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《オランダ》高レベル放射性廃棄物貯蔵施設が操業を開始

HABOG外観(放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダより)


2003年9月30日、オランダの放射性廃棄物中央機構(COVRA)がボルセラ自治体東部のフリッシンゲン工業団地に建設された高レベル放射性廃棄物貯蔵施設(注)の操業開始式典を開催した。この施設には主にオランダにある2カ所の原子力発電所(ボルセラとドーデバルト)および2カ所の研究用原子炉(ペテンとデルフト)で発生した高レベル放射性廃棄物が収容される。この施設のコンクリートの床、壁、屋根の厚さは、生活環境からの廃棄物の隔離、放出される熱および放射線に対する遮蔽のため、また収納された廃棄物を施設外で起きる極端な事象(地震、航空機の落下、ガス爆発など)から保護するために、1.70mと極めて厚くなっているとともに、特別な補強も施されている。2003年11月には高レベル放射性廃棄物の搬入が開始される予定である。

COVRAは、オランダの全て放射性廃棄物を安全かつ環境面で信頼できる方法によって処理・貯蔵する責任を負う組織である。COVRAは既に低・中レベル放射性廃棄物貯蔵施設を同地域に所有している。今回完成した新しい施設はHABOG(オランダ語で Hoogradioactief Afval Behandlings en Opslag Gebouw「高レベル放射性廃棄物貯蔵施設」の頭文字)と呼ばれている。この施設の完成には4年間を要した。HABOGは高レベル放射性廃棄物を少なくとも100年間は貯蔵できるよう設計されている。

オランダでは使用済燃料の再処理路線がとられている。ボルセラ原子力発電所から発生する使用済燃料はフランスのコジェマ社に、ドーデバルト原子力発電所から発生する使用済燃料は英国核燃料公社(BNFL)に送られ、再処理された後にガラス固化体としてオランダに返還され、この新施設に収容されることになる。なお研究炉から発生する使用済燃料の一部または全てがこの施設に収容される予定。また貯蔵については当該1カ所のみで、少なくとも100年間行うこととされている。

(注) 貯蔵施設は、冷却の必要のない廃棄体(ビチューメン固化体など)を貯蔵する部分と、使用済燃料やガラス固化体を貯蔵し冷却する部分の2つに分かれている。使用済燃料やガラス固化体の貯蔵方式は、日本の六ヶ所村の日本原燃(株)高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターと同じ、ボールト方式の間接自然空冷(2重管)タイプである。

HABOG断面図(放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダより)

COVRAの施設レイアウト図:2003時点

COVRAの施設レイアウト図:2100年以降

①:事務所および展示センター

②:低中レベル放射性廃棄物処理施設

③:低中レベル放射性廃棄物貯蔵施設

④:高レベル放射性廃棄物貯蔵施設

⑤:鉱石精錬産業から発生する低レベル放射性廃棄物貯蔵施設

⑥:ウラン廃棄物貯蔵施設

(放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダより)

【出典】

  • オランダ王室ウェブサイト、http://www.koninklijkhuis.nl/nieuws/nieuws.html?Persberichten/1724.html
  • 放射性廃棄物中央機構(COVRA)、http://www.covra-nv.nl/1024×768/index1.html
  • 放射性廃棄物等安全条約 国別報告書 オランダ、2003年4月
  • Nuclear Waste Bulletin No. 14 – 2000 Edition、経済協力開発機構/原子力機関

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )