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《米国》DOEがブルーリボン委員会の設立趣意書を公表

米国のエネルギー省(DOE)は、2010年3月2日付けのプレスリリースにおいて、2010年1月29日に設置を公表していた「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)の設立趣旨書を公表した。ブルーリボン委員会は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物管理のための安全で長期的な解決策を検討し勧告するために設置されたものである。公表された設立趣旨書では、同委員会は連邦諮問委員会法に基づく諮問委員会とされている。

設立趣旨書によると、ブルーリボン委員会は、核燃料サイクルのバックエンド政策の包括的なレビューを行うとして、貯蔵、処理、処分に対するすべての代替案を含めるとしている。特に、ブルーリボン委員会は、助言を行い、代替案を評価し、以下の項目に対応するための新しい計画を勧告することとされている。

  • 現在の核燃料サイクル技術及び研究開発計画の評価(コスト、安全性、資源利用、持続性が評価基準)
  • 最終処分方策の選択及び実施までの期間の使用済燃料の安全な貯蔵オプション
  • 地層処分を含む、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分オプション
  • 使用済燃料及び放射性廃棄物管理のための法的・商業的な対応方法のオプション
  • 管理・処分のための意思決定プロセスのオプション(柔軟性、適応性、即応性に配慮)
  • 使用済燃料及び放射性廃棄物管理に関する意思決定のオプション(公開性、透明性、広範な参加性に配慮)
  • 追加の法制度及び1982年放射性廃棄物政策法を含む既存法令の改正の必要性
  • その他エネルギー長官が適切と判断する事項

また、設立趣旨書では、ブルーリボン委員会の設置を指示した大統領の覚書から1年半以内にドラフト報告書の提出を行い、2年以内にエネルギー長官に対して最終報告書を提出することとされているが、報告書には以下を含むものとされている。

  • 検討するそれぞれの代替方策に関する科学、環境、予算、財政及び管理に関する問題の分析を含む、広範な技術的及び政策的な代替方策の検討結果。報告書には、政策及び管理に関する勧告と勧告に伴う望ましい法律の改正を含む。
  • 使用済燃料管理に関する勧告と整合した、放射性廃棄物基金への拠出金及び現在の基金残高の取扱いの勧告
  • その他エネルギー長官が適切と判断した事項

さらに、設立趣旨書によれば、ブルーリボン委員会の年間費用は500万ドルと見積られており、必要に応じ小委員会を設立することができるとされている。また、ブルーリボン委員会の開催頻度については年2回以上とされている。

なお、ブルーリボン委員会の設置公表時に、エネルギー長官が検討対象からユッカマウンテン処分場が除外されていると発言したことが一部で報道されていたが、設立趣旨書にはユッカマウンテン処分場が検討対象となるかについては明記されていない。

【出典】

【2010年5月7日追記】

ブルーリボン委員会は、2010年3月25及び26日に初会合を開催し、その議事録を2010年4月30日に同委員会ウェブサイトにおいて公表した。

【追記部出典】

【2010年6月9日追記】

ブルーリボン委員会は、2010年5月25及び26日に2度目の会合を開催した。同委員会は、エネルギー省(DOE)に対して次の3つの小委員会の設置、審議内容及びその委員構成について承認を求めた。なお、同委員会の設立趣意書では、小委員会の設置についてはエネルギー省(DOE)の承認が必要とされている。

  • 原子炉及び核燃料サイクル技術(ワンススルー燃料サイクルへの代替技術など)
  • 高レベル放射性廃棄物の輸送及び貯蔵(処分場が設置されるまでの貯蔵方策など)
  • 高レベル放射性廃棄物処分(処分サイトを選定するための技術・政策・社会に受け入れられる方法など)

【追記部出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )