フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2013年4月23日付のプレスリリースにおいて、高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社が2012年12月28日に政府へ提出していた使用済燃料処分場の建設許可申請書 について、安全審査の第一段階を完了したことを公表した。
プレスリリースによると、STUKは、法令の規定に従って、使用済燃料のキャニスタ封入施設と最終処分施設に関するポシヴァ社による建設許可申請書に関して、記載すべき事項の十分性と内容の適切さの審査を実施した結果、次段階の詳細な審査プロセスを行う上で、建設許可申請書の一部について補足文書が必要であるとしている。STUKは、建設許可申請書の主要な資料については次の詳細な審査プロセスに回す一方で、補足が必要な文書については、ポシヴァ社から補足文書の提出を受けるまでは次の審査プロセスに着手しないとしている。なお、補足が必要な文書の例としては、キャニスタ封入施設や最終処分場の操業中における過渡的あるいは仮想的な事故の解析、施設設計に要求される安全分類の根拠を挙げている。
また、プレスリリースによれば、ポシヴァ社はSTUKに対して、建設許可申請書に添付すべき最終処分の長期安全性に関するセーフティケースに関して、欠落があることを事前に通知していたとしている。STUKは、セーフティケースの安全審査について、未提出部分の報告書が揃ってから審査を行う意向であり、ポシヴァ社に対して補足文書や改訂文書の提出スケジュールを明らかにするよう求めているとしている。
STUKはプレスリリースにおいて、安全審査の第一フェーズの完了時点での今後の審査作業の見通しについて、当初予定していた18カ月(1年半)の期間ではスケジュールが極めて厳しいとの認識であることを明らかにしている。
【出典】
【2013年12月3日追記】
放射線・原子力安全センター(STUK)は、2013年11月25日付プレスリリースにおいて、ポシヴァ社が提出した使用済燃料処分場の建設許可申請書に関する安全審査の進捗状況を公表した。ポシヴァ社が2012年末に建設許可申請を行った時点では「最終処分の長期安全性の立証に関するセーフティケース」(以下「セーフティケース」という。)の一部の資料が未提出であったが、2013年10月に提出されたことを受け、STUKはセーフティケースの資料に必要な記載事項が含まれているかどうかを審査した。
審査の結果、STUKは、一部の資料に不備があるものの、セーフティケースの資料が包括的であることを確認し、セーフティケースについても詳細な審査プロセスに回すことを表明した。
不備があると指摘された資料は、長期安全性に関する論拠の背景資料、背景データ、オリジナルデータの報告書であり、STUKは、長期安全性の論拠の背景資料及びその他のSTUKが要求した追加報告書の提出予定が明らかになった時点で、再度評価を実施するとしている。
なお、STUKは、ポシヴァ社の資料提出が遅れたため、当初予定していた2014年中頃までに安全審査を完了するスケジュールについては、非常に厳しいものとなったとしている。
【出典】
- 放射線・原子力安全センター(STUK)、2013年11月25日プレスリリース[フィンランド語]
http://www.stuk.fi/ajankohtaista/tiedotteet/fi_FI/news_871/ - STUK、2013年11月21日付決定書[フィンランド語]
【2014年6月30日追記】
放射線・原子力安全センター(STUK)は、2014年6月25日付プレスリリースにおいて、ポシヴァ社が2012年末に提出した使用済燃料処分場の建設許可申請書に関してSTUKが行っている安全審査について、雇用経済省(TEM)への審査意見書の提出が当初予定の2014年6月末より半年ほど遅れるとの見通しを示した。雇用経済省(TEM)は、2013年の初頭に、建設許可申請書に対するSTUKの審査意見書を、2014年6月末を期限として提出することを求めていた。
同プレスリリースによると、STUKは審査期間の延長の要因として、ポシヴァ社による技術資料の提出が建設許可申請を行った2012年末までに全て提出されていなかったこと、及び未提出の資料が2013~2014年に提出されたことを挙げている。また、STUKは、安全審査に関連して、ポシヴァ社に対して建設許可申請書に関連する多くの補足資料の提出を要請したことも延長の要因の1つとして挙げている。さらにSTUKは、2013年12月に発効した新安全指針 によって補足資料を追加する必要性が出たことも指摘している。
同プレスリリースによれば、STUKは、ポシヴァ社が今後必要な補足資料等を両者が合意したスケジュール通りに提出した場合、2014年12月までに安全審査を完了し、2015年1月には雇用経済省(TEM)に意見書と補足資料の安全評価書を提出できるとの見解を示している。
【出典】
- 放射線・原子力安全センター(STUK)、2014年6月25日プレスリリース
http://www.stuk.fi/ajankohtaista/tiedotteet/en_GB/news_905/?t=2014-6-7-11-22 - 放射線・原子力安全センター(STUK)、2014年6月25日プレスリリース[フィンランド語]
http://www.stuk.fi/ajankohtaista/tiedotteet/fi_FI/news_905/
(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-11 )