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§ 2017年6月20日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フィンランドで地層処分場の統合作動試験に向けたパイロットボーリングの掘削を開始

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年6月16日付けプレスリリースにおいて、オルキルオトの地下特性調査施設(ONKALO)の深さ約420mでパイロットボーリングの掘削を4月に開始したことを公表した。パイロットボーリングは、処分場の主要坑道の掘削に先立って、ONKALOの地下部分から水平方向にボーリング孔を掘削するものであり、ボーリング孔と採取するボーリングコアサンプルを調査することにより、オルキルオトの地質と水理モデルを更新するための新たな情報が得られるとしている。これによって、岩盤の適合性が確認されれば、主要坑道の掘削を今夏の終わり頃から開始するとしている。

■統合作動試験を2022年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の操業許可申請前に、地下の実環境において、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置の統合作動試験(joint operation test)を2022年頃に行う計画である。この統合作動試験では、使用済燃料を収納したキャニスタは使用されない。プレスリリースによると、ポシヴァ社は統合作動試験に向けて、長さ60mの主要坑道と、長さ80mの処分坑道を掘削し、処分坑道において4本の処分孔を鉛直方向に掘削する計画である。

ポシヴァ社の現在の予定では、統合作動試験において、4つの処分孔へそれぞれ実物大の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングを実施するとしている。

■ONKALOでの実規模原位置システム試験を2018年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の統合作動試験に先だって、ONKALO内において、実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)を2018年に実施する計画である。FISSTは、2本の試験処分孔に銅キャニスタ、ヒーターと緩衝材とを定置し、実証坑道の埋め戻し、実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するものである。また、銅キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機を使用するとしている。FISSTの結果を踏まえて、統合作動試験や実際の処分操業で使用する人工バリアや機器・装置の設計・製作を行う計画としている。

 

(参考)統合作動試験について

ポシヴァ社が3年毎に公表している原子力廃棄物管理プログラム(YJH-2012、YJH-2015)によると、ポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道において、処分システムの部分的試験を実施し、機器、装置及び作業方法の詳細な運用を検証する。その後、処分システムの各段階をつなげて、部分的試験で承認される方法の適合性を分析するため、最終処分に関係する機器・装置及び作業方法の統合作動試験を実施する計画である。なお、統合作動試験は、地下の処分施設と地上のキャニスタ封入施設について、それぞれ個別に実施される。

YJH-2015報告書によると、2022年頃の開始を予定している統合作動試験では、地下の実環境で、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置を用いて、使用済燃料が封入されていない模擬の銅キャニスタを使用することを除いて、実際の操業条件で処分試験が行われるとしている。また、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)から使用済燃料の取扱いに関する許可を得た後、2023年頃に使用済燃料の取扱いを含めた「原子力統合作動試験」を実施するとしている。

 

【出典】

(post by t-yoshida , last modified: 2017-06-21 )