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《米国》連邦議会で放射性廃棄物政策修正法案の検討を開始

米国の連邦議会下院のエネルギー・商務委員会は、2019年11月20日付けのプレスリリースにおいて、「2019年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.2699)を承認し、下院本会議に報告したことを公表した。2019年放射性廃棄物政策修正法案は、2018年5月に連邦下院本会議で可決された「2017年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.3053、以下「2017年版法案」という。)と同様の法案であり、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)を修正するものとなっている。プレスリリースで本法案は、短期的には使用済燃料の中間貯蔵に係る権限をエネルギー省(DOE)に付与するとともに、ユッカマウンテン処分場の建設・操業に向けた「インフラ活動」の実施をDOEに認めるなど、DOEの放射性廃棄物管理能力を更新するものであり、本法案により、原子力発電所の立地地域からの放射性廃棄物の搬出が確実に開始されるための重要な一歩になるとしている。

2019年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.2699)は、2019年5月14日に下院に提出され、2019年11月20日の下院エネルギー・商務委員会の法案策定会合において、2本の修正案を織り込む形で承認された。2019年11月20日に下院本会議に報告された2019年放射性廃棄物政策修正法案の構成及び主要条文タイトルは以下の通りであり、2017年版法案(H.R.3053)から若干の変更が行われている。

第I章 監視付き回収可能貯蔵 1
監視付き回収可能貯蔵(第101条)、権限と優先度(第102条)、監視付き回収可能貯蔵協定の条件(第103条)、サイト選定(第105条)、便益協定(第106条)、許認可(第107条)、財政的支援(第108条)

第Ⅱ章 永久的な処分場
土地収用・管轄権・保留地(第201条)、申請手続とインフラ活動(第202条)、申請中の処分場許認可申請(第203条)、軍事廃棄物専用処分場開発の制限(第204条)、輸送経路に関する連邦議会意見(第205条)

第Ⅲ章 エネルギー省(DOE)の契約履行
物質[使用済燃料]の所有権(第301条)

第Ⅳ章 立地自治体に対する便益
同意(第401条)、協定の内容(第402条)、対象となる地方政府(第403条)、高等教育機関への優先的資金供与(第405条)、使用済燃料処分(第406条)、更新レポート(第407条)

第Ⅴ章 資金
見積り及び拠出金の徴収(第501条)、放射性廃棄物基金の使用(第502条)、複数年度予算要求の年次提出(第503条)、一定金額の利用可能性(第504条)

第Ⅵ章 その他
基準(第601条)、申請書(第602条)、輸送安全の支援(第603条)、使用済燃料局(Office of Spent Nuclear Fuel)(第604条)、海洋底下処分(subseabed disposal)または海洋処分(ocean water disposal)(第605条)、予算上の効果(第606条)、取り残された放射性廃棄物(Stranded Nuclear Waste)(第608条)

2019年放射性廃棄物政策修正法案(H.R.2699)は、2017年版法案(H.R.3053)と比較して、以下などが変更されている 2

  • 監視付き回収可能貯蔵(MRS)での貯蔵における優先対象先として、廃止措置済みの原子力発電所に加え、地震多発地帯に立地する原子力発電所、及び主要水域に近接した原子力発電所を追加。
  • 1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)第304条で設置された民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)に関する規定について、以下のとおり変更。
    • 組織名称を、民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)から使用済燃料局(Office of Spent Nuclear Fuel)に変更
    • 使用済燃料局の長官の任期を5年とするなどの2017年版法案の規定を撤廃

なお、2019年11月20日の下院エネルギー・商務委員会の法案策定会合では、法案全体を中間貯蔵に限定した内容に置き換える修正案が民主党議員から提出されるなどしたが、最終的には撤回され、2019年放射性廃棄物政策修正法案は、発声投票による超党派の合意により承認された。

【出典】

 

【2019年12月2日追記】

米国の連邦議会上院の環境・公共事業委員会の委員長は、2019年11月20日のプレスリリースにおいて、「2019年放射性廃棄物政策修正法案」(S.2917、以下「本法案」という。)を提出したことを公表した。本法案は、2019年11月20日に、連邦議会下院のエネルギー・商務委員会で開催された法案策定会合に当初提出された下院版「2019年放射性廃棄物政策修正法案」(H.R.2699)と同じ内容となっている。なお、H.R.2699は、下院委員会の法案策定会合において、2件の修正案が承認されているが、現状で修正された法案は未公表となっている。

本件に関連して、上院環境・公共事業委員会では、2019年4月24日に、「2019年放射性廃棄物政策修正法案」の討議用ドラフトが公表され、2019年5月1日には討議用ドラフトに関する公聴会が開催されていた

【出典】


  1. 監視付き回収可能貯蔵(MRS、Monitored Retrievable Storage)施設は、1982年放射性廃棄物政策法(1987年修正)において、高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料を監視付きの回収可能性を有する中間貯蔵施設に長期貯蔵することが安全・確実な管理の選択肢であるとし、エネルギー長官に中間貯蔵施設の設置に係る権限を与えている。[]
  2. その他、ウェストレイク埋立処分場に関する規定が削除され、ウラン採鉱・精錬の疫学的影響に係る補助プログラムの規定が追加されている。[]

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-10 )