カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2019年11月26日、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のホーンペイン・タウンシップとマニトウェッジ・タウンシップ(図中9番と8番)について、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、サイト選定プロセスに残っていた5自治体を、地理的な近さに応じて3地域(イグナス地域、ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域、ホーンペイン/マニトウェッジ地域)にまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定やパートナーシップの構築を進めていた 。NWMOは、2023年までに1カ所の好ましいサイトの特定に向けて、より詳細な調査と評価を行うために、3地域を①処分の安全性、②輸送の安全性、③パートナーシップ構築の可能性の3点から評価した結果、イグナス地域とヒューロン=キンロス/サウスブルース地域は、プロジェクトを進めていく上で必要となる、深く、幅のあるパートナーシップ構築の可能性が強いとして、この2地域での活動に注力していくとしている。
今回サイト選定プロセスから除外されたホーンペイン/マニトウェッジ地域に関してNWMOは、地層処分場のサイト選定プロセスに対する地域のこれまでの貢献を高く評価するとともに、地元の持続的開発と福祉向上のために独自に利用できる資金として、ホーンペイン・タウンシップ、マニトウェッジ・タウンシップ、先住民であるコンスタンス・レイク・ファースト・ネーション(Constance Lake First Nation)にそれぞれ70万カナダドル(5,740万円)、近隣自治体であり2017年にサイト選定プロセスから除外された後も前向きな協力を続けていたホワイトリバー・タウンシップ に60万カナダドル(4,920万円)、協力を受けていたその他の3つの先住民族に対して計75万カナダドル(6,150万円)を提供するとしている。(1カナダドル=82円として換算)
■2023年までに1カ所の好ましいサイトの選定に向けて
NWMOは、今後も技術的な適性の確認のための調査、プロジェクトの受け入れに対する地域の意向の確認や、前向きなパートナーシップの構築が必要だとしている。安全性については、更なるフィールド調査やより詳細なサイトの評価が必要であり、パートナーシップについては、それぞれの地域においてプロジェクトをどのように実施できるか、必要とされるパートナーシップの構築が可能となるように、更なる取組が必要だとしている。さらに、こうした取組には、プロジェクト実施計画や将来的に締結するパートナーシップ協定の草案の共同策定が含まれるとされている。
《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス
【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)
【出典】
- 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、プレスリリース、2019年11月26日
https://www.nwmo.ca/en/More-information/News-and-Activities/2019/11/19/00/02/The-NWMO-advances-Canadas-plan-for-safe-long-term-management-of-used-nuclear-fuel - 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、Phase 2 Preliminary Assessments Summary findings and decisions based on advanced detailed studies、2019年11月
https://www.nwmo.ca/-/media/Reports—Reports/Phase-2-Preliminary-Assessments-Summary-findings-and-decisions-based-on-advanced-detailed-studies.ashx - 核燃料廃棄物管理機関(NWMO)、Recognizing Communities
https://www.nwmo.ca/en/Site-selection/Steps-in-the-Process/Step-3-Preliminary-Assessments-of-Suitability/Step-3-Phase-2–Field-Studies-and-Engagement/Recognizing-Communities
(post by nunome.reiko , last modified: 2023-12-28 )