スペインの原子力安全審議会(CSN)は2014年1月23日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理公社(ENRESA)が産業・エネルギー・観光省(MINETUR)に対して使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等の集中中間貯蔵施設(ATC)の立地・建設許可申請書を提出したこと、MINETURがCSNに対して申請書に関する評価報告書の作成を要請したことを公表した。
スペインでは、公募方式により、集中中間貯蔵施設(ATC)の建設地の選定が2009年から開始されており、2011年12月にクエンカ県のビジャル・デ・カニャス自治体に建設することが決定していた。
集中中間貯蔵施設(ATC)を含む原子力関連施設の立地・建設・操業に係る許可については、原子力法に基づいて産業・エネルギー・観光省(MINETUR)が発給することとなっている。許可申請書の審査手続では、原子力安全審議会(CSN)が原子力安全及び放射線防護の観点から評価報告書を作成し、MINETURに提出することが原子力法及び原子力安全審議会(CSN)設置法に規定されている。また、原子力関連施設の立地と建設の許可は、一括して申請できることが原子力施設規制令に規定されている。
原子力安全審議会(CSN)は、CSN設置法に基づいて1980年に設置されており、政府から独立した原子力安全及び放射線防護を所管する唯一の機関である。CSNは、2013年11月に、立地・建設許可申請書の評価の支援を目的とした集中中間貯蔵施設(ATC)プロジェクトのコーディネーターをCSN内に設置することを決定していた。現在、CSNは評価報告書作成のための作業スケジュールを策定している。
また、放射性廃棄物管理公社(ENRESA)の総裁は、2014年1月27日にマドリッドで開催された技術フォーラムの講演において、集中中間貯蔵施設(ATC)の操業開始は2018年を見込んでいることを明らかにした。
【出典】
- 原子力安全審議会(CSN)、2014年1月22日付プレスリリース、http://www.csn.es/index.php/en/noticias/27635-atc-220114
- 原子力法(25/1964)
- 原子力安全審議会(CSN)設置法(15/1980)
- 原子力施設規則令(1836/1999)
- 放射性廃棄物管理公社(ENRESA)、2014年1月27日付プレスリリース、http://www.enresa.es/actualidad/weblog/post/atc_es_proyecto_de_estado_en_el_que_tenemos_que_darnos_la_mano
【2015年7月31日追記】
スペインの原子力安全審議会(CSN)は2015年7月27日、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等の集中中間貯蔵施設(ATC)に関して、放射性廃棄物管理公社(ENRESA)が2014年1月に提出していた立地・建設許可申請 のうち、立地許可申請について、条件付きながら肯定的な評価結果を示す決定を行った。CSNは、技術的な評価の結果、提案されたサイトについて、立地サイトとして排除すべき要素は確認されなかったとしている。CSNは、立地許可発給に係る条件を示す報告書を産業・エネルギー・観光省(MINETUR)に提出することも決定したとしている。
CSNの決定を受けて、今後、MINETURが立地許可を発給する。立地許可の発給により、ENRESAは、ATCの貯蔵施設に通じる道路の整備等のインフラ工事に着手することが可能となり、これらの作業を進めながら、建設許可の取得に向けた手続きを継続するとしている。
【出典】
(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-11 )