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《スイス》NAGRAがサイト選定第3段階におけるボーリング調査の実施に向けた許可申請書を提出

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合計16カ所のボーリング調査予定地点

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)は、2016927日に、地質学的候補エリア「ジュラ東部」及び「チューリッヒ北東部」において、サイト選定第3段階で実施するボーリング調査に必要な許可申請書を連邦エネルギー庁(Bundesamt für Energie, BFE)に提出したことを公表した。NAGRAは、ボーリング調査地点を選定するにあたり、これら2つのエリアにおいて20162月までに地表からの地質構造を調査する三次元弾性波探査を完了させていた。ボーリング調査は、2つの地質学的候補エリアのそれぞれ8地点(右の図の△)、計16地点で実施し、最大2,000メートルの深度までボーリング孔を掘削する計画である。

NAGRAは、特別計画「地層処分場」(詳細はこちら)に基づく地層処分場のサイト選定プロセス第2段階において、今回ボーリング調査の許可申請を行った2つの地質学的候補エリアを優先候補として提案している。この提案は、現在、BFE及び連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)がレビュー等を行っており、サイト選定第3段階に進む地質学的候補エリアが確定するのは早くとも2018年末となる見込みである。サイト選定第3段階では最終的に、地層処分場を立地する1つのエリアを選定する計画となっており、ボーリング調査を含む地球科学的調査の結果に基づいて、地質学的候補エリア間の詳細な比較が行われることになっている。今回NAGRAが行ったボーリング調査の許可申請は、サイト選定第3段階に進む地質学的候補エリアが確定した後、速やかにボーリング調査に着手できるように、先行的に行ったものである。 

ボーリング調査の許可手続きと今後のスケジュール

原子力法第35条に基づいて、ボーリング調査のような地下に影響を及ぼす地球科学的調査の実施には、環境・運輸・エネルギー・通信省(Eidgenössisches Departement für Umwelt, Verkehr, Energie und Kommunikation, UVEK)の許可が必要となっており、UVEKの下で連邦エネルギー庁(BFE)が許可発給までの手続を担う1 。NAGRAが提出したボーリング調査の許可申請を受理したBFEは、許可申請書を2017年第1四半期に30日間の公衆縦覧に付す予定としている。また、BFEは、ボーリング調査に関する許可手続の状況について情報提供を行うため、2017年内に関係官庁や報道機関を対象としたセミナーを開催するとしている。BFEの作業と並行して、連邦原子力安全検査局(ENSI)は、今回NAGRAが許可申請したボーリング調査の内容について、安全面からの評価を行い、ボーリング調査が行われる16地点ごとに評価報告書を作成し、2017年末にBFEへ提出するとしている。ボーリング調査に関する許可手続が順調に進んだ場合、16地点でのボーリング調査のUVEKからの許可発給は2018年半ばとなる見込みである2

なお、現在進められているサイト選定第2段階のレビューの結果次第では、NAGRAが予備候補とした地質学的候補エリア「北部レゲレン」も、サイト選定第3段階に進む可能性が残っている。このため、NAGRAは、予備候補の北部レゲレンについても、ボーリング調査の実施地点を検討し、ボーリング調査の許可申請を行う意向である。 

【出典】

【2017年8月25日追記】

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NAGRAファクトシート「ボーリング地点の説明及びボーリング調査の目的-北部レゲレン」を基に原環センターが加工・作成

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)は2017年8月24日に、地質学的候補エリア「北部レゲレン」について、サイト選定第3段階で実施するボーリング調査に必要な許可申請書を連邦エネルギー庁(Bundesamt für Energie, BFE)に提出したことを公表した。北部レゲレンにおけるボーリング調査の対象地点数は6地点である(右の図の△)。

 

NAGRAは、サイト選定第3段階で検討対象とする優先候補として、「ジュラ東部」「チューリッヒ北東部」の2つのエリアを提案していた。この提案に対して連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)は、2017年4月に公表された審査報告書において、これら2つに加え「北部レゲレン」も優先候補に加えてサイト選定第3段階での検討対象とすべきと勧告し、2017年7月には、原子力安全委員会(Eidgenössische Kommission für nukleare Sicherheit、KNS)3 がENSIの勧告を支持するとしていた。今後、他の官庁の審査、意見聴取の実施を経て、2018年末に連邦評議会4 がサイト選定第3段階へ進む地質学的候補エリアを承認する予定である。今回のNAGRAの許認可申請書の提出は、サイト選定第3段階で「北部レゲレン」が検討対象となることに備えたものであり、NAGRAはサイト選定第3段階が開始される2019年初頭から順次、ボーリング調査を実施するとしている。

 

【出典】

【2017年11月07日追記】

スイスの連邦原子力安全検査局(Eidgenössisches Nuklearsicherheitsinspektorat, ENSI)は、2017年11月2日に、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(Nationale Genossenschaft für die Lagerung radioaktiver Abfälle, NAGRA)が連邦エネルギー庁(Bundesamt für Energie, BFE)に提出していたボーリング調査の許可申請書のうち、2016年9月に提出した地質学的候補エリア「ジュラ東部」及び「チューリッヒ北東部」内でのボーリング地点に関する安全面からのレビュー結果を公表した。実際のボーリング調査は、サイト選定第3段階で実施されることとなり、各々の地質学的候補エリアで8地点の合計16地点である。

ENSIは、NAGRAが予定しているボーリング調査について、地層処分場の安全性の評価のために必要なデータを取得する手段として適切に計画されており、環境に大きな負荷をかけることなく実施可能であるとの判断を示している。

なお、NAGRAが2017年8月に提出した地質学的候補エリア「北部レゲレン」内での6地点のボーリング調査に関する申請書についてENSIは、2018年にレビュー結果を公表する見通しである。

 

【出典】

【2018年8月28日追記】

環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)がボーリング調査の許可申請をした調査候補の合計22地点のうち、地質学的候補エリア「北部レゲレン」の1地点及び「チューリッヒ北東部」の2地点の合計3地点について、許可審査を終了し、2018年8月17日付でボーリング調査の許可を発給した。実際のボーリング調査については、2018年末に連邦評議会4 がサイト選定第3段階へ進む地質学的候補エリアを承認してサイト選定第2段階が終了するまでは、実施することはないとされている。

原子力法第49条は地球科学的調査の許可について地元州の意見の聴取を規定しており、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)は、ジュラ東部について472件、チューリッヒ北東部について99件、北部レゲレンについて132件のボーリング調査に対する異議が提出されたことも公表している。

 

【出典】

  1. 弾性波探査のように地下への影響の少ない調査の実施には、原子力法に基づく許可は不要である。ただし、原子力法令以外の連邦法や州法で別途定めがある場合は、それらの法令に基づく許可の取得が必要となっている。 []
  2. NAGRAはボーリング調査の過程で発生する新たな情報へ柔軟に対応するため、実際に必要とされるよりも多くの許可申請書を提出したとしており、全ての地点に対する許可が発給されない可能性を示している。 []
  3. KNSは、ENSI、環境・運輸・エネルギー・通信省(UVEK)、連邦評議会に対して安全性に関する重要な問題に関して助言する。 []
  4. 日本の内閣に相当 [] []

(post by yamamoto.keita , last modified: 2024-02-13 )