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§ 2021年12月7日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

米国でエネルギー省(DOE)が使用済燃料の中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定計画を再始動

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米国のエネルギー省(DOE)は、2021年11月30日付けのニュース記事において、連邦政府による使用済燃料の中間貯蔵サイトの選定のための「同意に基づくサイト選定計画(Consent-Based Siting Program)」を再始動するとし、最初の手続きとして情報要求(RFI、Request For Information)を発行したことを公表した。また、DOEの「同意に基づくサイト選定」のページでは、RFIにおいて、2017年1月の「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の集中貯蔵・処分施設のための同意に基づくサイト選定プロセス案」(以下「サイト選定プロセス案」という。)に対するコメントを求めるほか、「意味のある参加への障害の排除」、「廃棄物管理システムの一部としての中間貯蔵」の分野に対する意見等を求めることが示されている。

DOEのRFIは、2022年3月4日までの期限で、連邦政府による中間貯蔵施設(以下「連邦中間貯蔵施設」という。)について意見を求めるものであり、2021年12月1日付けの連邦官報で告示された(以下「RFI告示」という。)。DOEは、RFIで得られた情報は、DOEによる連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定プロセス及び統合的放射性廃棄物管理システム、資金確保の可能性のための戦略構築の構築において、公平な形で使用する意向である。

DOEはニュース記事において、2021会計年度包括歳出法(Public Law No.116-260)で中間貯蔵のための歳出予算が計上されたこと、及び中間貯蔵を進展させるよう指示を受けたことを示した。同意に基づくサイト選定プロセスについては、オバマ民主党政権で設置された「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」の最終報告書・勧告 などを反映して検討が進められ、2017年1月には「サイト選定プロセス案」も公表されていたが、トランプ共和党政権で中止された

DOEは、RFI告示において、特に意見を求める分野及び意見項目を以下のように示している。

分野1:同意に基づくサイト選定プロセス

  1. DOEは、同意に基づくサイト選定プロセスにおいて、社会的公平と環境正義をどのように考慮すべきか。
  2. 連邦中間貯蔵施設の立地受入れの同意を判断する際に、先住民族、州及び地方政府等はどのような役割を果たすべきか。
  3. 連邦中間貯蔵施設のサイトを選定しようとして取り組むDOEとの関与を考慮する際、どのような便益や機会が地方・州・先住民族政府を後押しするものとなるか。
  4. 同意に基づくサイト選定プロセスによる連邦中間貯蔵施設の立地が成功するために障害となるものは何か、また、それはどのように対応できるか。
  5. 連邦中間貯蔵施設における貯蔵期間に持続するような合理的な期待及び計画を確立するため、DOEは地域コミュニティとどのように協働すべきか。
  6. サイト選定での同意に基づくアプローチの構築のため、どのような組織やコミュニティとの連携を考慮すべきか。
  7. サイト選定プロセス案で提起された課題を含め、DOEが同意に基づくサイト選定プロセスを実施する上で、他にどのような課題を考慮すべきか。

分野2:意味のある参加への障害の排除

  1. 同意に基づくサイト選定プロセスにおいて、意味のある参加を妨げる障害は何か、また、それはどう緩和、排除できるか。
  2. 潜在的に関心を持つコミュニティが、同意に基づくサイト選定に係る情報共有、専門家の支援及び意味のある参加の適切な機会を確保するために、必要とする資源は何か。
  3. 潜在的に関心を持つコミュニティとの相互学習及び協働の機会は、どのようにDOEは最大化することができるか。
  4. 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定において、どのようにDOEは地方・州・先住民族政府と効果的に関わることができるか。
  5. 連邦中間貯蔵施設の同意に基づくサイト選定において、コミュニティや諸政府、他のステークホルダーがDOEと関わるために必要とする情報は何か。

分野3:廃棄物管理システムの一部としての中間貯蔵

  1. 米国の廃棄物管理システムを構築する上で、どのようにDOEは社会的公平や環境正義の考慮を確実に行えるか。
  2. 廃棄物管理システムにおける複数施設の併設、あるいは製造施設や研究開発基盤、またはクリーンエネルギー施設と廃棄物管理施設の併設は、どのような便益や欠点があり得るか。
  3. 中間貯蔵施設の開発は、処分場開発の進展とどの程度関連すべきか。
  4. 廃棄物管理システムを構築する際、DOEは、他にどのような問題を考慮すべきか。

RFI告示の中でDOEは、使用済燃料が最終処分場に移送できるようになるまで中間貯蔵施設の操業が必要と想定していること、また、中間貯蔵の期間は、施設の立地、許認可及び建設などの重要なステップの完了時期に懸かっているとの見解を示している。なお、DOEが2017年に策定したサイト選定プロセス案は、集中貯蔵と処分場の立地を対象としたものであり、具体的なサイト選定の段階も示されていたが、今回のRFI告示では、同意に基づくサイト選定プロセスの対象は連邦中間貯蔵施設とされ、処分場のサイト選定についての具体的な言及はない。

なお、DOEが同意に基づくサイト選定プログラムの再始動を公表したことに対して、ネバダ州選出の上院議員2名は、DOEの取組を賞賛する声明を発出している。マスト上院議員のプレスリリースでは、現政権はネバダ州選出の上院議員2名の要求に応える形で、ユッカマウンテンにおける廃棄物処分は行わないことを確約しており、今回のDOEの発表はそれを再確認するものであるなどと述べている。また、エネルギー自治体連合(ECA)は、RFIの詳細は吟味中とした上で、DOEの国防関連廃棄物に関する言及がないこと、処分場に係る計画が無いまま中間貯蔵を進めようとしていること、民間での中間貯蔵施設の開発が進む中で連邦中間貯蔵施設のみを考慮しているように見えることなどについての懸念を示している。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2021-12-07 )