2004年3月18日、米国における超ウラン核種を含む放射性廃棄物(TRU放射性廃棄物)の地層処分場である廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)についての連邦エネルギー省(DOE)による適合性再認定申請書(CRA:Compliance Recertificate Application)のドラフトが環境保護庁(EPA)のウェブサイトで公表された。同サイトでは、DOEが提出した申請書ドラフトに加え、EPAが作成した各章の概要説明も公表されている。
WIPPは、連邦政府の国防活動から生じたTRU廃棄物の処分場としてDOEによって設置された地層処分場である。ニューメキシコ州南東部に位置し、地下約655mの岩塩層にTRU廃棄物の処分が行われている。WIPPの開発は1970年代から行われていたが、最終的には1996年10月に11万ページに及ぶ適合性認定申請書(CCA:Compliance Certificate Application)がDOEからEPAに提出され、1998年5月にEPAによって承認されている。実際の廃棄物の処分活動は1999年3月26日から行われている。
WIPPの規制枠組の基本を定めているWIPP土地収用法では、処分の最終規則(40 CFR Part191サブパートB)への適合について定めており、DOEからEPAに対するCCAと呼ばれる適合性認定申請手続を規定している。同法ではさらに、この認定は定期的な再認定が必要であり、DOEは適合状態が継続していることを示す書類を5年ごとに提出し、EPAは書類受領後6カ月以内に適否の決定を行わなければならないことを定めている。廃棄物搬入後5年が経過する2004年3月26日が最初の適合性再認定申請書の提出期限となる。
今回ドラフトが公表されたCRAと呼ばれる適合性再認定申請書は、全体的には当初のCCAの様式を継承しているが、その後EPAとの間で承認されてきた変更事項も全て織込んで作成されている。DOEによって示された主な変更ポイントは以下の通りである。
- インベントリ:CCA記載のTRU廃棄物量を最新の情報に更新すると共に、定置済みの数量を記載。
- 処分場設計:安全性強化等のため設計細部を若干変更。
- パネルの閉鎖:パネル閉鎖法の設計を具体化。
- 処分方法:第1パネルへの廃棄物収容に伴い、定置区画の一部変更。
- 人工バリア:酸化マグネシウムの充填・設置方法を変更。
これらは個々にはEPAとの間で承認されてきたものであるが、CRAでは複合的な実効線量など、こうした変更の複合的な影響についても評価が行われている。
EPAによれば、DOEが最終的な適合性再認定申請書を2004年3月26日までに提出した後は、最低120日間のパブリックコメント期間が設けられる予定である。EPAの最終決定は、上述の通りDOEの書類提出から6カ月以内に行われることとなる。
【出典】
- 連邦環境保護庁(EPA)ウェブサイト(WIPP適合性再認定申請) (http://www.epa.gov/radiation/news/index.html#wipp)
- WIPP適合性再認定申請書ドラフト(要約)
- WIPP適合性再認定申請書ドラフト各章の要約(EPA)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )