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《米国》2015会計年度の予算要求-高レベル放射性廃棄物処分関連に対して7,900万ドルを要求

米国で2014年3月4日に、2015会計年度 1 の大統領の予算教書が連邦議会に提出され、大統領府管理・予算局(OMB)のウェブサイトで公表された。2012年1月のブルーリボン委員会の最終報告書・勧告に基づいて、2013年1月にエネルギー省(DOE)が策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」(以下、「DOE戦略」という。)の関連予算として、DOEが7,900万ドル(約77億円、1ドル=98円で換算)を要求している。なお、ユッカマウンテン処分場関連予算の要求はない。

大統領の予算教書とともに公表されたエネルギー省(DOE)の予算概要資料では、DOE戦略を実施に移すため、輸送、貯蔵、処分、サイト選定に係る研究開発及びプロセス開発に焦点を当てた活動を行うとしている。DOEの詳細な予算要求資料は、今後、DOEのウェブサイトで公表される見込みである。

なお、ユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可申請書の審査を実施している原子力規制委員会(NRC)については、大統領の予算教書・各省庁の予算概要に記載がない。また、NRCの予算概要資料では、2015会計年度の高レベル放射性廃棄物処分関連として、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の処分の将来的な代替戦略のためのデータ収集・モデル化が増加すること、米国としての高レベル放射性廃棄物及び使用済燃料管理プログラムの変化に対応・サポートするための規制枠組み・可能性のある規則策定の評価などの予算が記載されているが、ユッカマウンテン処分場の審査に関する予算要求は記載されていない。

 【出典】

 

【2014年3月18日追記】

米国のエネルギー省(DOE)は、2014年3月14日に、2015会計年度の予算の説明資料を公表した。「使用済燃料処分等プログラム」(UFDプログラム)の予算要求額は7,900万ドル(約77億円、1ドル=98円で換算)であり、「研究開発活動(代替案を特定するための研究開発及び既存・将来の核燃料サイクルに係る放射性廃棄物処分等の研究開発)」とともに、「統合放射性廃棄物管理システムの設計に係る活動」の2分野から構成されている。なお、ユッカマウンテン処分場関連の予算要求額の記述は無いが、DOE原子力局(NE)の管理費の中で訴訟対応費用等が計上されている。

2015会計年度の予算による実施事項のうち、UFDプログラムの「研究開発活動」については、4,900万ドル(約48億円)の予算要求額で以下の事項を行うとしている。

  • 長期貯蔵に係る原子力規制委員会(NRC)の許認可を支援するための高燃焼度使用済燃料の検査能力・技術的知識の開発
  • 代替処分環境に関する長期的研究開発と国際協力の継続(フィールド試験を含む)
  • 既存の輸送・貯蔵キャニスタの直接処分への適用の可能性に係る研究開発の継続
  • 超深孔処分の代替設計概念の評価。超深孔処分の実証活動等の開始。
  • 結晶質岩、粘土/頁岩(シェール)及び岩塩の主要な3岩種の評価の継続(フィールド試験を3岩種について適宜実施)

さらに、2015会計年度の予算による実施事項のうち、UFDプログラムの「統合放射性廃棄物管理システムに係る活動」については、放射性廃棄物基金からの2,400万ドル(約24億円)を含む3,000万ドル(約29億円)の予算を要求しており、現行法の権限内で以下の事項を行うとしている。

