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《フィンランド》TVO社が極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分に関する環境影響評価計画書を提出

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2020年8月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物1 の地表埋立て処分事業について、環境影響評価(EIA)手続きの最初のステップとなるEIA計画書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。雇用経済省は、2020年8月21日から9月21日の期間、TVO社のEIA計画書について、地表埋立て処分事業によって影響を受ける組織や企業、自治体、公衆からの意見募集を行った後、必要に応じてEIA計画書の変更などを指示することになっている。

TVO社のEIA計画書によれば、同社が1992年から操業している低中レベル放射性廃棄物処分場(地下60~100mに建設されているサイロ型の地下空洞処分場)で処分している廃棄物のかなりの割合は、極低レベル放射性廃棄物(1kgあたり10万Bq未満)に相当する。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の放射能レベルが低いことを考慮すると、現行の低中レベル放射性廃棄物処分場への処分は過剰な方法であり、適したものではないとしている。また、2021年に操業開始予定のオルキルオト原子力発電所3号機の運転に伴って、今後も極低レベル放射性廃棄物の発生が継続するため、将来必要となる低中レベル放射性廃棄物処分場の拡張を抑制するために、地表埋立て処分事業の計画を開始したとしている。

計画している地表埋立て処分場の処分概念は、地表地盤に構築するシーリング層の上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものであり、広さは90m×115mである。また、底部に排水/集水システムを設置し、浸出水の水質をモニタリングする予定である。廃棄物パッケージは5年毎に処分され、廃棄物が処分された区画は一時的に密閉する。処分される極低レベル放射性廃棄物は、原子力発電所の定期点検中に利用される防護服やプラスチック製の養生シート等である。

極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分は、スウェーデン等の世界各国で実施されており、フィンランドでも法律上はそのような処分が可能となっているものの、これまでフィンランド国内での実施例はなかった。

今後の予定

雇用経済省(TEM)は、TVO社のEIA計画書について、約1ヶ月間の公衆意見募集を行うほか、新型コロナウイルス感染症の状況を勘案しつつ、2020年9月8日にエウラヨキ自治体において公聴会を開催する予定である。なお、TVO社は、EIA計画書において、極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分場は重大な原子力施設ではないため、政府による原則決定、建設・操業許可は必要としないものの、TVO社が地表埋立て処分場を操業するためには原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物処分を2023~2024年頃に開始し、2090年頃まで継続する計画である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】

  1. フィンランドでは原子力利用に伴い発生する廃棄物を「原子力廃棄物」と定義しており、その他の放射線利用で発生する放射性廃棄物と区別している。原子力廃棄物は使用済燃料以外に放射能濃度に基づき「中レベル廃棄物(intermediate-level waste: ILW)」、「低レベル廃棄物(low-level waste: LLW)」、「極低レベル廃棄物(very low-level waste: VLLW)」と区分しているが、この記事ではVLLWについて、わが国でも使用されている「極低レベル放射性廃棄物」の表記を用いる。 []

(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-17 )