物の事業者が実施主体となって、複数の浅地中処分施設で処分」するアプローチであり、中レベル放射性廃棄物については、核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が地層処分場で処分する方針となっている。

【出典】

  1. カナダ原子力研究所(CNL)は、カナダ原子力公社(AECL)のCANDU炉開発部門が2011年に売却された後に残された原子力研究等の業務を継承した民間企業であり、AECLとの長期契約に基づき、AECLが所有する放射性廃棄物の管理を実施している。 []
  2. 2012年カナダ環境評価法は、2019年に発効した影響評価法により廃止されているが、CNLが事業許可変更申請を提出した時点では2012年カナダ環境評価法が効力を有していたため、CNSCは同法の規定に従ってNSDFの建設に係る審査を行っている。 []

(post by nunome.reiko , last modified: 2024-01-23 )