  • 同意に基づくサイト選定プロセスのための計画策定の継続
  • 廃棄物管理システムへの情報を取りまとめる統合使用済燃料データベース及び分析システムの維持・拡張
  • 廃止措置された原子炉サイト等からパイロット規模の中間貯蔵施設への使用済燃料等の大規模な輸送の準備
  • 乾式貯蔵キャスク及び輸送システム標準化の評価を含め、貯蔵・輸送・処分の柔軟性のある統合アプローチの評価
  • 大規模な中間貯蔵施設の一般的な操業・概念設計オプションの評価(詳細な費用・スケジュールデータの開発を含む)
  • パイロット規模の中間貯蔵施設の一般的安全性評価レポートの策定とNRCのレビュー(キャスク受入・取扱施設を含む)
  • システム構成研究、意思決定分析能力、文書・知識管理の組織的インフラ、使用済燃料受入・許認可の支援などの完結
  • 中小サイズの標準輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタの包括的な一般設計の完成
  • 処分場概念のシステムレベル解析のための改良モデル化・ツールの開発継続
  • 次世代廃棄物管理システムのロジスティクス分析ツールの検証・確立

UFDプログラムの研究開発活動に係る2015会計年度の予算要求額は、2014会計年度の要求額と比較して1,900万ドル(約19億円)増加しているが、DOEは、その主な要因として、高燃焼度燃料の長期貯蔵に関する技術的知識の開発、超深孔処分の実証活動の開始などを挙げている。

【出典】

 

【2014年7月17日追記】

米国の連邦議会下院は、2014年7月10日に、2015会計年度のエネルギー・水資源歳出法案を253対170で可決した。本法案では、2014年度の下院の歳出法案と同様に、ユッカマウンテン関連の放射性廃棄物処分予算として1億5,000万ドル(約150億円)、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算として5,500万ドル(約56億円)が割り当てられている。なお、エネルギー省(DOE)の予算要求では、2012年1月のブルーリボン委員会の最終報告書・勧告に基づいて、2013年1月にDOEが策定した「使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理・処分戦略」を実施に移すための予算が要求されていたが、今回下院で可決された2015会計年度の歳出法案では、ユッカマウンテン計画の中止に繋がる活動への歳出を禁じる条項が規定されている。

2015会計年度の歳出法案の審議過程では、ネバダ州選出の議員から、放射性廃棄物処分関連予算をゼロとするなどのユッカマウンテン計画の中止を求める2つの修正案が提出されたが、いずれも4分の3以上の大差で否決された。一方、ホワイトハウスは、下院で2015会計年度の歳出法案が採決される前日の2014年7月9日に、本法案が成立した場合には拒否権を発動するとの意向を表明しており、その理由の一つとしてユッカマウンテン計画への予算配賦等を挙げている。

米国では、1982年放射性廃棄物政策法において、エネルギー省(DOE)が1998年1月31日から民間の使用済燃料引取りを開始することが定められており、原子力発電事業者とDOEとの間で処分実施のための契約が締結されている。ユッカマウンテン計画の遅れから、DOEは使用済燃料の引取りを実施できないために債務不履行状態にあり、DOEの2013会計年度報告に拠れば推定債務額は前年より28億ドル(約2,900億円)増加して251億ドル(約2兆5,600億円)になることが、下院の2015会計年度の歳出法案に係る歳出委員会報告書で指摘されている。

一方、連邦議会上院でも歳出法案の検討が行われており、2014年6月17日に上院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会で法案の原案が策定されたが、2014年6月19日に予定されていた上院歳出委員会での法案策定は、期限を定めず見送ることが決定された。上院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会策定の法案原案は公表されていないが、法案の概要説明資料では放射性廃棄物処分に係る言及はされていない。

なお、2014年2月に地下施設での火災事故と放射線事象が発生して復旧に向けた調査・対応が行われている廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)については、下院の2015会計年度の歳出法案では1億2,000万ドル(約102億円)の予算が、上院の歳出法案概要説明資料では3億2,300万ドル(約329億円)の予算が、復旧に向けた活動のためとして記載されている。

【出典】

 

【2014年7月28日追記】

米国の連邦議会上院の歳出委員会は、2014年7月24日に、歳出委員会のエネルギー・水資源小委員会で2014年6月17日に承認された2015会計年度のエネルギー・水資源歳出法案の原案、及び委員会報告書の草案を公表した。ただし、連邦議会上院は、2014年6月19日の歳出委員会で、2015会計年度のエネルギー・水資源歳出法案の正式な策定は行わないことを決定している。

今回公表された2015年度のエネルギー・水資源歳出法案の原案では、2013年6月に上院で策定された2014年度のエネルギー・水資源歳出法案と同様に、2012年1月のブルーリボン委員会の勧告に基づいて、同意に基づくサイト選定プロセスによる使用済燃料の中間貯蔵のパイロット施設の開発等をエネルギー長官に命じるよう規定されている。

「使用済燃料処分等プログラム」(UFD)の歳出予算については、研究開発活動の予算として3,000万ドル(約29億円)が、中間貯蔵のパイロット施設の開発等を実施するための予算として8,900万ドル(約87億円)が、総額で1億1,900万ドル(約116億円)が計上されている。ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算はゼロとなっており、これまでに計上された歳出予算の未支出残高も抹消されている。また、原子力規制委員会(NRC)のユッカマウンテン処分場の建設認可に係る許認可手続の予算も割り当てられていない。

なお、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP) については、2014年2月に発生した地下施設での火災事故と放射線事象の復旧に向けた調査・対応が行われており、約3億1,800万ドル(約312億円)の予算が割り当てられているが、復旧活動に係る予算の内訳は示されていない。

【出典】

 

【2014年9月22日追記】

米国の連邦議会は、2014年9月18日に、2015年9月30日までの2015会計年度のうち、2014年10月1日~12月11日を対象とした継続歳出決議を可決した。本継続歳出決議は、エネルギー・水資源分野を含む予算項目に対して、2014会計年度の包括歳出法での予算と同レベルの歳出を認めるものである。継続歳出決議による予算では、原則として前年度予算と同率で比例配分され、特段の指定が無い限りは前年度で未計上の事業・プログラム等の実施は認められない。

今回可決された2015年度の継続歳出決議では、放射性廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について特別の規定が置かれており、歳出予算の範囲内において、処分場の復旧及び改修に必要な活動が必要に応じて実施できるよう認められている。なお、ユッカマウンテン処分場関連など、その他の放射性廃棄物処分に関する特別な規定は無い。

【出典】

 

【2014年12月15日追記】

米国の連邦議会は、2014年12月13日に、2015会計年度包括歳出・継続予算法案を可決した。本包括歳出・継続予算法案の条文には記載されていないが、付随する説明文書において、「使用済燃料処分等プログラム」(UFDプログラム)の歳出予算として、「研究開発活動」についてはエネルギー省(DOE)の予算要求額通りの4,900万ドル(約53億円)、「統合放射性廃棄物管理システムに係る活動」についてはDOE要求額より750万ドル少ない2,250万ドル(24億3,000万円)と示されている。

2015会計年度包括歳出・継続予算法案では、ユッカマウンテン計画に関する記述は無く、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場に係る開発関連予算は与えられていない。ただし、連邦議会下院の歳出委員会が公表した法案の要約資料では、2014会計年度と同様に、政治的事項の一つとして「ユッカマウンテンの将来利用のための可能性を維持し、安全性評価報告(SER)を完成させるための先年予算の継続」が示されている。

また、2015会計年度包括歳出・継続予算法案の説明文書では、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)について、復旧の取り組みを支援するためとして、DOE予算要求額より約1億ドル多い3億2,000万ドル(345億6,000万円)の歳出予算が示されている。

なお、2015会計年度の歳出予算については、2015会計年度が開始される2014年10月1日までに歳出法が制定されず、2014年12月11日までの継続歳出決議による予算が執行されていたが、2015会計年度包括歳出・継続予算法の制定手続の遅れから、再度、2014年12月13日までの継続予算が執行されていた。

【出典】


  1. 米国における会計年度は、前年の10月1日から当年9月30日までの1年間となっており、今回対象となっている2015会計年度の予算は2014年10月1日からの1年間に対するものである。[]

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )