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《米国》2009会計年度歳出法案の審議状況

米国の連邦議会では2009会計年度予算の歳出法案の審議が行われており、高レベル放射性廃棄物処分を含むエネルギー関係等の歳出法案については、下院歳出委員会は2008年6月25日に、上院歳出委員会は2008年7月10日に、各々法案を採択した旨のプレスリリースを公表した。ユッカマウンテン処分場関連の歳出予算金額は、上院歳出法案では昨年横ばいの3億8,839万ドル(約454億円、1ドル=117円換算)とされ、DOE要求よりも1億ドル以上少ない金額となっている。しかし、下院歳出法案については、エネルギー関連の問題を原因として下院歳出委員会委員長が歳出法案策定手続きの棚上げを決定したとされ、国防関係を除く下院歳出法案が本会議に上程されない状態のまま、下院は8月1日の審議をもって夏期の休会に入っており、処分関連の歳出予算金額などの詳細は公表されていない。(米国の予算制度については、こちらを参照)

下表は、上院の歳出法案におけるユッカマウンテン関連の歳出予算案について、前年度決定額と2009年度要求額(詳細はこちら)との対比を示したものである。

  民間分 国防分 合計
2008年度歳出予算額(a) 1億8,726.9万 1億9,917.1万 3億8,644万
2009年度DOE要求額(b) 2億4,737.1万 2億4,737.1万 4億9,474.2万
2009年度上院歳出法案(c) 1億9,539万 1億9,300万 3億8,839万
 上院法案前年度比(c-a) +  812.1万 △  617.1万 + 195万
 上院法案要求比(c-b) △  5,198.1万 △  5,437.1万 △1億635.2万
(単位:USドル)

また、上院本会議に提出された歳出法案に係る上院歳出委員会報告書では、DOEがユッカマウンテン及び近傍において作業を行う際は、原子力規制委員会(NRC)から許認可が発給されるまでは処分場建設行為を行ってはならないとする放射性廃棄物政策法(NWPA)等の規定に従うよう細心の注意を払うべきことが指示されている。なお、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)については、GNEPという言葉は使われていないが、先進燃料サイクル・イニシアチブ(AFCI)として、DOE要求比では約9,000万ドル低いものの前年度比では約5,000万ドル多い、2億2,970万ドルの歳出予算とされている。

一方、下院歳出委員会の2008年6月25日付プレスリリースでは、重要案件及び大幅削減項目の予算金額が示されているが、高レベル放射性廃棄物処分に関する記述は無く、策定された法案における処分関連の歳出予算金額は明らかにされていない。なお、国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)については、使用済燃料の再処理は米国の核不拡散政策を揺るがすものとしてゼロとされている。下院歳出委員会エネルギー・水資源小委員会の2008年6月17日付プレスリリースでは、GNEPには歳出予算を認めないとした上で、先進燃料サイクル・イニシアチブ(AFCI)として1億2,000万ドルの歳出予算金額が示されている。

注)2009年度の予算については、2009年3月6日を期限とする継続予算となっており、これ以降の2009年9月の年度末までの予算は、今後、連邦議会で検討されることとなる。

【出典】

【2008年9月29日追記】

ユッカマウンテン処分場関連の歳出法案については、連邦議会で実質的な審議が行われていなかったが、2008年9月27日、連邦議会は、エネルギー関係を含む各分野に2008年度並みの歳出予算を認めた包括的な継続予算等の法案を承認した。継続予算の期限は、2009年3月6日までとされている。

セキュリティ、災害支援及び継続予算包括歳出法案(H.R.2638、9月30日に公開された最終版)

【2009年1月8日追記】

ネバダ州選出のリード上院議員は、2009年1月5日、オバマ次期大統領らとの会談後にプレスリリースを公表し、次期大統領は処分場建設阻止に向けてリード議員と協力するとの約束を繰り返したこと、その第一歩はユッカマウンテン関連の2009年度予算の従来よりさらに大幅な削減であることを明らかにした。

・リード上院議員プレスリリース(2009年1月5日)
(http://reid.senate.gov/newsroom/pr_010509_reidobamayucca.cfm)

【2009年3月11日追記】

2009年3月10日、連邦議会上院の歳出委員会のプレスリリースにおいて、2009年度の包括歳出予算法案が上院本会議で可決され、署名のため大統領に送られたことが公表された。上院に送られた法案では、ユッカマウンテン関連予算は、2億8,839万ドル(内民間分:1億4,539万ドル、国防分:1億4,300万ドル)で、2008年度比9,805万ドルの減少、DOEの要求比では2億635.2万ドルの削減となっている。

なお、放射性廃棄物基金(NWF)から原子力規制委員会(NRC)に配分される歳出予算は、要求比1,170万ドル増の4,900万ドルとなっている。

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-12 )