2004年3月24日、米国の原子力規制委員会(NRC)は、核物質安全・保障措置局内に高レベル放射性廃棄物処分を専門に担当する高レベル放射性廃棄物処分安全部を既存の組織から分離・設置したことをニュースリリースとして発表した。これはNRCによる高レベル放射性廃棄物に関する問題への取組み体制を強化し、ユッカマウンテン処分場の認可に係る包括的な活動を実施するためのもので、3月22日付で組織変更が行われている。
今回の組織変更は、これまでNRC内で放射性廃棄物管理全般を扱っていた放射性廃棄物管理部を分割し、高レベル放射性廃棄物処分安全部及び廃棄物管理・環境防護部を新たに設置したものである。新設の両部の責任者には、従来の放射性廃棄物管理部の副部長及び部長がそれぞれ就任している。NRCは大統領によって任命される委員長を含む5人の委員からなる委員会を核とする組織であるが、委員会の政策や決定を実行するために運営事務局長(EDO)が置かれ、さらにEDOの下には7つの専門局、4つの地域局、及び4つの管理局が設置されている(NRCの組織図はこちら)。
NRCはニュースリリースの中で、今回の組織変更によって組織の効率性が向上し、高レベル放射性廃棄物、廃止措置、環境保護及び低レベル放射性廃棄物の分野における重要な事項に対する資源の集中、取組みの強化が可能になるとしている。
なお、2004年12月にDOEからNRCに提出が予定されているユッカマウンテン処分場建設の認可申請 に向けては、安全基準、認可の審査におけるレビュープラン、及び膨大な分量となる申請関連文書を取扱う認可支援ネットワーク(LSN)など、NRCによる認可の審査のために必要な体制も既に整備されてきている。
処分の安全基準については、放射性廃棄物政策法(NWPA)及び1992年エネルギー政策法の規定によってNRCが策定すべきとされたユッカマウンテン処分場の安全基準が、2001年11月に10 CFR Part 63最終規則として定められている。また、DOEによる申請に対してNRCが審査を行い、修正を要求する際のNRCの品質、画一性、一貫性の保証を主目的とするレビュープランについても、2003年7月に公示が行われている 。さらに、認可手続に関わる文書を一元管理し、文書のやり取り等に要する時間を短縮することを目的として、関連書類は全てDOEによる申請書提出前にインターネットを通じて利用可能な状態にするための認可支援ネットワーク(LSN)の整備も行われている。
【出典】
- 原子力規制委員会(NRC)ニュースリリース
- 原子力規制委員会(NRC)ウェブサイト (http://www.nrc.gov/)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )