Learn from foreign experiences in HLW management

カナダ原子力安全委員会(CNSC)が放射性廃棄物の管理に関する規制文書を公表

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2021年1月29日、放射性廃棄物の管理に関する規制要件とガイダンスを定めた規制文書「REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理」(以下「REGDOC-2.11.1第1巻」という。)を新規に策定するとともに、関連する既存の規制文書「REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物の処分のためのセーフティケース」(以下「REGDOC-2.11.1第3巻」という。)を改訂したことを公表した。CNSCは2018年12月に、今回策定されたREGDOC-2.11.1の上位文書にあたる規制文書「REGDOC-2.11 カナダにおける放射性廃棄物の管理及び廃止措置の枠組み」を策定しており、その下位に属する廃棄物管理に関する規制文書REGDOC-2.11.1シリーズを以下の3巻の文書で構成する計画であった。今回のREGDOC-2.11.1第1巻の策定により、REGDOC-2.11.1シリーズの規制文書が出揃ったことになる。

  • REGDOC-2.11 カナダにおける放射性廃棄物の管理及び廃止措置の枠組み
    (2018年12月発行)

    • REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理
      (2021年1月発行) ※今回新たに発行
    • REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第2巻:ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理
      (2018年11月発行)
    • REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物の処分のためのセーフティケース
      (2021年1月発行、第2版)※今回第1巻の発行にあわせて改訂

■REGDOC-2.11.1第1巻の概要

今回新たに策定されたREGDOC-2.11.1第1巻は、原子力安全管理法に基づく許認可取得者である事業者に対して、放射性廃棄物管理に係る要件とガイダンスを定めた規制文書である。一般要件として、許認可取得者は、「廃棄物の安全な管理に責任を負わなければならない」、「廃棄物管理の安全性確保のためのプログラムを開発し、実施しなければならない」、「安全性を継続的に改善するために操業経験や類似施設からの教訓、科学技術の進歩を利用しなければならない」などと定め、放射性廃棄物管理の各段階(発生、取扱、処理、輸送、貯蔵、処分)における事業者の責務を示している。その上で、廃棄物の貯蔵施設と処分施設について、それぞれ施設の設計、建設、操業に関する要件を示している。

REGDOC-2.11.1第1巻においてCNSCは、放射性廃棄物の貯蔵施設、処分施設の双方に対する一般要件として、「適用される規制に従い、放射性廃棄物処分施設のライフサイクル全体のセーフティケースの開発、実施、維持」を要求している。さらに、処分施設については、閉鎖後安全評価についても開発、実施、維持を要求している。

■REGDOC-2.11.1第3巻の改訂

REGDOC-2.11.1第1巻におけるセーフティケース及び閉鎖後安全評価の規制要求に対応するため、今回のREGDOC-2.11.1第1巻の策定と同時に、放射性廃棄物処分のセーフティケース開発及びそれを裏付ける安全評価活動に係る規制要件とガイダンスを定めたREGDOC-2.11.1第3巻の改訂も行われた1

CNSCは、廃棄物処分施設の許認可のためにセーフティケースをCNSCに提出しなければならないとしており、放射性廃棄物処分のためのセーフティケースと安全評価の定義を示し、セーフティケースの役割や構成要素、要件などを示している。また、セーフティケースには、サイトの特性や廃棄物の特性、人工バリア及び天然バリアの記述などの処分システム全体に関する定性的・定量的な説明を要求している。

 

【出典】

  1. 今回の改訂により、REGDOC-2.11.1第3巻のタイトルが変更された。2018年5月初版のタイトルは「放射性廃棄物管理の長期安全性の評価」であったが、2019年5月改訂版では「放射性廃棄物の長期管理のためのセーフティケース」となり、今回2021年1月改訂版において「放射性廃棄物の処分のためのセーフティケース」に変わった。 []

(post by nunome.reiko , last modified: 2023-10-17 )