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《イタリア》原子力施設管理会社(SOGIN)が極低レベル及び低レベル放射性廃棄物処分場の候補サイトを示したマップを公表

潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)

潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)
(出典:国家放射性廃棄物センターウェブサイト)

イタリアの放射性廃棄物管理の実施主体である「原子力施設管理会社」(SOGIN)は2021年1月5日に、環境・国土・海洋保護省(MATTIM)及び経済開発省(MISE)の承認を得て、国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)のサイト選定に向けた潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)を公表した。このマップには67カ所の候補サイトが示されており、いずれかの場所において、イタリア国内で発生した極低レベル及び低レベル放射性廃棄物を受け入れる浅地中処分場のほか、高レベル及び中レベル放射性廃棄物の集中貯蔵施設(CSA)を立地する計画である。

イタリアでは、4基の原子炉が運転していたが、1986年のチェルノブイリ原子力発電所での事故を受け、いずれも1990年までに閉鎖された。原子力発電所で発生した低レベル放射性廃棄物などは、発生元で貯蔵されている。一方、使用済燃料は、原則として海外で再処理する方針であり、再処理のため既にフランスと英国へ輸送されている。今後、原子力施設の廃止措置に伴って多くの放射性廃棄物が発生すると見込まれており、また、使用済燃料の再処理によって発生した高レベル及び中レベルの放射性廃棄物はイタリアに返還されることになっている。

■国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)の概要

SOGINが計画する国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)に設置される浅地中処分場では、極低レベル及び低レベル放射性廃棄物を合計で約7万8,000m3を処分する計画であり、このうち約5万m3は原子炉の運転及び廃止措置により発生した放射性廃棄物で、残りの約2万8,000m3は医療、産業及び研究活動で発生した放射性廃棄物である。なお、処分対象廃棄物のうち4万5,000m3は、今後発生する放射性廃棄物である。

浅地中処分場と同じ敷地内に建設される高レベル及び中レベル放射性廃棄物の集中貯蔵施設(CSA)では、約1万7,000m3の貯蔵容量を予定しており、うち約400m3は、使用済燃料と海外での再処理で発生したガラス固化体とされている。

国家放射性廃棄物センター(Deposito Nazionale)に隣接して、テクノロジーパーク(Parco Technologico)を設置する計画であり、放射性廃棄物管理、放射線防護、環境保護の分野における国際共同研究等の研究開発や訓練センターの構想を具体化していく予定である。

国家放射性廃棄物センターと隣接するテクノロジーパークの地図

国家放射性廃棄物センターと隣接するテクノロジーパークの地図
(出典:国家放射性廃棄物センターウェブサイト)

国家放射性廃棄物処分場に建設される浅地中処分場の概念図

国家放射性廃棄物処分場に建設される浅地中処分場の概念図
(出典:国家放射性廃棄物センターウェブサイト)

■今後の予定

SOGINは、潜在的適性地域国家マップ(CNAPI)の公表と併せて、公衆協議の開始を表明した。今後6カ月間にわたって実施される公衆協議には、候補サイトの地元自治体当局、経済界、労働組合、大学、研究機関が参加し、国家放射性廃棄物センターの建設による経済効果や地域開発などを検討することとしている。公衆協議の結果を踏まえ、SOGINはCNAPIの改訂を行い、環境・国土・海洋保護省(MATTIM)、経済開発省(MISE)、インフラ・交通省(MIT)及び安全規制機関である国家原子力安全・放射線防護監督局(ISIN)の見解を踏まえて、MISEがCNAPIの改訂版である適性地域国家マップ(CNAI)を承認する。その後、SOGINは、地域の関心表明を求め、サイト選定を進めていくとしている。

【出典】

(post by yamamoto.keita , last modified: 2023-10-17 )