米国のブッシュ大統領は2月15日、ネバダ州のユッカマウンテンサイトを高レベル放射性廃棄物の処分場建設申請のために適したものとして推薦する通知を連邦議会に対して行った。この大統領の決定は、前日の2月14日にエネルギー省(DOE)のエイブラハム長官から大統領に対してなされた同サイトの推薦を受けたものであり、放射性廃棄物政策法(NWPA)第114条(a)の規定に基づいたものである。同法では、この推薦から30日以上前にエネルギー長官から地元ネバダ州への通知を行うことが義務付けられているが、このネバダ州知事・議会への通知は1月10日に行われていた。
エネルギー長官から大統領への推薦に当っては、以下の3つのポイントが述べられている。
- ユッカマウンテンが科学的・技術的に処分場開発サイトとして適しているという決定は確かな科学(sound science)に基づいている。
- 国家安全保障・核不拡散・エネルギー安全保障・国土安全保障・環境保護等の理由による処分場開発への国益上の要請が高まっている。
- ユッカマウンテンに対し寄せられている懸念等は、推進を妨げるほど重大なものではなく、適切に対処することが可能である。
また、大統領から議会へ宛てられた書簡の中では、処分場計画の推進は現在全米に散在している高レベル放射性廃棄物を隔離することにより公衆の安全と健康、国家安全を防護するものであること、環境対策等からも主要なエネルギー源であるべき原子力を含めたエネルギー安全保障のためにも重要であること等が述べられている。
放射性廃棄物法(NWPA)によれば、このサイト推薦を行うに当っては最終環境影響評価書(FEIS)を含む資料の公開が義務付けられており、またその検討過程において義務付けられている公衆の参加についても、100回以上の公聴会が開催されている。これらの法で義務付けられた資料および公聴会等における意見等はエネルギー省(DOE)のホームページで公開されている。
放射性廃棄物法(NWPA)に定められた今後の手続きでは、地元のネバダ州には推薦の日から60日の期間内において不承認を表明する機会が与えられている。ネバダ州が不承認を表明した場合には、それから90日以内に連邦議会が上下院の合同決議を行った場合にはサイトの指定を行うことができるとの定めがなされている。
【出典】
- エネルギー省(DOE)ユッカマウンテン・ホームページ(www.ymp.gov/)
- ホワイトハウスのプレスリリース(www.whitehouse.gov/news/releases/2002/02/20020215-11.html)
- 大統領の書簡(www.whitehouse.gov/news/releases/2002/02/20020215-10.html)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )